1975.05 巻機山

5月 2日(金),3日(土) 曇り後雨  上野(18:17〜21:50)六日町(06:35〜07:25)清水(07:35〜13:40)ニセ巻機.巻機山コル

 ゴールデンウィークと上越線の事故が重なって列車はひどい混雑だった。六日町ではラーメンを食べて仮眠を十分取る。朝,天気はあまり良くなかったが,うっすらと遠くの山々が見える。まだかなり雪がありそうだ。清水からの登りは急で,ザックにつけたピッケルが木に引っ掛かったり,道の上の雪がグチャグチャで歩きにくい。登るにつれて背後には谷川連峰が雪を身に付け連なっているのが見え出す。中でも一番近くにある大源太の威容が特に目を引く。風が強くなりガスがかかり,おまけに雨も降り出してしまった。ニセ巻機を越したコルでサイト。近くには新潟大学ワンダーフォーゲル部他数パーティーがテントを張っていた。

5月 4日(日) 雨時々くもり  (停滞)

 朝起きたら雨だった。日本付近に前線が停滞し,回復の見込みは全く無い。今日は停滞する事に決まる。予定では谷川岳までなのだが,完走はかなり難しくなってしまった。午後になると雨が上がり,近くの山が見え始める。でもすぐに降り出し,テントは雨漏りがするし,シュラフは濡れてくるしで,うっとうしい一日だった。


米子頭山から見た巻機山

5月 5日(月) くもり時々晴れ後雨  ニセ巻機.巻機山コル(07:00〜07:25)巻機山稜線(07:40〜10:45)米子頭山(10:45〜11:50)柄沢山(12:10〜14:55)桧倉山(15:05〜16:25)大烏帽子山(16:45〜17:10)小烏帽子山.ジャンクションピークコル

 ガスが濃かったが雨は降っていない。今日ジャンクションピークまで辿り着ければ完走も見えてくる。巻機山の稜線に出るとガスが晴れ,雲海の彼方に仙ノ倉や苗場山が見えてくる。心踊る瞬間だ。牛ヶ岳をあきらめ上越国境の尾根に入る。広い尾根の上は相当な積雪で,所々にクレパスが口を大きく開けている。米子頭から後ろを振り返ると,なだらかな巻機山の頂上を,雲がゆっくり包み込んでいく素晴らしい景色が印象的。雪上のトレースを追い,時には不意に現れる夏道を辿り進む。柄沢山を過ぎたあたりで,うっかりして南西に伸びる尾根に入り込み1時間ほどタイムロス。ちょっと晴れていたと思ったらすぐにガスが掛かり,霧雨となり気温はグングン下がっていく。はっきりとしないピークをいくつか過ぎ,桧倉山に着いたのは3時過ぎ。腹が減ってくる。大烏帽子を越して登り返した地点でサイト。寒くて天張りが大変だった。

5月 6日(火) 雪時々くもり  (停滞)

今日も天気は悪く,雪が降っている。ついに完走を諦め,今日は停滞して明日下山する事にする。まったく何でこんなに天気が悪いのか。ラジオの天気予報で「低気圧」と言う言葉を連呼するアナウンサーに,八つ当たりの悪態を付く。

5月 7日(水) 雪後曇り後晴れ  小烏帽子.ジャンクションピークコル(07:40〜08:35)ジャンクションピーク(08:45〜12:30)丸沢出合(15:25〜16:30)清水(18:15〜18:55)六日町

 朝降っていた雪も出発頃には止んでくれた。それでも30cmくらい積もっただろうか。ジャンクションピークへの登りは急で,歩き始めなのでかなり応えた。一面のガスで何も見えなかったが,木々にくっついたエビのシッポがきれいだ。下りはかなりの緊張を強いられる。清水峠から十五里尾根へ取り付く際のトラバースが特に危険。皮肉な事に丸沢まで下りてくると空は完全に晴れ上がり,いままで歩いてきた国境の尾根が望まれる。バスの時間までかなりあったので,ここで濡れた物を乾かし,昼寝をして清水へと下った。悪天候に悩まされ,完走する事はできなかったが,残雪期の上越はいい経験を与えてくれた。来年は自分の力で,と思いながら清水を発った。

同行者(武井,松葉,栗原)