1975.08 南会津

8月 6日(水),7日(木) 曇り時々晴れ,一時にわか雨  上野(22:13〜04:00)小出(05:36〜07:03)只見(07:09〜07:24)黒谷(08:35〜12:25)城郭沢出会

 長いなあ,嫌だなあ,等と言いながら出発の日が来てしまった。上野の駅を一番速く出発する為に,他のパーティーの連中が見送りにきてくれた。「頑張ってこいよ!」,「集結の日にな!」。大袈裟な別れの場面だ。初日は10kmのロードだ。初めての本格的なヤブ山。まわりに見える山々を見ながら,ヤブはどんな感じなのだろうかと,そればっかりが気になってしまう。サイト地では差し入れのスイカを食べ,水をガブ飲みする。明日からは水が無いので心配だ。雨が降ったり止んだりしていた。

8月 8日(金) 曇り時々晴れ,一時にわか雨  城郭沢出会(05:05〜06:00)下二俣(06:10〜16:32)城郭朝日山

 城郭沢をつめる。今日も雨が降ったり止んだりしていて憂鬱な気分だ。水の中にジャブジャブ入りながら進む。ルートを間違い,城郭朝日山から西へ延びる尾根の北側の沢に入ってしまう。上部はネマガリダケの急斜面で,一年生がバテ始める。やっと出たピークは狭いのだが,他にサイトできそうな場所も無いので,ここにテントを張る。下が整地されていないので,テントがうまく張れないので,仕方なく2年生3人は外で寝る。水を汲みに下の沢に下りたのだが,得られず。ヤブは思った以上に厳しい。先が思いやられる。


ヤブの中で大苦戦

8月 9日(土) 晴れ時々曇り  城郭朝日山(07:20〜16:37)P.1446

 朝素晴らしい天気だ。ちょうど陽が出てきた時で実に気分がいい。最初から物凄いヤブに悩まされる。思う様に前に進めないし,尾根を忠実に辿るのが難しい。相当な時間歩いているのに城郭朝日山がすぐ後ろに見える。頂上に居た時には気付かなかったが,ピークの東側が岩場になっているのが判る。P.1446北西0.5km地点のコルから,高島さん,橋本と私の3人で水汲みに沢へ下る。3分下っただけで水が得られた。水汲み要員の役得で,ビスケットを食べながら水をたらふく飲む。しかしその後が大変。ポリタン8個ずつをキスリングの上にしばりつけてのヤブこぎは苦難だ。今日はP.1446にてサイト。9時間も歩いたのに,これだけしか進んでいないと,地図を見ながら溜息を吐く。

8月10日(日) 晴れ時々曇り  P.1446(05:40〜12:18)恵羅窪山(12:35〜17:37)恵羅窪山南東方1.0kmコル

 単調にて複雑極まりない作業が続く。ヤブは濃くなったり薄くなったりを繰り返すが,鞍部はおおむね2m程の草にツルがからまった嫌らしいヤブになっている。両足のスネばかり木にぶつけるので,スネが腫れて痛くてしょうがない。恵羅窪山東南東0.8km地点から南に入る尾根が判らず,ネマガリの急斜面で苦労させられる。やっと見つけた尾根を下りサイト。今日はいいサイト地だ。明日からいよいよ小林から桧枝岐へと地図が変わる。

8月11日(月) 晴れ  恵羅窪山南東方1.0kmコル(07:00〜10:40)小手沢山(11:20〜13:30)小手沢山南方0.8km

 天気は相変わらずいい。快調なペースで進む。ヤブも以前よりは酷くないが,小手沢山の手前が酷かった。小手沢山での昼食時,高島さんが木に登って見渡したところ,稲子山と三ッ岩山が確認できたそうだ。いったい三ッ岩に着くのはいつのことだろうか。この2,3日は行動時間が長かったので,今日はやたらと早くサイト地に着いた様な気がする。水は西側へ20分程下った沢で得られた。

8月12日(火) 晴れ  小手沢山南方0.8km(05:00〜08:47)山毛欅沢山(09:00〜13:21)P.1436

 ヤブは以前に比べると幾分良くなった様だ。ヤブの中は暑いにかと思っていたのだが,そうでもない。風はこないが,陽がほとんど当たらないせいだろう。山毛欅沢山の登りで,左に三ッ岩岳が大きく見えた。まだ遠いなあ。山毛欅沢山を越したあたりから,現在地点が判らなくなってしまう。どうやら予定のサイト地を過ぎてしまっている様だ。腹が減ってバテる。昼食を取るにしろ,行動食を出すにしろ,どうも1本遅いんではないだろうか。今日は三本ブナ峠でサイト。酷いサイト地だった。おまけに水も無し。

8月13日(水) 晴れ  P.1436(05:20〜06:35)小沢山(06:35〜07:45)小沢山西方コル

 ヤブが薄いため,いいペースで進む。小沢山の下りで北側の沢へ下りそうになってしまった。8時前にサイト地到着。時間がある為,念入りに木やタケをナタで切りテントを張る。3年生がホットケーキを作ってくれる。フリー時間は長すぎて,する事が無い。飲み物も食べ物も無いんだからしょうがないか。うまくいけばあと山中二日だ。水は北側の沢で取る。今日2年はビバーク。

8月14日(木) 晴れ時々曇り  小沢山西方コル(05:05〜08:05)稲子山南峰(08:20〜12:10)P.1447

 しょっぱなから300mの登りだ。1年のペースが遅く先走りが暇だ。だんだん視界が開けてくる。坪入,窓明,三ッ岩がはっきりと見える。稲子山南峰の下りで尾根が判らず繰ろうする。P.1447手前のコルでは,広い平地がネマガリダケで覆われ,周りが全く見えず方向を間違える。パーティーを一旦止めて,方向の確認を行う。磁石を頼りに高い方へと進んでいくと,何と目の前に指道標が見える。何かと思ったが,そこには道が入ってきていた。幅1mもある立派な道だ...うれしかった。そこでサイト。南側の沢で水が得られた。あと山中1泊。だけど合宿は後1週間もある。あーあ。

8月15日(金) 晴れ時々曇り  P.1447(05:00〜07:40)坪入山(07:50〜08:20)坪入田代(09:00〜09:50)坪入,窓明コル(10:00〜12:15)窓明山(12:50〜13:10)窓明山南方1.0km

 道とはこんなにも歩きやすいものだったんだろうか。今まででは考えられない様なペースで進む。しかし,ガーン。道が途絶えている。坪入山の少し手前から再びヤブコギだ。朝露でビショヌレになる。ピーク少し手前で腕時計を紛失してしまう。坪入山からは踏跡があるのだが,尾根上をちゃんと通っていなかったり,消えていたりで,かえっていやだ。少し下っていくと,小さな湿原に出る。あまりにもいい所なので,ここには何も書かない事にしよう。そこで昼食。鞍部から窓明へは,はっきりとトレースされている。窓明山からは遠く城郭朝日が見えたが,去年の夏,大沢岳から甲斐駒を見た時のような感激は無し。驚いた事にピーク付近にはハイマツがあった。下りきった鞍部付近の湿原でサイト。ここもまたいい所だ。オオシラビソの森の中にポッカリと湿原があり,池糖が二つ。そしてワタスゲの群落。さあ,明日は下山だ。


窓明山南方の湿原にて

8月16日(土) 晴れ時々曇り  窓明山南方1.0km(05:00〜05:25)三ッ岩岳分岐(05:40〜06:12)三ッ岩岳(06:50〜07:10)三ッ岩岳分岐(07:25〜09:45)小豆温泉

 雲海の上に朝日が昇る。朝焼け雲が美しい。素晴らしかったサイト地に別れを告げ,最後のピークへと向かう。三ッ岩岳,静かな山だ。とてもきれいでいい山だ。会津駒のゆったりとした稜線が目の前に見える。越後三山から会津の山々,そして飯豊連峰。とりわけ越後駒,中ノ岳,荒沢岳の荒々しい山容が印象的だ。一路,小豆温泉へ。やはり下界は暑い。ひとふろ浴びて,とても気持ちがいい。とにかく,この長い山行は終わったんだ。

8月17日(日) 雨後曇り  小豆温泉(06:50〜08:45)大桃(10:45〜11:15)大川小学校(12:30〜12:35)小立岩(13:10〜14:50)会津田島(19:20〜20:42)会津若松

 今日はフリーワン。パートナーは1年のO君。雨が降り始めてビショヌレになってしまったが,雨はすぐ止んで,服も簡単に乾いてしまった。小立岩の小学校にサイトする予定だったが,食料を調達する場所が無かったので,会津若松まで行く。会津田島で豪華な食事を取る。長い山行を終えて街に降りてきても,これと言った感慨は無い。ただやたらと,スーパー等で売られている食料品が美味しそうに見えるくらいだ。今夜は会津若松駅前の公園で寝る。通行人に変な眼で見られる。うちらに構わないでくれー。

メンバー   4年  小西
   3年  高島,高野
   2年  松場,橋本,私
   1年  村越,飯塚,岡本,中村,野村