ジェフ・フリーマンのRPGコラム"Ack!"



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ウルティマ・オンラインとわたくし
Ultima Online Looked Good Off



著者:ジェフ・フリーマン(Jeff Freeman)
翻訳:馬場秀和



 『ウルティマ・オンライン』は素晴らしいアイデアだ。このアイデアには、59ドル95セントと、毎月9ドル95セントのアクセス料金に見合う価値がある。

 これは当然のことだ。最初の『ウルティマ』は良かった。『ウルティマII』はもっと良かった。『ウルティマIII』はさらに良かった。途中飛ばして、『ウルティマVII』は、いや『ウルティマX』だったっけ、いやそうだ『ウルティマXXXII』だと思うけど、とにかくウルティマシリーズは改良を続けてきたのだ。『ウルティマ・オンライン』は基本的にはシリーズの最新作であり、例によって前作よりも重たくて、前作よりも改良されている。

 ・・・とにかく理屈の上では。

 何を言ってるかというと、もしこれがスタンドアローンで、シングルプレーヤーの、オフラインなゲームだったとしたら、前作よりも改良されていただろうに、ということだ。実際は、『ウルティマ・オンライン』は、『クェイク』と『シムアント』と『バービー・ファッション・デザイナー』をおぞましいやり方で混ぜ合わせたような代物になっているのだ。

 ところで、話を先に進める前に「リアル」という言葉を定義しておこう。というのも、僕はこれからこの言葉を普通じゃない意味で使うつもりだからだ。もし僕がファンタジーRPGにおける「リアリズム」についてしゃべったとしよう。すぐに誰かが「わはは、リアルなわけないじゃん、だってそもそもファンタジーなんだぜ」と突っ込んでくるだろう。そういうわけで、突っ込まれる前に、以降でこの言葉をどういう意味で使うかを定義しておこうというわけだ。

 以降で「リアル」という言葉は、現実世界における自然法則に沿っているという意味ではなく、そのジャンルにとって真実らしいという意味で用いることにする。ファンタジーアドベンチャーゲームの仮想世界における「リアリティ」の中では、魔法やモンスター、とてつもなく強力な戦士は「リアル」であり、核兵器(あるいは銃やプラスチック製のストロー)はおそらくリアルではないのだ。

 簡単な例としてAD&Dを考えてみよう。多くのプレーヤーが「魔法使いは剣を装備することが出来ない」というルールに対して「リアルじゃない」と文句を言う。もし魔法使いでも剣を拾い上げることは可能で、それを下手くそに振り回せることも出来るとしたらどうだろうか。たとえダガーやスタッフと同程度のダメージしか与えることが出来ないとしても、とにかく魔法使いが剣を装備することが出来るとしたら、たぶんもっと「リアル」になるはずだ。しかし、「どうして剣を装備できないの?」という質問に対する回答は、「駄目だから駄目なんだよ。ルールにそう書いてある」というきっぱりしたものだ。プレーヤーが「そんなのリアルじゃない」と文句を言うのも無理はない。

 しかし、よく考えてみよう。いま問題になっているこのキャラクターは、日常的に魔法を使うのだ。

 つまり、AD&Dの仮想世界においては、魔法の存在は文句なく「リアル」なのに、「魔法使いは剣を装備できない。なぜならルールにそう書いてあるからだ」というのは「リアルでない」わけだ。

 ときにはファンタジーゲームにおけるリアリティが何らかの理由づけによって支えられていることもある。もし魔法使いが剣を装備できないもっともらしい理由を思いつけば、この制限は「リアル」なものになるかも知れない。つまるところゲームにおける「リアル」とは、それが何であれゲーム中に「リアル」と感じるものだ、と定義できる。文句あるか。

 で、UOの話だった。僕は『ウルティマ・オンライン』をしばらくプレイしてみた。このゲームがスタートしてから最初の数日はイライラするだけだったが、やがて何とか楽しめるくらいの出来になってきた。まだまだ改良の余地はあるにせよ。

 最初の頃はこうだった。

 59ドル95セント払えば、ゲームのパッケージと、サーバへの1カ月無料アクセス権を手に入れることが出来る。このゲームはオフラインではプレイできないので、最初の1カ月間の料金は59ドル95セント固定ということになる。サーバにアクセスするためには、インターネットサービスプロバイダに加入することが必要だが、ほとんどの人は既に加入済だろう。そうでないなら、さらに19ドル95セントのプロバイダ料金がかかる。(ネットワークゲームをやるのなら、格安プロバイダやアメリカ・オンラインはお勧めできない)

 『ウルティマ・オンライン』は、実に弱々しいキャラクターが、金貨100枚、それにたぶん裁縫セットかハチェット(手斧)、あるいは鍛冶屋道具(ハンマーと火箸とかいったもの)を持っているところからスタートする。金貨100 枚じゃ何も買えないので、スタート時のキャラクターは基本的に弱々しいだけじゃなく貧乏でもあるのだ。

 ところで僕が「弱々しい」と言ったのは嘘じゃない。「鶏を攻撃するな、殺されるぞ」くらいに弱々しい。みじめで、どうしようもなく弱々しい。あまりにも弱々しくて「リアル」じゃないほどだ。

 まず最初にやるべきことは、キャラクターを成長させて、せめてウサギや鶏と戦って勝てるくらい強くし、郊外を歩き回れるようにすることだろう。このためには、武器を使う「練習」が必要だ。そういうわけで、最初は何時間ものアクセス時間を費やして、ただダブルクリックを続けることになる。ダブルクリックするとビュンビュンと武器がうなる音がするのだ。ときどき、練習している武器のスキルが0.1点ほど上昇する。こうやって果てし無く長い退屈な練習を続ければ、武器の扱いに習熟して、いずれはウサギや鶏どころか犬や猫を退治することすら出来るようになるのだ。よく考えたらさ、これって何時間も、何時間も、さらに何時間もかけて、退屈を耐え忍んで、ただキャラクター作成してるだけのことじゃないのか? まあいいや、とにかくこれを続けて、何週間も何カ月もかけて、ようやくキャラクター作成が完了する。

 さあて、次にやるべきことは、防具や武器を購入するためのお金を稼ぐことだ。このために何日か何週間かかけて職業訓練に精を出すことになる。それが弓屋屋であれ、家具屋、盾屋、服屋、何であれだ。戦士になりたいと思ったとしても、まずそのために必要な装備を手に入れるべく他の職業に就いて稼がなければならない。コックとかさ。

 キャラクター作成のときと同じく、装備を手に入れるためのお金稼ぎも、同じことを何度も何度も何度も繰り返さなければならない。

 例えば、弓矢屋になったとすれば、森に行って木を切って材木を手に入れ、それを弓矢に加工しなければならない。こうしている間にも、鶏やウサギを見れば攻撃したくなるので(それに退屈のあまり気が狂って剣を振り回したりするものだから)、剣のスキルも少しずつ上昇する。こうして街に出かけて商店に弓矢を売って、稼いだ金貨で防具を購入するわけだ。

 ここまでの具体的なやり方はこうだ。まず斧をダブルクリック、次に木をクリック。こーん、こーん、こーん。それから斧をダブルクリック、次に木から切り出した木材をクリック。ごーし、ごーし、ごーし。よし弓矢になった。次に街に行こう。移動しているときサーバの応答が異様に遅くなることから見て、街は険しい山の上にあるらしい。ようやく小売商を見つけて、作った弓矢を売りつけようとする。ところが小売商は他のプレーヤーが作った弓矢の山に埋もれているためか、もう弓矢を買ってくれないこともある。そういう場合は、とにかくうんざりして買ってくれるまで彼につきまとうとよいだろう。さあ、森に帰ろう。ここで驚くべきことに、森と街の間の道は行きも帰りも険しい登りだということに気づく。なんでこんなにサーバの応答が遅いんだ。

 さあ、これを何度も繰り返そう。何時間も何時間も、ただただ同じことを繰り返すだけの退屈で死にそうな時間だ。たまに生じるウサギや鶏との戦闘だけが救いだ。

 ようやく装備が整うときがきた。貧弱な装備に身を固め、まだみじめなほど弱々しい(でも今や「リアルじゃない」ほど弱々しくはない)が、それでも鶏やウサギどころか、牛や豚と戦って勝てるほどの偉大な戦士に成長したのだ。もちろん狼や熊と戦おうなんて考えてはいけない。そういうわけで、しばらくは街のそばで動物いじめに精を出す必要がある。もちろん狼を攻撃することは可能だ。ただし殺される前に逃げ込めるくらい街に近いところでやること。これを繰り返していれば成長できる。繰り返して、繰り返して、繰り返すんだ。

 こうして何時間も何週間もゲームに没頭していると(僕としては、何時間没頭しているか記録をつけることをお勧めしたい。そうでもしてないと退屈だからね)、ついに本当の冒険に乗り出す準備が整うときがくる。他の間抜けを誘って一緒に近くのダンジョンに向かおう。ダンジョンに到達するまでは特にイベントは生じない。というのも、野外にモンスターはいないからだ(なお、狼や熊はこちらから手を出しさえしなければ、襲ってくることはない)。さあダンジョンに足を踏み入れて。

 ・・・おおっとぉーっ、何だかサーバの応答が急に早くなったぞ。

 オリジン・システム社は、サーバ自体の処理時間はゼロに近いと主張している。ゲーム中にサーバの応答が遅いように見えるのは、「サーバの責任ではなく、インターネットの混雑によるもので、どうしようもない問題です」とのことだ。トラヒックのピークタイムでないときは、キャラクターは3歩歩いては停止し、また3歩歩いては停止する。何ともイライラさせられる状態だ。トラヒックのピークタイム(って言うか「プレイしたいとき」)には、事態はもっと悪化する。1歩歩いては凝固し、しばらくそのままでいる。やがて、もう1歩歩こうと足を上げたところで再び凝固。

 オリジン社いわく「これはサーバの責任ではなく、インターネットの混雑によるもので、どうしようもない問題です」。でも、外界に比べてダンジョン内にいるプレーヤーは少ないせいか、サーバの応答は非常に早くなるのだ。

 僕はネットワークの専門家じゃないけど、ダンジョンも外界と同じインターネットを経由してアクセスしてるはずだよね?

 オリジン社は「これはサーバの責任ではなく、インターネットの混雑によるもので、どうしようもない問題です」について、「1つのコンテナに入れることの出来るアイテム数を100 に限定する」という解決策を採用した。

 たぶん他のオンラインゲームも同じやり方を採用して、こう説明するのだろう。「これはサーバの責任ではなく、インターネットの混雑によるもので、どうしようもない問題です」と。

 まことにテクノロジーとは不可解なものだね。

 ま、ともかくダンジョンではモンスターに出会うことだろう。もしキャラクターが1人なら、それで人生もお終いだ。そうでなければ、勇敢なる冒険者たちのパーティはそいつを倒して、死体から金貨を奪えることだろう。わあ、やっと報われるときがきた。何週間も何週間も繰り返し単調作業に退屈し、サーバの反応の遅さにイライラし続けて、ようやく楽しいことが出来るようになった!

 そしてその後、ダンジョンの入り口付近にたむろしている他のプレーヤーの大群に襲われるわけだ。奴らの狙いはたった一つ。ダンジョンから出てきたプレーヤーをぶっ殺すことだけだ。

 このゲームでは、そういう奴らは「プレーヤーキラー」とか「PK野郎」と呼ばれる。PK野郎の集団から逃れるたった一つの方法は、自分でPK野郎の集団に入って、他人を襲うことだ。

 ともあれゲームを続けよう。まずヒーラーのところに行ってキャラクターを復活させてもらい、あの長い退屈な弓矢作り、あるいは家具作りでも何でもいいけど、とにかく商売のネタ作りに励み、お金を稼いで装備を購入し、険しい山道を登ってダンジョンに向かい、またPK野郎に殺される。

 これを何度でも何度でも何度でも、いつまでも続けることが出来るんだ。そのうちに、『ウルティマ・オンライン』をプレイしないで済むのなら喜んで毎月9ドル95セント支払おうという気になるだろう。

 さて、単純にPK(プレーヤー殺し)を禁止するというのは「リアルじゃない」ということになるだろうし、オリジン社はそもそもPKが問題だということすら認めていない。PK野郎も、何も問題はないと言う。これもゲームの一部だというわけだ。(素晴らしい循環論法。確かにPKはゲームの一部だ。なにしろ、PK野郎のおかげで、後から参加するプレーヤーに可能な唯一の冒険は、奴らにPKされることだけなのだから)

 だから、これが問題であり、なぜ問題であるかということを僕に説明させてくれ。ここまで読んでもそう思わない人は、ここで読むのを止めて、そうだな「デュークニューケム3D」でもプレイしてた方がいいだろう。

 まず、2つの問題について考えてみよう。ダンジョンに棲息しているモンスターのうち、最強の奴はどうして入り口の近くにはいないのか。もう1つは、テーブルトークRPGでは、PC達のパーティよりずっと人数が多く強い敵に連続で何度も出くわすことがないのはどうしてか? 答えは明白だろ? ダンジョンの入り口には弱いモンスターが棲息していて、強いボス敵はダンジョンの奥底にいる。ゲームマスターは、PC達の手に余るような敵をぶつけることはしないし、たとえそうするときでも逃げる術を与える。なぜかって、分かりきってるじゃないか。

 でないとゲームがゲロゲロになるからさ。

 さあ、これでPKが問題だということが分かっただろう。分からない人は、ここで読むのを止めて、そうだな『クェイク』でもプレイしてた方がいいだろう。とにかくPKのおかげで、『ウルティマ・オンライン』で出来ることと言えば、森をうろついて街に行って、家具か弓矢か盾をひたすら製造する退屈な仕事を繰り返して、ときどきウサギを倒して、ときには牛と戦う、それだけなのだ。PKを別にすれば。

 悲しいことに、PK野郎がPKするのは、それが楽しいからに他ならない。モンスターを倒して金貨を手に入れ、次のモンスターを倒して、次の次のモンスターを倒して、というのは誰から見てもつまらない仕事だ。他に何か出来ることはないのだろうか? どこかに手近な「目標」はないものか。ていうか、そもそもこのゲームには何か大きな「目標」はないのか?

 それから、このことも言わせてくれ。このゲームに登場するNPCは「私が必要としているのは“何々”です。それを提供してくれれば、“何々”と交換できます」とかいうセリフばかりしゃべる。別に嘘じゃないだろうけどね。ちょっとね。あるNPCに至っては「“デバッグテスト用一時変数”と交換できます」とまで言った。

 デバッグテスト用一時変数? 誰がデバッグしてるんだ。なんでバグとりが終わってないんだ? これはベータテスト版じゃなくて、こっちはマジに金を使ってプレイしてるんだぞ!

 街には“アイテムなし”という表示のアイテムを金貨0枚で売っているNPCだっている。これを買うことも出来ないし、買ったとしてもどうせ何も出来やしない。それに僕は中に“中身なし”が入っている袋を見つけたが、どうやって取り出せばいいのだろうか。

 というわけで、とにかく数日間「だけ」 プレイした僕の第一印象をまとめると次のようになる。

 このゲームはバグだらけで、サーバの応答が遅く、馬鹿馬鹿しいほど弱々しいキャラクターでスタートしなければならず、プレーヤーは自分のキャラクターを成長させて使い物になるようにするため何時間もかける必要があり、その経験値稼ぎの作業がサーバに負荷をかけるためサーバの応答時間が悪化する原因になるのだ。せめてサーバにアクセスしてない間にオフラインで経験値稼ぎが出来るようにするか、経験値稼ぎの間はサーバに負担がかからない技術を開発するか、そもそもまともに使い物になるレベルのキャラクターからスタートできるようにするか、とにかく何とかしてほしい。それからPK野郎の集団が郊外やダンジョンのそばにたむろっているので、そもそもゲームを本当にプレイするために街から遠くに出かけることも出来ない。

 一体、これを悟った時点でどれくらいの人々が挫折していることだろう。僕なら絶対に挫折したね、もしこいつに自腹を切って59ドル95セントつぎ込んでなかったとしたらね。でも僕はもう59ドル95セントつぎ込んでいたので、意地になって何とかこのゲームを楽しもうとした。

 それで、僕は助けを求めてネットをさまよい歩いたわけだ。59ドル95セントも払ったのに、誰も救いの手を差し伸べてはくれなかった。ルールブックは存在しない。オリジン社のウェブサイトにオンラインマニュアルがあったけど、全く役に立たない。ゲームには布製のマップが付いているけど、これも全く役に立たない。他にも、引き出しにしまい込むためのペンダントも付いている。引き出しにしまい込むためじゃないとしたら、たぶんあまりにもサーバの応答が遅くてキレたときにこめかみに突き刺して自殺するための付属品なんだろうと思う。(一言だけ忠告を。よほど幸運でない限り、ただ痛いだけで死ねないから試すのは止めておこうね)

 ファンが作ったウェブサイトにアクセスすると情報を得ることが出来る。山ほどのマップ、ガイド、説明、ヒント、裏技、商売(それがどんな商売であれ)のコツ、他のプレーヤーを見つけてロールプレイする(あるいはゲームに参加したり簡単に装備を手に入れる手助けをしてくれたりする)ための方法・・・。要するに、ゲームのルールブックに書いてあるべき情報と、もともとあってはならないはずの問題に対処するための情報が何でも手に入るというわけだ。こういった情報は、全てネットワーク上のどこかに、様々な形式で(たいていは同時に複数の形式で)置いてあるんだ。

 さて、事態は改善された。他のキャラクーとの会話が出来るようになったし、僕のように上手にロールプレイしてない奴を黙殺してやれるようになった。そういう連中は「PK! PK!」と叫びながら走り回っていたりして、確かに警告として有益かも知れないけど、雰囲気がもう台無しだね。あるいは「君のヒットポイントは何点?」とか質問してくる奴もいたりして、ダメダメだね。

 ロールプレイを試みている奴がいて、こちらもロールプレイしてやると、すぐに友人になることが出来る。なにしろ一人でロールプレイするのは難しいからね。

 とはいっても・・・。

 商人と呼ばれる決して傷つけることの出来ない不死身のNPCがやっぱりあちこちに立っているし、野外にもいる。たいてい彼らの近くにはテントか人家があって、これまた何の保護もされてないのに全く傷つけることが出来ない。

 そういえば、不滅の人家はモンスターが湧いてくる場所にあることが多いような気がするが、やはりあの人家にはモンスターがぎっしり詰まっていて、何匹か押し出された奴が周囲を徘徊しているということなのだろうか。そうでない場合には、人家は道のど真ん中にでんと建てられてたりする。

 こういうのは、単に「リアル」じゃないばかりか、馬鹿げてさえいる。もしあの商人たちが不死身なんだったら、なんで他のプレーヤーが商品を持ってくるのを待っていなければならないんだ? さっさと近くのダンジョンに入っていって金貨をかっさらってくるはずだ。っていうか、ダンジョンより街の方が簡単に金貨を略奪できるよなあ?

 それに、あんなに大勢の商人(数百人もいる!)が、あんなに沢山の商品(数百種類もある!)を扱ってるんだから、サーバのシステムリソースはほとんどこれに費やされてしまい、ワンダリングモンスターを処理する余裕がないのも無理はない。商人や商品を削除して、その分のリソースを解放して、サーバの応答時間の問題を改善し、ワンダリングモンスターを登場させて、PK野郎どもに与えてやった方がいいのになあ。

 それを言うなら、もっといいアイデアがある。というのも、

  1.このゲームには、モンスターがあまり登場しない

  2.一部のプレーヤーは、単に他のプレーヤーを殺すことにしか興味を持ってない

ということなんだから、2.のようなプレーヤーには、最初からモンスターをやらせればいいじゃん。PK野郎なんてもともとモンスターみたいなものなんだから。

 それなら、こうしてはどうか。「人類」の社会と、「亜人類」(オークかリザードマンか、何か)の社会がいつも戦争しているという設定にして、プレーヤーはキャラクター作成のときにどちらの陣営に属するか選べるようにするのだ。これはきっとゲームをずっと良いものにしてくれると思う。こうした基本設定に加え、当面の「目標」(誰もそんなものは追求しないだろうけど)、ダンジョン(PK野郎がたむろっているから近づけないとしても)、ギルド戦争(まだシステムがサポートしてないけど)といったものがあればまずまずだ。

 最後に、スタート時のキャラクターは、それなりの装備とある程度の強さを持っているようにしてほしい。でないとプレーヤーは最初は何度も何度も馬鹿げたプログラムを繰り返し実行することになってしまう。テーブルトークRPGで、キャラクター作成に何カ月もかけたりしないだろ? 『ウルティマ・オンライン』でやってることは、テーブルトークRPGのキャラクター作成ルールに「5000個のダイスを、1つ1つ順番に振ること」と書いてあるようなものだ。あるいは『チャンピオンズ』RPGのキャラクター作成みたいなものだ・・・それは言い過ぎか。

 というわけで、最初にプレイした(あれをプレイとよべるならの話だけど)ときの僕の感想は次のようなものだった。

 しかし、今や僕の感想は変化した。ゲーム世界内で友達を作れば、こいつは全然違ったゲームになる。ロールプレイがポイントだが、このゲームでロールプレイするためには、ロールプレイを邪魔する要素を拒否することが必要だ。こいつは思ったより難しい。とにかくプレーヤー発言を黙殺し、ゲームシステムに関するおしゃべりを黙殺することが必要なのだ。そうすれば、いずれ一緒にロールプレイしてくれる(それ自体、とても楽しい)だけじゃなく、ゲームをスタートする手助けをしてくれる人が現れるだろう(それでも、使い物になるキャラクターを育てるのは、すげえ時間がかかるんだけどね)。誰かがプレーヤーとして叫んでいるのを見かけたら、頭の中でキャラクター発言に翻訳するといい。「PK! PK!」と叫んでいたら、「おらあーっ、どけどけぇ、泣く子も黙る外道組のお通りじゃい!」とか翻訳しよう。

 あと、uoss.stomped.comからマップを入手しよう。これは必要だ。そもそも500Mバイトもある『ウルティマ・オンライン』のクライアントソフトに、このマップが入っていてしかるべきだったのだ。uoss.stomped.comにアクセスしたら、全てのウェブページをチェックだ。これらの情報は重要なものばかりで、そもそも60ドルもする『ウルティマ・オンライン』のCDに入っていてしかるべきだったのだ。

 活動中のプレーヤーギルドを見つけて加入しよう。これもちょっと難しい。だってYahoo!検索エンジンでプレーヤーギルドを探しても、出てくるのは廃墟となったウェブページ(これらのページの主はもう『ウルティマ・オンライン』をやってないのだ)ばかりだし、OSI の「ギルドホール」を見ても、どのギルドがどこのサイトで活動しているのかは分からない。何とか見つけ出すとそこも廃墟だったりするし。

 それから、『ウルティマ・オンライン』をプレイするときに最も大切なことは、辛抱強くなることだ。

 ただし、辛抱強くなり過ぎてもいけない。でないとUOがまともなゲームになるまでずっと永遠に待ち続けることになるからね。

 ごく最近、僕はトラヒックのピークタイムにプレイしてみた。あるサーバの応答時間の遅さはとても耐えられないものだったけど、他のサーバだとそうでもないことに気づいた。そして、例によって1時間の間に3回もアクセスを切断されることになった。そのうち1回は、Ettin との戦闘中に起こった(とってもまずい)し、そもそも戦闘中はずっとサーバの応答時間の遅さに悩まされることになったのだ。(剣を一閃するや・・・数分間お待ちください・・・ざくっ、おお勝利だ)

 前にも書いたかも知れないけど、オリジン社は「1つのコンテナに入れることの出来るアイテム数を限定する」という解決策を採用している。それに加えて、今やサーバリストに各サーバの平均応答時間と現在のアクセス人数が表示されるようになった。でも僕に言わせれば、問題の大半はシステムデザイン、つまりデータベースの構造とかプログラム設計から生ずるもので、アクセス人数やアイテム数が主な原因じゃないと思うね。だから簡単に解決することは出来ないんだろう。

 また今やオリジン社は、PKを単なる「プレーヤー間の戦闘」というだけじゃなくて、ゲームに参加する気などなく単に他のプレーヤーを殺すことにしか興味を持たない馬鹿なクソガキどもの問題だと捉えている(もっとも、PK野郎には退屈しきった大人も多いんじゃないかなと思うけど)。この問題をゲームシステムで解決するのは難しいだろうけど、でも手がないわけじゃない。ギルドシステムを持ち込むことで何とかなるかも知れない。というのも、ギルド戦争に巻き込んでやれば、PK野郎も無差別殺人を止めて敵ギルドの構成員をぶっ殺すことに専念してくれるかも知れないからだ。

 このゲームは常にアップデートを続けている。だから、僕がぶつぶつ文句をつけた点や、指摘したバグといったものは、君がこの文章を読んでいる時点では全く変わっているかも知れない。どんどんプログラム修正が施され、それによって1つ1つ問題が解決されてゆき、同時に次々と新たな問題を生み出しているんだ。例えばあるプログラム修正はキャラクターの能力値が何ポイントか下がるバグを「修正」したが、その結果として別のバグが発生し、それを利用した裏技で無限に能力値を高めることが出来るようになったとかさ。

 オリジン社のウェブページの「What's New」とか「Coming Soon」の部分を読むと、あらゆる問題がすぐにも解決するように見える。モンスターの徘徊率が上昇したので、今や野外でワンダリングモンスターに出くわすこともある(これは結構なことだが、相変わらずスタート時のキャラクターは馬鹿馬鹿しいほど弱いので、出くわせば最後だ)。また、ダンジョン周辺の状態はずいぶん改善された。

 ギルドに加入してからは、ダンジョンに行ってPKされずに戻ってくることが出来るようになった。

 さらに、最初にプレイしたときはゲロゲロだったゲームが、今や(ときどきは)楽しいとえ感じるようになっている。たいていの場合はただイライラするだけなんだけどね。ゲームシステムの大きな変更が予定されているが、僕はとってもそれが待ち遠しい。きっと問題は全て解決するんだろう・・・。

 そういうわけで、既に書いた幾多の問題にもかかわらず、他の何千というプレーヤー同様に、僕は今でも『ウルティマ・オンライン』をプレイしている。僕たちはゲームの問題にイライラし、ぶうぶう文句を言いながらプレイする。イライラしたあげく、このまま終わったら何のためにゲームをやっているのか分からない、ちょっとでも楽しくなるまでやるんだ、と考えて一晩中プレイし続ける。

 つまり、要するに、こいつは「ウルティマ」シリーズ以外の何物でもないということが明らかになったわけだ。

 『ウルティマ・オンライン』のファン(確かにファンはいる。彼らは、全てのサーバが同時にクラッシュしない限り、あらゆる問題とバグを喜んで見逃してくれる)には、なんでUO嫌いがわざわざrec.games.computer.ultima.onlineニューズグループにUOを馬鹿にする発言を書き込むのか理解できない。嫌いならプレイしなきゃいいじゃないか。このニューズグループにいるファンの一人は、UO嫌いがぐだぐだ言うのが腹にすえかねたのか、自分のシグニチャに「じゃ買うなよ。プレイしなきゃいいだろ。あっちへ行けよ」と書いている。

 僕は、UOのファンに共感を覚える。僕はUOを愛している。僕は何時間も何時間も何時間もUOをプレイし続けている。そして僕は心の底からUOが嫌いだ。


この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*land.linkclub.or.jpまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。

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