ログインボーナス
「そういえば、一昨日思い出したんだけどさ」
土の曜日、夕刻。ゼノと2人で夕食を摂りながらの雑談中、新作ゲームに盛り込む要素に話が及び、ふと思い出して口にする。
「バースのソシャゲって、ログインボーナスがあったんだよね」
「ソシャゲは前に教えてもらったやつだね。ログインボーナス……ログインすると加点される……特典がもらえる?」
「そうそう。回復アイテムだったり石だったり、内容はいろいろだったな。掛け持ちしてたりリアルで忙しいと、ログボだけもらってアウトするとかあったみたいだけど」
カナタ自身はあまりソーシャルゲームには興味がなく、仲間内で流行っていたものを話題の為に入れていたくらいだ。好みのジャンルがスマホ向きではなかったのが主な理由だ。
以前話題に出した際、課金についても説明していたので、簡単に補足しておく。課金をしなくてもログインボーナスを貯めることで、本来有料のガチャを回せたりもするんだと。
興味深そうに聞いてくれたゼノは、今までに作ってくれた作品や次回作に取り入れられないかを真剣に考えてくれている。
確かにその話題の時に出したけれど、カナタ自身はログボが欲しいと訴えたつもりはなく、少し焦ってしまう。容易く請け負って新作を提供してくれるが、ゲーム制作はとんでもなく大変なはずだ。特に必要でもない要素の為に、ゼノの手間を増やしてしまうわけにはいかない。
どうせなら2人の時間に還元してもらえた方が嬉しい、なんて思ったのは内緒にしておくとして。
「ゼノのゲーム、ポイントとか設定されてないし。すごい欲しいってわけじゃないから」
「う~ん、確かにポイント制にはしてないもんね。規定回数でアイテムプレゼントっていうのは組み込めるけど……」
「いくらでも選び放題じゃん」
「そうなんだよね」
そもそもログボというシステム自体が、行動回数など制限のあるソシャゲにしか親和性がないような気がする。長くプレイしてもらう為の策でもあるだろう。ゼノのゲームは日替わりでアイテムをもらっても仕方ない上に、折角のゲームバランスが崩れることになりかねない。
説得すると、くすくすと笑いながら了承された。……これはもしやからかわれたのだろうか。
「ゲームに追加はできなくても、ログインボーナスをあげるだけなら思いついたんだけどね」
「え、なにそれ詳しく」
楽しそうに言うゼノに身を乗り出すと、簡単に構想を説明してくれる。小型の認証用システムを用いて、チェックポイントに赴くとポイントが貯まるシステムだそうだ。
……確か、位置情報サービスを利用したそんなアプリも溢れていたような。
「例えばカナタが俺の私室に来た数をカウントするとか」
「は? それどんなログボもらえんの?」
カナタが思い描いたアプリだと、設定されるのは公園や森の湖、王立研究院などだったのだが、ゼノの構想では違ったらしい。思わず食いつくと、ゼノが笑みを深くしてみせた。
「そうだな……5回で好きなおかず、7回でキス一回、とか?」
「ななかいできすいっかい……それ、他でキスしちゃ駄目ってこと?」
「ボーナスにならなくなっちゃうもんね」
衝撃のあまり、オウム返しになってしまった。確認すると、いたずらをしかけたように目を細めて笑うゼノ。なるほど、さっきから笑っていたのはそのせいか。
「それ全然おもしろくないからやりたくないし、そもそも景品にしてほしくないし」
ちょっとだけおもしろくなくて憮然と返したら、意地悪言ってごめんねと頬にキスしてくれた。呆気なく許してしまうので、そういうコンボはできれば控えてもらいたい、です。ゼノからのキスは大歓迎だけど。
こめんと。
拍手お礼に何か~何か書かねば~!
って、サイト構築一段落してから1時間くらいさまよって、
なんかログボって降ってきた。ので書いた小話。
アンミナにログボあったら、エナドリもらえそう。
拍手ありがとうございました!
(2021.7.2)