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『イージス・ハンドブック(Aegis Handbook)』

著者:チャールズ・ボーラル、リチャード・ダカン、アレクサンダー・ジャカット、バーナード・トロンブレイ
カテゴリ:ゲーム
出版元:エデンスタジオ社
価格:23ドル
ページ数:205ページ
ISBN:1-891153-48-X
ジャンル:サイエンス・フィクション、現代、諜報、陰謀
レビュー著者:ジョセフ・ザレブスキィ(Joseph Zarebski)、1998年12月18日
レビュー翻訳:馬場秀和
レビュー翻訳者による『コンスピラシィX』紹介ページ
http://www004.upp.so-net.ne.jp/babahide/conx.html



 『イージスハンドブック(The Aegis handbook)』には、『コンスピラシィX』のキャラクター作成、イージスのセル(活動単位)構築、装備の入手、セルの任務遂行などに必要なルールが全て含まれている。『コンスピラシィX』におけるキャラクター作成はポイント割り振り制を採用しており、選択できる所属組織は50を越える。キャラクターが完成したら、プレーヤー間でリソースポイントを集めて、装備を入手し、基地を設営する。『ハンドブック』の最後の章には、有益な助言が書かれている。これを読めば、プレーヤーは、どうやって生き延びて、しかも自分たちのセルの存在を秘密にしておけるかを学ぶことが出来るだろう。

 キャラクター作成の際には、まずキャラクターポイントを費やして、能力値、特徴、スキルを購入する。能力値を平均より低くすれば、あるいは不利な特徴を購入すれば、手持ちのキャラクターポイントがそれだけ増加する。『コンスピラシィX』には7つの能力値があり、それぞれの能力値は1から5の範囲になる。さらに各キャラクターがどれほど幸運であるか、あるいは不運であるかを決める。そして選択した所属組織に対して、持っている権力を決める。

 キャラクターの所属組織としては、軍、FBI、DOEといった実在する組織も選択できるし、超常現象研究センター、「MKウルトラ」プロジェクト(CIAのマインドコントロール研究計画)といった、架空のものも選択できる。組織を選択すると、キャラクターは陰謀を駆使することでその組織のリソースを自分のセルのために横流し出来るようになる。CDC(検疫センター)に勤務する研究者は、アトランタにあるCDC研究所の設備を使えるし、また特定の地域を検疫のため「隔離」することも出来る。NASA(米国航空宇宙局)の技術者は、米国上空にいる衛星からデータを得ることが出来る。ムーンダスト(墜落UFO回収部隊)のメンバーなら、宇宙人のテクノロジーを拝借することが出来るかも知れない。

 スキルの個数は他のゲームに比べると少なめに抑えられており、値としてはやはり1から5の範囲になる。これは特定の技能についてどれくらい習熟しているかを示す。特徴/不利な特徴のリストは、とても充実している。他に付け足すべきものを思いつかないほどだ。病歴、才能、精神状態、その他の背景設定といったものが選択できる。これを選択することで、プレーヤーは自分のキャラクターを単なる数字の塊ではなく、生きた人間として想像できるようになるだろう。

 キャラクター作成が完了したら、全員でセル構築を行う。各キャラクターが、自分の所属組織に対して持っている権力を元にしてリソースポイントを算出し、それを合計する。リソースポイントは、軍事、諜報、研究、犯罪、警察、メディアという各分野に分かれている。あるアイテムを入手したければ、対応する分野のリソースポイントが必要となる。そういうわけで、科学者およびFBIのエージェントだけで構成されたグループが強襲ヘリコプターを手に入れたり、軍人ばかりのセルが高性能探査器を入手したりする、といったことが出来なくなるわけだ。

 本書の最後の章には、セルを効果的に運用するにはどうすればよいかが説明されている。まず、正体を知られずに情報収集を行う方法が説明される。続いて、正体が暴露されたり、逮捕されたりすることなく任務を遂行する方法。そして最後に、敵に正体を知られてしまった場合にどうすべきかの助言で締めくくられている。

 キャラクターシートが付いている。またセル記録シートもある。本書は構成がしっかりしており、巻末の索引も充実している。イラストは白黒印刷だが、これは陰謀RPGにはむしろ相応しいだろう。

完成度:4(よくできている)
内容 :5(すばらしい!)


この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*land.linkclub.or.jpまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。

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