RPGnetゲームレビュー



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『ブループラネット(Blue Planet)』

著者:ジェフリー・バーバー(Jeffery Barber)
カテゴリ:ゲーム
出版元:バイオハザードゲームズ社(Biohazard Games)
価格:27.95ドル
ページ数:350ページ
ジャンル:サイエンスフィクション、宇宙
レビュー著者:ジーンマイク・ウィッキィ(SeanMike Whipkey)、1999年3月12日
レビュー翻訳:馬場秀和
レビュー翻訳者による『ブループラネット』紹介ページ
http://www004.upp.so-net.ne.jp/babahide/bpguide.html



 『ブループラネット』の第一印象は、何といってもその表紙だ。もちろん作品の出来は表紙では決まらないことは分かっている。それでも、このカバーアートは特筆に値する。微光を放つ3体の海棲生物が、光あふれる海底洞窟の中を泳いでいる絵だ。私はしばらくそのブース(そこはオリジン98 の会場だった)の担当者と話をしてから、一冊購入した。

 一言でいうと、それは充分に満足できる出来ばえの作品だった。何しろ情報量が凄い。絵はほとんど含まれてない。いやまあ実際にはそこそこの数のイラストと異星生物の絵が入っているし、それらはやや出来不出来に差はあるものの、まずまずのものと言ってよい。

 『ブループラネット』の背景世界と設定情報、これがいくら褒めても褒めすぎでないほど素晴らしい。まず地球の未来史が語られる。それは主に太陽系とヘビ座恒星系を結ぶワームホールの発見、ポセイドンへの植民船の派遣、そしてブライトを中心に説明されている。ブライト(立ち枯れ病)というのは、遺伝子操作によって作り出されたウイルスであり、こいつのために地球の食物供給は破壊され、何十億人もの犠牲者が出た上に、地球とポセイドンとの連絡は途絶えてしまう。

 ゲームの設定は西暦2199年だ。地球とポセイドンの再コンタクトから数十年、そして信じられないほどの価値を持つ鉱石、ロング・ジョンが発見されてから数年後である。この鉱石はゼノシリケイト(特殊なシリコン化合物)であり、この物質を応用することで抗老化処置が可能になるのだ、お金さえ積めば。

 地球とポセイドンをほぼ支配しているのは、国連とGEO(世界環境機構)だが、ポセイドン原住民はそれに反発している。ポセイドンで発見されたアボリジニーと呼ばれる先住種族もまた、新しい植民者と対立しているようだ。

 最後に知性化されたクジラ類と遺伝子操作により生み出された人類亜種をこの無法地帯に近い世界に追加して、さあとってもドラマチックなゲームの背景が出来上がった。

 このゲームの背景は非常によく出来ており、隅々まで考え抜かれている。背景世界の構築と、それを支える科学的バックグラウンドを作り上げるのに、デザイナーが長い時間をかけたであろうことは間違いない。

 ただし、デザイナーの政治的偏見が見える部分があることも確かだ。別にそれが悪いとは言わないが、ときどき環境保護についてのお説教を聞かされているような気がするのはちょっと勘弁してほしい。

 『ブループラネット』のルールシステムについては、私はがっかりした。パーセントダイスによる判定とバランスの悪いキャラクター作成ルール。別にキャラクター作成のバランスが悪いことに文句を言うつもりはないが、『ブループラネット』のキャラクター作成ルールはバランス以前にボロボロなのだ。戦闘ルールは、例えば人間とオルカが戦う場合のように筋力やスピードに大差がある場合、非常に複雑になってしまう。もし『ブループラネット』のキャンペーンをやることになったら、いやシナリオ1つプレイするときでさえ、私ならルールシステムを変更するに違いない。

 サプリメントの数は少ない(というか今は1冊しかない)が、製品のサポートは優れている。バイオハザード社が運営している『ブループラネット』のメーリングリストは非常に活発だし、ウェブサイトの活動も盛んで、間違いなくプレーヤーとGMの両方に役立つだろう。

 『ブループラネット』の背景世界にはお金を出すだけの価値が間違いなくある。だが、そのルールシステムのおかげで、良い「ゲーム」だとは言いにくいかも知れない。

完成度:4(よく出来ている)
内容 :4(粋でもうしぶんない)


この記事は米国RPGnetの許可に基づき翻訳されたものです。日本語訳については当サイト管理者ben*at*land.linkclub.or.jpまたは翻訳者まで。記事の内容については本人へ英語で連絡してください。

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