三倍返させない方法

 翌週に定期審査を控えた日の曜日、ゼノは久々にピンクの髪の女王候補に青空面談を行った。青い髪の候補と切磋琢磨し、お互いに候補としての資質を限界まで高めあっている中の面談は、あっけないほど簡単にクリアされてしまい。昼にかかる頃まで、少し長い雑談に興じることとなった。
 ピンクの髪の候補は、ゼノに約束をとりつけることがほとんどない。カナタに対しても同様で、週末二人で遊んでいることを知っているから配慮してくれているのだと思う。それでも二人で会話する機会自体は、執務室を訪れた際や外で顔を合わせた時など少なくない。が、ここまで長く話をしたのは、ずいぶんと久しぶりな気がした。ピンクの髪の候補と前回青空面談をしたのはいつか、咄嗟に答えられないくらい間が空いているからだろう。
 だから、普段はのぼらない話題を出しやすかったのかもしれない。いや、もしかしたら、それこそが候補の目的だったのかもしれない――と穿ってしまうのは、カナタが「お節介だ」と称するのを何度も聞いているからだろうか。
 候補が教えてくれたのは、バースのイベントについてだった。飛空都市での明日は、バースに於いては2月14日に相当し、バレンタインデーというショコラフェスティバルが開催されるのだとか。老いも若きも世界中から集まったショコラティエの出店に盛り上がると聞かされ、甘いものも好きなゼノのテンションが少しあがった。ちょっと見に行ってみたいなと、思ってしまうくらいに。
 長時間並んで入手することも珍しくないというチョコレートは、自分用だけではなく、友人や恋人に贈る用途もあるらしい。というか、元々バレンタインデーというのは、意中の相手にチョコレートを渡して告白するイベントだったとか。いつ頃からか友チョコだのご褒美チョコだのと販路の拡大が仕掛けられ、世界でも類を見ないほどのショコラフェスティバルになったと、候補はちょっと雑に説明してくれた。
 社会に出てからは自分や友人のために購入するのがメインになったが、学生の頃は校舎内の誰も彼もが浮き足だっていると錯覚するくらいに盛り上がったものだと、少し懐かしそうに告げた候補。
 誘導されているなと気付きはしたが、学生という単語に自然とカナタを想う。招致されることがなければ、カナタもその校舎内の一人になっていたはず。甘いものを得意としないカナタのことだから、チョコレートが欲しいと浮き足立つことはなかったのではないかと思う。バースにいた頃は恋愛ごとに全く興味がなかったと以前言っていたから、ちょっと鬱陶しそうにさえしていたのかも。
 思い描いた様が可愛くて微かに口元が綻んでしまったのは、候補には伝わらなかったと思いたい。思惑通りかもしれないが、カナタにチョコレートをあげたら、どんな反応をしてくれるんだろうと考えてしまったことも。
 裏付けるように、バレンタインデーの情報をゼノに与えると、満足した様子で候補は寮へと帰っていった。ありのままカナタに伝えたら、きっとまた「だからお節介だって!」と声を荒げるのだろうと想像できて、微笑ましい気分になる。
 カフェで用意してもらったおみやげを手に、ゼノはカナタの私室に向かった。いつもの日の曜日と同じように、この後の時間はカナタと遊ぼうと思って。
 快く出迎えてくれたカナタと昼ご飯を食べながら、あげるならどんなチョコレートがいいだろうと考える。ゼノは甘くとろけるミルクチョコレートが好きだけれど、カナタには甘すぎるだろう。ビターチョコレートなら食べてくれるだろうが、少量でいいと言われてしまうはず。チョコレートを作ってみたことはないが、さっと調べてみるとさほど難しい行程はない。ゼノが作ったものなら受け取ってくれるだろうが、喜んでもらえるかと考えると……。
 甘いものが苦手な人に贈るいいアイディアはないんだろうか。候補の情報ではチョコレート以外になかったので、バレンタインデーについても少し調べてみると、伝えられなかった新事実が発覚した。
 なんと、バレンタインデーにはお返しの日があるらしい。元々告白をするイベントだと候補が言っていたから、回答を兼ねたお返しをするのは理に適っているように思えた。
 バースではメジャーなイベントだそうだから、カナタももちろん知っているだろう。ゼノがチョコレートを贈ったら、一ヶ月後にお返しを考えてくれるに違いない。でもそれは、お返しを強要している気分にもさせられる。
 折角バースのイベントを教えてもらったから、カナタにも贈りたい。だけど、お返しが欲しいわけじゃない。
 カナタと遊びながらも考えてふと思いついたのは、おやつとして提供するのはどうだろうというもの。カナタにだけ贈るのではなく、一緒に食べるおやつがチョコレートだったら、お返しはいらないのでは?
 どうせなら、カナタを誘う口実になるようにちょっと変わったものがいい。チョコレートを使ったケーキが最初に浮かんだが、カナタのためのおやつだと考えると、適しているとは思えず。なにか違うもの……と検索して引っかかったのが、チョコフォンデュだった。
 溶かすチョコレートをビターなものにすればカナタでも食べやすい、ちょっと変わったおやつ。用意する具材を甘さ控えめなものにすれば尚良し。いっそ、カナタ用とゼノ用と、違う種類のチョコレートを用意するのはどうだろう。
 良いアイディアが浮かんだと、夜遅く自室に帰ってから準備に勤しんだ。フォンデュ用の道具はなかったので、以前作った保温機をベースに超小型のものを作成。熱が伝わってしまうから金属製のフォークを避けたら、竹串しか適切なものが見つからなかった。
 製菓用のチョコレートは、日が昇ってから食堂に分けてもらいに行こう――と思ったところで、大分遅い時間になっていることに気がつく。準備が楽しくて、時間を忘れてしまったらしい。
 カナタにまた心配をかけてしまうと、慌てて風呂に入り髪を乾かしてベッドに潜り込んだ時には、すでに三時を通り越していた。

 午前中に必要な材料を揃えて、昼ご飯の後私室に戻り準備を整え。小腹の減る頃合いを見計らって、カナタの執務室へと赴いた。
 約束をしていなかったため、生憎カナタは不在。このまま待つか出直すか。どうしようかなと思いながら扉に背を向ける途中、廊下の端に見知った色を見つけた。
 一度は通り過ぎた視線を戻すと、距離はあるが髪色と服の色合いでカナタだとわかる。手を振ると、カナタも気付いてくれたんだろう。振り返してくれた。歩みを早めて向かってきてくれたのが嬉しくて、声の届く範囲まできたカナタにおかえりと声を掛ける。
「ただいま。待たせてごめん?」
「うぅん。待とうか出直そうか考える前に、カナタが見えたから」
 少し照れくさそうに応じてくれたカナタが可愛くて、返す声が自分でもわかるほど弾んだものになった。昨夜、準備を始めた時から気分が上向いたままなのを自覚しているが、これはちょっとあからさますぎるのではないか。
 自問してはみるものの、仕方ないかとあっさり回答を放棄した。ゼノが用意した「変わったおやつ」を、カナタはどんな反応で受け止めてくれるだろうと考えると、楽しくて。先程さっと頬に一筋走った朱色も、とっても可愛かったから余計に。
 ゼノの言い方で用があると気付いてくれたカナタが、急いで扉を開けようと手をのばしてくれる。一緒におやつを食べようと誘いにきたと告げ留めると、微かに首を傾げてみせた。なんだか反応が鈍い。おやつを食べる気分ではないのだろうか。
「もしかして、今出掛けてたの、遅いお昼ごはんだったりする?」
「や、大丈夫。カフェに食べに行ってから、王立研究院行ってきた帰り」
 はっと気がついて尋ねると、否定してから教えてくれた。今更すぎる危惧に、自分の浮かれ具合が認識以上だと改めて気付く。さっき食べたばかりだと言われたら、どうするつもりだったんだろう。何にも考えていなかった。
 お昼を食べる時間は定められていないので、各人好きなタイミングで摂る。当たり前すぎて考慮にいれることさえ忘れていたと反省する反面、カフェに行くなら誘って欲しかったなとも思ってもしまう。
「そっか、じゃあ、おやつでも大丈夫だよね! たくさん歩いてお腹減ってるでしょ?」
 勝手な要望は、明日自分で誘いに来ようと決意に替えて飲み込んだ。誤魔化すように告げたら、カナタがちょっと変な顔をする。おかしなことを言っただろうか。
 でも、カナタは特に言及せず、用意したおやつについての質問を口にした。見てのお楽しみだと告げてから、私室に向かって先導する。どうせなら手を繋いで誘導したいところだが、聖殿の廊下は人目があるから我慢しなければ。
 浮かれすぎて、目的地を告げ忘れたらしい。執務室じゃないのかと驚くカナタに謝ってから私室だと遅まきながら説明すると、不思議そうな顔を僅かに覗かせた直後、なにかに納得したように頷いた。
 ほどなく私室に到着し、さっと解錠した扉を大きく開いて迎え入れる。礼を口にしてから扉を潜ったカナタは、でもすぐに足を止めてしまった。
「なんか、甘い匂い……チョコ?」
「正解! こっちだよ、カナタ」
 部屋に充満した甘い匂いに気付き、呟くカナタ。扉を閉めてから応じて、その手を取った。廊下では無理でも、私室内なら誰の目も気にする必要がない。
 戸惑いながらもついてきてくれるカナタを案内したのは、日当たりの良い窓辺。以前作った携帯できる小型テーブルセットを設置して、いつもとちょっと違うおやつ時間を演出してみた。もっとも、カナタは場所よりも、テーブルの上に用意していた「変わったおやつ」が気になるようだ。
 昨夜作った2台の超小型保温機の上に、ココット皿をそれぞれ載せている。中を満たすのは別々のチョコレート。すでに融解して液状になっているだろう。間にはカットフルーツの盛り合わせと、一口大のドーナツやワッフルを載せた皿。全てゼノがカナタのためにと用意したものだ。
「バースは今日、バレンタインってイベントの日なんでしょう?」
「あぁ、今日、14日だっけ。もしかして昨日、お姉さんから?」
「うん、そうだよ」
 目を瞬かせているカナタにそっと告げると、合点がいったらしい。小さく頷いてからの疑問に答えて、贈り物にしなかった理由を告げる。
「三倍返しが基本だとかって聞いたことあるよ」
「三倍? もらう側が大変なイベントなんだね……」
 調べた時には出てこなかった情報がもたらされて、贈り物にしなくてほんとに良かったと心から安堵した。カナタからはすでに返せないほどたくさんの気持ちや言葉をもらっている。それなのに三倍のお返しを要求する贈り物を渡さずに済んだと。
 これを言うと、カナタは逆だと主張する。自分は何もしてない、ゼノにもらったものが多すぎて困ってるんだと。
 だから、ゼノにはもう分かっている。お互いに必要なものが違って、お互いがそれを補いあえただけ。お返しなんてどちらも必要としていないことも。でも、返したい。カナタがくれる気持ちに言葉に、褪せないほどの気持ちを言葉を。ゼノに出来ることは、限られたことだとしても。
「これならただのおやつで、贈り物にはならないでしょ?」
 だから、念押しのように告げたら、取ったままだった手を改めて繋がれた。それから、頬に触れる暖かく柔らかい感触。
「ごめん。したくなった」
「じゃあ、俺も」
 すぐに離れた唇から言い訳を紡ぐカナタの頬は、朱色に染まっていた。堪らなくなって、ゼノからもその口にそっと触れる。
 昨日は候補と約束があったから、土の曜日にカナタの私室に泊まったけれど、親友としてのお泊まり会で終わってしまった。ゼノは構わないと思っているけれど、カナタが体への負担を心配してくれるから、くすぐったくてあまり強く要望もしていない。でも、キスのひとつもできないのは、ちょっと淋しいなと感じてる。「キスしたら抑えらんなくなるから」と赤い顔で告げたカナタが可愛くて、食べちゃいたいなと思ったくらいに。
 だから、触れるだけなら、キスに含まないよね?なんて謎理論で言い訳して。
「……オレ、我慢したんだけど」
 全然満足はできないけれど自重しなきゃと離れると、ぽつりと低いカナタの囁きが届いた。頬を染め拗ねた表情のカナタに、笑って誤魔化す。小さく嘆息するカナタの手に、力が籠もる。僅かに痛みを覚えるそれが、触れるだけでもキスに含まれることを伝えていた。
 でもきっと、カナタは知らない。抑えられないなら今夜泊まりに来てくれていいのにと、ゼノがちょっとだけ期待したことを。それに気付いたことで初めて、煽りたくてしたのかもと自覚したことを。
 それ以上の言及をせず、敢えて流すようにカナタは興味を「変わったおやつ」に向けた。結果、2つのココット皿の中のチョコレートが異なることに気がついたようだ。疑問に答えると、ビターチョコレートなら食べやすいと喜んでくれる。考えていた以上の反応をもらって、ゼノも嬉しくなった。
「じゃあ、チョコフォンデュパーティ、始めよっか!」
「パーティなんだ」
「ただのおやつだけど、折角だしね!」
 もう一度、今度はちゃんとキスがしたくなるのを誤魔化すように宣言して、カナタに座るよう促す。苦笑しながら零された指摘に、笑顔で応じた。改めての念押しを笑って、カナタが早速竹串で一口ドーナツを刺す。ちょっとだけチョコレートに浸けてから口に運ぶ姿を、見守ってしまう。
「うん、美味い。ちょうどいいかも」
「ほんと? 良かった!」
 視線に気付いていたカナタが、飲み込んでから感想を返してくれる。ビターチョコレートを選びはしたけれど、カナタにはまだ甘いかもしれないと気になっていた。ゼノが午前中揚げた一口ドーナツも焼いたワッフルも全て、甘さをほぼ除いて作ったけれど、美味しく食べて楽しんでもらえるか心配だったから。
 ちょうどいいの一言は、ゼノの心配を取り払ってくれた。心からの笑顔を向けると、カナタが2回瞬きをする。
「ゼノ、ありがとね」
「どういたしまして!」
 微笑んで告げられた礼に、嬉しくて返す声がつい大きくなってしまった。気にせず今度はイチゴを刺してチョコレートを絡めるカナタに、ちょっと迷ってから尋ねてみる。
「……さっきの、許してくれる?」
「ん? それとこれは別」
「カナタぁ」
 さっきの、触れるだけのキス。怒るより呆れの勝った声だったが、カナタの意に反した行為なのは事実だ。喜んでもらえたならと期待を込めて許しを乞うてみたけれど、ばっさり切り捨てられてしまった。
 思わず情けない声で呼び掛けてしまった口に、カナタがイチゴを突っ込んでくる。驚いたがビターチョコレートの仄かな甘さが舌の上に広がり、反射的に口を閉じていた。引き抜かれた竹串の行方を視線で追いかけると、その先に愛おしそうに笑うカナタ。
 チョコフォンデュでは相殺にならないが、許してもらえないことでもなさそうだ。あとで別な要求をしてくれるのかもしれない。夕飯のリクエストとか。
 それがわかっただけでも充分かなと、ゼノも竹串でワッフルを刺し、ミルクチョコレートに絡めた。
「じゃあ、俺も。はい、カナタ。あ~ん」
「……いや、それ恥ずかしいし」
 交換するのもいいなと思って差し出してみたけれど、カナタは視線を逸らしてしまう。照れる姿が可愛い。前科というほどではないが、一度してしまったのだし、もう一度キスしたって同じではないだろうか。そんなことを考えてしまう。
 触れるだけのキスじゃ、物足りない。カナタとのキスはいつだって嬉しくて、そう、チョコレートよりもっと甘くてクセになってしまうくらい、極上の。
「……甘……」
 口元に運んだワッフルに観念して齧り付いてくれたカナタには、やっぱりミルクチョコレートは甘すぎたんだろう。顔を顰めて零された一言が、ゼノの耳に届く。
 ぱちりと瞬きをして、首を傾げてしまった。
「カナタほどじゃないよ」
「は? ゼノの方が甘いでしょ」
 ミルクチョコレートも甘くて美味しい。でも、それよりもっとずっと、カナタのキスの方が甘くて美味しい。
 と思いながら返したら、顰めたままの顔を傾けたカナタが反論してくる。なるほど、同じキスでも受け取り方は違って当たり前だ。というか、ゼノがカナタとのキスが一番甘いと思うなら、カナタも同じように思っていてもおかしくない。
 それに、ゼノが感じる甘さと、カナタが感じる甘さも違うのかもと思い当たる。だって、同じチョコレートを食べても、感想が違うんだから。
「俺は、カナタの方が好きだよ」
「意味わかんない……それ言ったら、オレはゼノが好きだけど」
 どちらが甘いかという比較は正確じゃない。それならと好みで告げてみたら、カナタには首を振られてしまった。意味がわらかないと言われても、ちゃんと会話は成立しているのに。
 ゼノはカナタのキスが好きだって伝えたから、カナタはゼノのキスが好きだって返してくれたんでしょう?
 でも、これ以上言葉で紡ぐのも無粋かなと思ってしまう。カナタとのキスについて考えすぎたから、我慢したくなくなったのもある。
「じゃあ、後でもう一回キスしよ」
「何がどうなってじゃあなの?」
 誘いかけると、目を丸くしてカナタが声を挙げた。でも、すぐに了解を返してくれるから嬉しくなる。
 止まらなくならないようにと釘をさされて頷くが、カナタの目は疑わしいと雄弁に告げていた。
 止まる必要、なくない?――と、思っているのがバレてるんだろうか。いつもゼノを気遣ってくれる優しいカナタに、言葉じゃなくて行動で求めてしまいたいことも。
「ゼノって、時々怖いくらいぐいぐいくるよね……」
「えー? 自分じゃわかんないなぁ」
「だろうね!」
 カナタのぼやきに首を捻ると、それはもう力強く頷かれてしまった。ゼノとしては、カナタが与えてくれる好きを、同じように伝えているつもりなのだけれど。
 改めてビターチョコレートを絡めたイチゴを頬張るカナタが、微かに顔を顰めた。
「ゼノ、見過ぎ」
「え、ごめん」
 見つめる視線が煩わしかっただろうか。カナタの指摘に謝ると、苦笑が返ってくる。それからカナタは、竹串でマシュマロを刺し、ビターチョコレートを絡めてから。
「カナタ?」
「ビターも食べたいんじゃないの?」
 差し出されたマシュマロに呼び掛けると、カナタに視線の意味を勘違いされていたことが発覚した。確かに、カナタの口元を見つめていたけれど、そうじゃなくて。
「早くキスしたいなぁって見てたんだよね、あはは……」
「……ほんと、ぐいぐい来すぎでしょ」
 正直にカナタの口を見ていたことを白状すると、盛大な溜息が零れていった。でも、嫌そうじゃない。むしろ、少し困ったような、でも嬉しそうな、笑顔。
 堪らなくなって、差し出されていたマシュマロに齧り付いた。キスは後で、お腹が満たされてからと自分に言い聞かせるように。




+モドル+



こめんと。
カナゼノお話記念すべき30作目!
だからというわけではないですが、ホワイトデーの代わりに、
『変わったおやつ』のゼノ視点編です。
カナタ編書いた時のラスト、「ゼノどうした?」
って感じだったので、補足したかったんですよね。
ゼノはぐいぐいいく。カナタがたじろぐぐらい。
それくらいが私的悶絶ポイントです。
(2022.3.8)