1992.07 南アルプス 悪沢岳,赤石岳

1992.07.30(木) 晴れ  立川(05:10〜10:45)畑薙ダム(11:00〜15:40)さわら島

 父の「日本百名山」完登に協力する為,再びさわら島を目指す。もう何度も通った静岡から井川への道を進み,因縁の沼平の駐車場に車を置く。ずっと以前父と始めてここに車で来た時に,この先のゲートを開ける開けないでもめた場所だ。まあ規則だから仕方の無い事ではあるのだが。しかしさわら島までの林道は長い。たまに通る営林所関係の車が埃を舞い上げて行くのを,うらめしく眺める。しかし丁度真ん中位まで来た時に,東海フォレストの車が通りかかり,ザックだけはさわら島まで運んでくれると言う。ありがたかった。

 


千枚岳から見た小赤石岳,赤石岳,聖岳,小河内岳(右から)

1992.07.31(金) 晴れ  さわら島(05:40〜07:40)小石下(07:55〜09:20)清水平(09:30〜13:15)千枚小屋

 二日目は千枚小屋までの長い登りだ。地図で見ると,登山道を何度もよぎる様に林道がジグザグに作られている。こんな所に林道を作って,一体何の意味があるんだろう。登山道を進み何度も林道に出合い,嫌な思いをするのなら,いっそのこと転付峠経由で行った方がいいかなとも思っていたのだが,林道はほとんど朽ち果て,あまり気にはならなかった。途中の小石下からは,荒川岳から赤石岳への稜線が奇麗に見えた。山の上で見るよりはなだらかな感じに見えるのが意外だった。 

 小石下を過ぎると,南アルプス特有の深い樹林帯に入り,眺望は全く得られなくなる。これはこれで味わいの深い道ではあるのだが,やはり景色が望めた方が気分も違う。意外と早く千枚小屋に到着する。つい最近立て替えられたばかりの奇麗な小屋だ。時間も早かったので,千枚岳まで登ってみる。明日登る悪沢岳から赤石岳が望まれる。小石下で見た時よりは,はるかに深みのある光景だ。途中父が道から足を踏み外し,足を痛めたようだ。酷くならなければいいのだが。

 

1992.08.01(土) 曇り時々雨  千枚小屋(04:45〜05:50)千枚岳(05:50〜07:25)悪沢岳(07:45〜09:20)荒川岳(09:30〜10:30)荒川小屋(11:00〜13:30)小赤石岳(13:30〜14:05)赤石岳(14:20〜16:40)赤石小屋

 朝は晴れ間が広がっていたのだが,出発の頃になると黒い雲が広がり始めてくる。何となく不吉な予感。昨日登った千枚岳を過ぎ,ほとんど下る事無く悪沢への登りにかかると,雨が降ってきてしまった。今日がこの山行でメインの一日なのに,何でよりによって雨が降る。それでも雨脚はあまり強くはならず,悪沢の頂上に達する。雨はほとんど上がっているのだが,ガスが晴れない。本当なら南アルプス南部の3千メートル峰の眺めを楽しみながら,お花畑の中の道の縦走なのになあ。

 荒川岳からのガラガラの道を下りきって荒川小屋に出る。ここに泊まる事になってもいい様に,寝具や炊事道具は持ってきているのだが,時間的に余裕があるので先を目指す。前に来たのは,大学1年の時の全山縦走だから,もう20年近く経っているのか。ここからは赤石への苦しい登りが続く。途中に出合った二人連れは小渋川から来たらしいが,道を間違えたとかで足が傷だらけになっている。何とか小赤石まで登ると,稜線上の緩やかな道になる。赤石小屋の分岐で荷物を置き,赤石まで往復する。残念ながら聖岳方面は全く見えなかった。


千枚岳から見た悪沢岳

 稜線を外れて赤石小屋に向かう道は物凄く急な道だ。尾根の上の道だから,簡単に行けるだろうと思っていたのだが,かなり時間が掛かってしまう。5時くらいまでに小屋に入らないと,夕飯にありつけないので不安だったが,先行したパーティーが我々の存在を小屋に告げてくれたらしく助かった。ここも南アルプスらしくなく奇麗な小屋だ。小屋の主人は,千枚小屋とはメシの美味さが違うんだと豪語していたが,あまり違いは感じられなかった。小屋の横にある展望台からは主脈が見渡せるのだが,全て頂上付近は雲の中。

1992.08.02(日) 曇り  赤石小屋(05:20〜08:20)さわら島(08:20〜12:25)沼平(13:00〜18:45)立川

 夜中に雷雨の音で目が覚める。荒川小屋に泊まっていたなら,たぶん凄い迫力だったろう。朝になったら雨は止んだが深い霧に包まれている。4泊5日の予定だったが,ここからなら今日中に家に帰れるだろう。深い樹林の中の道をひたすら下る。ここで僕の登山靴が壊れると言うアクシデントに見舞われる。登山靴の予備なんてあるはずも無く,細引きで縛って何とか歩く。長い林道もやはり下りだと楽だ。帰りも荷物は車で運んでもらえた。