1975.07 上州武尊山

7月11日(金),12日(土) 曇り後雨  上野(19:40〜23:02)水上(07:25〜07:55)久保(08:00〜09:00)上ノ原山の家(09:00〜11:35)宝台樹山分岐(12:05〜12:13)名倉のオキ(12:13〜12:35)避難小屋

 水上で十分に仮眠を取る為,上野を早い電車で出る。例によって大勢の見送りを受け,帰宅組の遠山,下平,橋本と一緒に電車に乗る。一人一人電車を降りていくにつれて寂しくなってくる。何で一人で山に行くのかなあ。水上駅では手頃な場所を見つけてシュラフに入る。蚊がいたのであまり良く眠れなかった。朝6時過ぎに起きると,天気はそれ程悪そうではない。昨日の電車の中からは夕焼けも見えていた事だし,今度こそはいい天気の山行ができそうだ。

 久保を出ると後ろに朝日岳方面が見えてくる。谷にはかなりの残雪がありそうだ。時々晴れ間も覗いている。よーし,よし!。名倉沢沿いの林道はいつのまにか山道に変わる。するとだんだん曇ってくる。さっきまで後ろに見えていた朝日岳や柄沢山もガスに隠れてしまった。そして11時頃ついに小雨が降り始める。「クソー,またかヨッ!」。道が川になり,大きなカエルやムカデが出てくる。「気持ちワリー」。名倉のオキを過ぎると,道はササで覆われズボンがビショヌレになる。前から来た女性二人に聞くと,上の方の道はひどいらしい。避難小屋は手小屋谷のすぐ横にあり,すごく立派な小屋だ。迷わず小屋に入る。

 奥の方に乾いたササが敷いてあったので,その上にシートをかけてザックの中身をぶちまける。服は全て濡れているので,全部取り替える。気持ちがいい。コーヒーを飲んでいると,上から降りてきた3人組みが小屋に入ってきた。上の稜線は雨で凄いらしい。彼等が出ていった後,下から上がってきた二人はこの小屋に泊まるらしい。良かった,一人じゃなくて。彼等二人は東大生だそうだ。明日は沖武尊をピストンしようかどうか迷っているらしい。どうするのかと聞かれたので,すました顔で「縦走しようと思ってますよ。」と言ってから後悔した。6時頃寝たのだが,小屋の屋根を打つ雨音で,雨の強さが判る。

7月12日(日) 雨  避難小屋(06:10〜07:25)沖武尊西ノ肩(07:25〜07:45)沖武尊(08:15〜08:30)武尊牧場分岐(08:30〜08:45)家の串(08:45〜09:10)剣ヶ峰中峰(09:20〜09:35)前武尊(09:35〜10:15)不動岩(10:40〜11:45)旭小屋(13:00〜14:25)川場太郎(14:40〜15:10)沼田

 何だか寝たり起きたりであまり良く眠れなかった。外はまだかなり強く雨が降っているようだ。6時過ぎに覚悟を決めて小屋を出る。樹林帯の尾根道はまるで川の様になってしまっている。稜線に達すると,そこは森林限界を超えている。武尊の頂上で傘をさしてビスケットとソーセージを食べていたら,小さな虫がたくさん飛んできて雨宿りをする。川場谷の源頭にはかなりの雪が残っている。頂上からは稜線の右側を巻く道になっている。予定ではこの辺でテントを張ろうと思っていたのだが,ちょっとサイトできる様な場所は見当たらない。

 雪がまだ残る稜線の道のあちこちに地蔵などの石仏が置かれている。信仰の山だからしょうがないが,一人で歩く身には不気味なだけだ。家の串を過ぎると岩場になる。三つのピークからなる剣ヶ峰の最初のピークは左に巻き道がありそちらを通る。サイト地を1時間遅く出ているのに,前武尊通過は1時間予定より早い。これなら16時の帰着連絡に充分間に合いそうだ。下りはかなり急で,不動岩のあたりで岩場の左をトラバースするところが,ちょっと緊張させられる。旭小屋の中で焚き火をして服を乾かす。何か最近は山に行くといつも雨だなあ。