「愛情を持って長年使い込まれ,黒光りするほどシーズニングされた鋳鉄製のDO,ブラック.ポット。『女房とトラックは貸せても,俺のブラック.ポットは貸せない』と言ったカウボーイがいた。履きこんで,いろあせたブルー.ジーンズが自分だけの宝となるように,自分の手で育てたブラック.ポットは親友にも貸せない大切な道具となる。」 (菊地仁志著 「日曜日の遊び方 ダッチ.オーブン」 雄鶏社 より) 最近あまり山登りには行っていないのですが,もともと外で遊ぶのが好きな“オトコノコ”なものですから,家族でキャンプやバーベキューにはちょくちょく出掛けます。バーベキューは近くの川原でする事が多いのですが,最近マンネリを感じていました。そんな中で以前よりこのダッチオーブンには興味を持っていたのですが,上に載せた菊池仁志さんの本を読んで,「こりゃあ買わなきゃならんなあ。」と言う気にさせられてしまいました。道具を育てると言う考えには,憧れがありますもん。 ダッチオーブン(以下DO)とは鋳鉄製の分厚い鍋で,アメリカ開拓時代から愛用され,カウボーイ達の必需品だったそうです。肉,魚,野菜,麺,そしてそれらを煮る,焼く,炒める,茹でる,蒸すなど様々なバリエーションの料理に使えます。そして厚くて重い鍋と蓋により圧力鍋と同じ様な効果が出せるので,美味しく料理する事ができ,蓋の上に炭を乗せる事によって,上からの加熱により,パンやケーキを焼く事もできます。しかし便利な反面,使い始めにはシーズニングと言う慣らしが必要な事と,使った後の手入れに手が掛かります。それでも使い込んで,ブラック.ポットと呼ばれる真っ黒なDOに育てる事が,何と言っても一番の魅力かも知れません。 さて買うに当たっては色々と悩みました。まずDOにはアルミ製と鋳鉄製があるのですが,これは当然鋳鉄製で決まり。メーカーはカウボーイに敬意を表して,「Made In USA」のLODGE社で決定。さてここからなのですが,キャンプDOにするかキッチンDOにするか。そしてサイズは12インチか10インチか,深さは普通かDEEPか。アウトドアだけで使うのなら12インチのキャンプDOなのでしょうが,家の中でも使う事,それもこちらの方が頻度が高いであろう事を考えると10インチのキッチンDOか。本を読んだり,色々な方のホームページを見ましたが,皆さん色んな意見をお持ちの様です。まあ中間をとった訳でも無いのですが,10インチDEEPのキャンプDOに決めました。 |
|
3連休初日の10月12日,妻Mと新宿三越にある「A&Fカントリー」へ。各種サイズのDOが積み重ねられた姿は圧巻ですね。最初に出してもらった品は,蓋のガタツキが気になったのでパス。最近はインターネット等の通販で買う人も多いんでしょうけれど,やはり自分で見て触って納得した物を選びたいですね。布製のキャリング.ケースと蓋を持ち上げる為のリフターを併せて購入。2万円弱です。紙の袋を二重にしてくれたんですが,破けそうだったので紙袋を抱える様にして帰宅。まずは袋から出して記念撮影。左がその写真ですが,これが本当に真っ黒なブラック.ポットに育ってくれるんでしょうか。 |
さてここからシーズニングですが,これも方法に関しては様々なやり方がある様です。最初にワックスを洗い落とす事,表と裏に油を塗って火で熱する事,匂いの強い野菜を炒めて鉄の匂いをとる事が基本なのは判ります。でも洗うときに洗剤を使うか否か,油は何がいいのか,焼く時間と火力はどうするのか,様々な疑問が湧いてきます。でもアウトドアって基本的には経験が全てですから,失敗を恐れずにまずはやってみましょう。最初は蓋を洗剤で洗い乾かした後,油(クリスコ.ショートニング.オイルを使用)を塗って火に掛けます。油が焼けて白い煙が出てきます。10分ほど中火で熱しました。一旦熱するとなかなか冷めないのでやたらと時間が掛かります。冷めたら焼けた油をタオルで拭き取り,再度油を塗って表と裏を二度ずつ焼きます。 |
さて次はいよいよ本体です。やり方は蓋と同じなのですが,蓋と違って高さ(深さ)がある分,ちょっと強めの火で長めに焼きました。後半はお酒が入ってましたので(DOではなく私の方に),最初の頃に比べて大胆になってきます。白い煙がもうもうと立ちました。次は野菜炒めなのですが,別に食べるわけではないので,長ねぎ,生姜,キャベツを適当に炒める。最後に洗剤を使わないで(基本的にはこれ以降,洗剤は二度と使わないはずなのですが)お湯で洗って,乾かしてシーズニングは終了しました。右の写真がこの状態です。最初の写真と比べると,かなり黒くなってきましたが,まだまだこんなモンではないですね。 |
|
ダッチオーブンの本などでは,かなりの数のレシピが載っています。実はDOが欲しかったのは,鳥の丸焼き(ローストチキン,スタッフドチキン)が作りたかったんです。でもこれは上下から熱を加えないといけないので,家の中で作るにはちょっと不向きでしょうか。明日にでも外で料理しようかとも思ったのですが,まだまだ我がDOは見るからに心もとないので,アウトドア.デビューはもう少し先になるでしょう。何時の日か,川原で盛大に我がブラック.ポットが大活躍する夢でも見ながら,今日はこれにてお終い。 |