1976.12 唐松岳


八方尾根を登る

1976.12.23(木),24(金) 晴れ  新宿(23:45〜07:06)白馬(07:15〜07:20)八方(07:25〜09:20)黒菱平(09:40〜12:50)下ノ樺

 厳冬期の北アルプスである。あまりにもうっとうしいアプローチの交通機関から,やっと開放されて黒菱平につくと,今までかかっていたガスが切れ,五竜岳が望まれる。雪は思ったよりは少なくしまっている為,快調に登り始める。広々とした八方尾根を登るにつれ,眼前に唐松,不帰,白馬三山,そして後方には妙高の山々が良く見え始める。予定より早くサイト地に着いたので,簡単な雪上訓練を行う。あまりにもいい天気で穏やかな一日だったので,翌日からが心配だ。

1976.12.25(土) 雪  下ノ樺(07:05〜08:30)丸山ケルン(08:40〜10:40)唐松小屋(11:15〜11:40)唐松岳(11:45〜12:10)唐松小屋(12:45〜13:30)丸山ケルン(13:40〜14:25)下ノ樺

 雪が降っていたが風も無くガスもかかっていないので,唐松岳へアタック。昨夜から降っていた雪が30cm程積もっている。湿った雪だ。丸山付近で真っ白になった雷鳥を見る。そこから尾根はだんだんやせてきて,岩の露出が目立つようになり緊張を強いられる。ちょっとした岩峰を巻くと,そこは北アルプス後立山の主稜線で,物凄い風が吹き荒れている。急いで唐松小屋に逃げ込み,アイゼンを着けて唐松岳を目指す。意外とあっさり着いてしまった。記念写真を撮って即座に下山。最初のナイフリッジを注意深く越すと,後はもう,シリセードをしたりして,雪と戯れるように下ノ樺まで降りる。


強風の唐松岳頂上にて

真っ白な雷鳥を発見

1976.12.27(日) 雪  下ノ樺(09:50〜11:00)黒菱平(11:20〜11:45)兎平(11:50〜13:15)白馬(14:36〜19:33)八王子

 結局3日あった予備日を使わずに下山。三日目もやはり雪。昨晩から完全な西高東低の冬型になり,この日は風が強い。八方山を過ぎると凄い吹雪となり,一時は顔を上げていられないほどだった。やっとの事で黒菱平に着くと,風の為リフトが止まってしまっていた。しぶしぶ兎平まで下る。
 今思うに,とても運が良かったと思う。もし後一日遅れていたら,とても自分達の手におえる山ではなかっただろう。また。八方尾根上部でのルート選定など,まだまだだなと思う点がいくつかあった。今回の成功は,ある面で幸運な点が多かった事を,良く認識しなくてはならないだろう。

同行者(渡辺,高森,八木下,田中,芳賀)