初春案内 at Night サンプル
※冒頭省略してます(頒布用サンプルと同じ箇所から)※
息苦しさにか身じろぎしたゼノの足が膨らんだ性器と擦れ、走った強い快感に喘ぎ、キスが解ける。
「カナタの、大きくなってる……」
「ゼノのせいじゃん」
服越しでも気づかれないはずがなく、ゼノが熱で浮かされたように告げた。自分だけが昂っていると指摘されたように思え、拗ねたように返してしまう。カナタがこんなにも興奮するのは、ゼノにだけなんだからと。
「じゃあ、俺のは、カナタのせい、かな」
「え? あ……」
「ん、カナタ、すっごく可愛いから、興奮しちゃった」
くすりと笑って告げたゼノが軽く腰を揺すると、カナタの足にも熱く硬いものが擦れる感触が。気づき漏れた声に、ゼノが笑う。うっとりととろけるようなその表情を、恐らく恍惚と呼ぶのだろう。熱い息が荒くなっているのはお互い様なので、もしかしたらカナタ自身も似たような表情だったりするのかもしれない。
「ゼノ」
「ん、カナタ」
呼びかけ口づけると、ゼノの方から舌を忍び込ませてくる。絡ませた舌の感触の気持ちよさに身を捩ると、互いの性器が足に擦れて堪らない。
息継ぎにほんの僅か離れ目を開けば、赤く色づいたゼノと目が合う。気づいたゼノの目がきゅっと細まって、嬉しいと伝えてくれる。
「愛しす」
意識もせずに口走った唇は、ゼノによってすぐ塞がれてしまった。途切れた言葉の続きをも飲み込むように舌を引き出し吸われ、唇で歯で甘く噛みつかれる。互いの視線は絡んだまま、どちらも目を閉じない。閉じられない。
まだ見慣れないし気恥ずかしくもあるけれど、親友だけの時には見られなかったゼノの欲情を隠さない表情に、体の奥深くまで揺さぶられる。もっと見たい、もっと気持ちよくなりたいと、止めどなく欲が溢れてしまう。
ゼノもきっと同じように感じているのだろうと考えると更に加熱されて、心も体も昂っていく。「愛しい」なんて言葉じゃ足りず、「愛しすぎる」と口走ってしまうくらいに。
「カナタ、ごめん」
「なに?」
先に唇を解いたのはゼノだった。煽情的な表情のまま眉尻を下げ、少し困惑気味に呼びかけてくる。荒い息のまま応じると、意識させるためにか強めに腰を摺り寄せられた。先ほどからお互い止められずにいたせいで硬くなっていた性器同士が衣服越しに擦れ、小さく喘ぐ羽目になる。
聞こえたのだろう。嬉しそうに目を細めたゼノが、抱き着いていた手で背中をゆっくり撫でていく。
「ちょ、ゼノ……っ」
「我慢できなくなっちゃった。直接、触らせて?」
「いいよ。オレも、触りたい」
ぞくぞくとした快感がゼノの手が撫でたところから全身に走る。危ないからと止めようとしたカナタを遮って告げられたゼノの要望に、こくりと息を飲んでから頷いた。
離れがたさはあるけれど、先に進みたくて焦れるのもわかる。早急にゼノの上から体を起こして、自分のシャツの裾を掴む。
「って、ゼノ!?」
「そっちは後でいいよね?」
「わっ、じ、自分で脱ぐからっ!」
ところが裾を持ち上げるより先に、同じように体を起こしたゼノの手が伸ばされた。カナタのズボンを掴んで若干力任せに引き下ろそうとしてくる。慌てて避けようとするも、ずるりと下げられてしまう方が早い。こんなところにもゼノの器用さは発揮されてるんだろうかと、逃避行動の一種かどうでもいいことが浮かんで消えた。
カナタの抵抗をものともせずに腿の半ばまで服を引き下ろしたゼノは、満足そうにうっとりと笑う。そのまま剥き出された性器に手を伸ばしてくるので、今度こそ阻止する。
「ゼノだけ、ずるくない?」
「あ、そっか。ごめん」
「ちょっ、ゼノ……ッ」
ゼノが顔をあげるより先に訴えると、納得して頷いてくれた。伸ばされた手が引っ込んで、代わりにカナタが手を伸ばしたというのに、ゼノはさっと自分でズボンを下着ごと下してしまう。留めるための声は間に合わないままベッド下に脱ぎ捨てられ、曝け出されたゼノの下半身を目撃して息を飲む。
ゼノの性器も硬く屹立して、先端に液を滲ませていたから。
「カナタの、ぴくってしたね」
「は!? いや、そういうの言わなくて良くない!?」
「あはは、真っ赤。すごく、可愛い」
「ゼ、んっ」
視覚から得た興奮に反応したことを目撃されかつ言語化されて、恥ずかしさからちょっと強めに抗議してしまった。でもゼノは全然気にした様子もなく、微笑んで告げたままに口づけてくる。キスすることに否はないけど、直接触ってくれるんじゃなかったのかとちょっと思ってしまう。
自分が脱がされたからというのもあるが、ゼノを脱がせるのはカナタがやりたかった。前回も言い出す前に自らパッと脱いでしまっていたからちょっと楽しみにしていたのに、来週以降に持ち越しらしい。もしや行為に及ぶ前に脱がせたいと主張しておくべきだろうか。
ちょっとがっかりしながら自分も中途半端に下ろされたものを脱いだカナタだが、直後身を硬くする羽目になった。
ゼノがキスをしかけながら、カナタの首に腕を回したから。
抱き着かれれば体も密着する。しかもお互い膝立ちの状態だった。ついでに性器は屹立していて、胸や腹より前に出ているわけで。
「~ッ!」
口を塞がれているからというのもあるが、声にならない悲鳴をあげた。ゼノも舌の動きを一瞬止めたが、何もなかったかのようにカナタの舌を味わい続けている。そのうえで、更に擦りつけるように腰を揺らし始める。
ある意味直接触ってると言えるのかもしれないと、ちょっと思考が逃げた。ゼノが腰を揺らすと互いの性器が擦れて、強い快感が全身に走っていくせいだ。前にした互いに触り合うのを想定していたカナタには、刺激が強すぎた。
手でされるのとは全然違う感触ともどかしさに、頭のどこかが焼ききれそうなほど興奮する。
「っ、ん、ぁ」
衝動に突き動かされて、右手を伸ばした。触れた先端をまとめて手のひらで包み込むと、舌を絡めたまま喘いだゼノの腰が跳ねる。敢えて気づかない振りで押し付けるように手を動かすと濡れた音がそこからも響き、快感に腰が震えた。
お互いの先走りを纏わせた手を滑らせ、横からまとめてそっと握り込む。ゆっくり手を下げていくだけで、今まで感じたことのない気持ちよさを覚えた。自分の手なのにゼノのものと一緒にしているからか、感触がいつもと違う。自身のものじゃない熱と脈動を感じるのが堪らなく悦い。
もっと気持ちよくなりたいと左手も伸ばして先端を手のひらで捏ねながら、右手を何度も上下する。
「はっ、カナタ……っ」
「ん、これ、やばいね……っ」
未知じゃないのに知らない快感に、ゼノがキスを解いて喘ぐ。頷きながらも手が止められない。気持ちいい。ゼノの中に押し入る時と違い、同じ快感を共有しているという事実の認識が、更に理性を溶かしていくようだ。
「きもち、いっ、んっ」
「オレも、あ、ゼノっ」
「ん、俺も、触らせて」
喘ぎながら、ゼノも右手を下に伸ばした。カナタが握っているのと逆側に触れられ、加わった刺激に声が漏れる。敢えてカナタの動きに逆って動かされると、増幅した気持ちよさに射精感が高まっていく。
自然と前屈みになったのか、ゼノと額がぶつかった。キスがしたくなるより早く、ゼノの方から舌が差し出される。ゼノも同じなのかなと思ったら嬉しさと愛しさが溢れて、意図せず手の動きが早まっていく。口を塞いでしまわぬよう舌先だけを絡めると、手の中の熱がびくびくと震え出した。
ゼノももう出そうなんだと思ったら、もっと昂ってしまって。
「はっ、ゼノ、出る……っ」
「んっ、俺も、カナタ、カナタっ」
「ぅ、く……っ」
舌を解いて喘ぐと、ゼノも頷いて手の動きを強めた。先端を包んだままだった左手に熱いものが放たれるまで時間は掛からず、ゼノの反応でほぼ同時に達したことを知る。
荒く浅くなった息を少し整えてから、そっと手を離した。向かいでゼノも同じようにしていて、目を合わせてどちらからともなく笑う。
「すっごい、気持ちよかった」
「ん、やばかった」
ゼノの感想に頷いて、外した左手を持ち上げる。二人分の吐精を受け止めた手のひらは白濁した液にまみれていて、ちょっと卑猥だ。でもこのおかげで着たままのシャツを汚さずに済んだので、結果としては必要だったかなと思う。
+この続きは本にてお楽しみください+
頒布はこちらから(pictSPACE店舗へリンク)
こめんと。
元日のお話『初春案内』の夜のお話です。
つまりは姫始めですね!
めちゃくちゃがっつり書きました。
8割方いちゃついてる気がします。
気に入っていただけたら、本もよろしくお願いします~!
(2023.1.8)