1998.07.30(木) 雨 八王子(08:33〜14:40)室堂(14:40〜15:00)雷鳥荘
今年の夏休みは7月30日(木)から8月4日(火)までの六日間だ。予定では父と長男Tの三人で北アルプスの立山から薬師岳への通称ダイアモンドコースの縦走をする事になっていた。初日は黒部立山アルペンルートを使って室堂まで入るだけなので,妻Mと長女Mも一緒に行って,あわよくば全員で立山の往復くらいはできればと思っていた。結果はこの後書く通り散々だったのではあるが。
本当だったら7月末のこの時期は,梅雨もとっくにあけて暑い日が続くのが普通であるが,今年はエルニーニョ現象の影響だろうか,まだ梅雨前線が日本列島に横たわっている。その代わり台風の発生も少なく,やっと1号が先日誕生したと言う異常な気象である。会社の休みの調整や,1ヶ月前から汽車や宿の予約を取ったりしているので,今更予定を変更するのも難しかったので,予定通り出発する。
8時33分発のスーパーあずさに八王子から乗る。ほぼ満員だ。途中松本の手前で雷雨だったが,おおむね晴れ。信濃大町で降り扇沢へのバスに乗る。観光客でごった返している中をトロリーバスで黒部ダムへ。長い階段を昇ると黒部ダムの展望台に出る。水はかなり多く,黒部川へ放水しているさまが見事だ。ここからケーブル,リフト,トロリーバスを乗り継ぎ室堂へ。小雨の降る中を雷鳥荘まで歩く。ガスで立山はもちろん,まわりの景色は全く見えない。
今晩宿泊する雷鳥荘は山小屋と言うよりは旅館といった感じで,我々の泊まった部屋は10畳位の個室。さっそくお風呂に入る。夕飯を食べ終わると,する事も無くなり早目に寝る。夜中の3時頃目を醒ますと満天の星空だった。ちょうど長女Mも起きたので一緒にお風呂に行く。男風呂に入るのはいやだと言っていたが,誰も居ないからと言うと一緒に入ってきた。せっかく星が見えるので妻Mを起こして外に出る。さすがに空が澄んでいるのだろう,天の川がはっきりと見えた。妻Mは初めて見る天の川だそうだ。
1998.07.31(金) 晴れ後雨 雷鳥荘(06:30〜08:05)一ノ越(08:15〜09:00)雄山(09:15〜09:40)一ノ越(10:00〜10:50)竜王岳(11:10〜12:30)室堂
![]() 朝はこんなに天気が良かったのに... |
6時の朝食後出発する。天気もいいので5人で立山まで往復だ。一旦室堂まで戻り,妻Mと長女Mの荷物をコインロッカーに預ける。目の前に立山,そしてその左側に剣岳も顔をのぞかせている。反対側には大日岳へ続く稜線がきれいに見えている。いい天気にこれからの山行に期待が膨らむが,ガスがどんどん上がってくる。あまり天候は安定していないのだろう。一の越に着くと早くもガスに包まれてしまう。荷物を置いて雄山を目指す。かなり急な登りだ。 長男Tは何てこと無く登ってくるが,他の三人はかなり苦戦している。それでも40分程度で頂上に到着。拝観料を払って神社で祈祷を受ける。ガスの為何も見えず,おまけに小雨まで降り始めてしまう。一の越に戻り雨具を着ける。どうも父の体調が思わしくない様だ。これからの長いコースを考えると先が不安だし,天気も良くなりそうにないので,下山を提案するが,がんばると言う。ここで妻Mと長女Mと別れて五色が原へと向かう。 竜王岳への登りにかかると雨も強くなり,父の歩くペースもさらに遅くなる。途中で父も心配になったのだろう,下山すると言い出す。せめて浄土山を周ろうと,取りあえずは登る。たぶんこのままのペースで行ったら,小屋への到着は大幅に遅れるだろうから仕方が無い。来年出直せばいい。急な下りに苦労しながら室堂まで下ったが,雨でズブ濡れになる。僕の雨具は20年以上前に買ったものだから,そろそろ買い直さないといけない様だ。 |
ちょっとコース設定に無理があったのだろうか。雷鳥荘出発が食事時間の関係で予定より1時間遅れた事もあったが,やはり雄山など寄らずにまっすぐ五色が原を目指すべきだった。父もよけいな荷物など持たず徹底的に荷物の軽量化を図るべきだし,事前のトレーニング山行で足慣らし位しておくべきだったろう。残念だがしょうがない。このまま富山あたりで一泊しようかとも思ったが,明日長女Mのピアノの発表会があるので今日のうちに帰宅する事にする。
相変わらず観光客で混雑している室堂からバスに乗り,ケーブルカーと富山地方電鉄を乗り継いで富山駅に到着。途中で妻Mに電話しておいたので,改札の前で待っていてくれた。一の越で別れてから5時間後の再開に,何とも言えない気分になる。彼女らは電車の予約をしていたのだが,同じ電車は既に一杯で指定は取れない。一緒の電車の自由席にしようかと思ったが次の電車が空いていたので,そちらで帰る事にし駅で二人を見送る。
取りあえず駅ビルの寿司屋で昼食後,富山と言ったらこれしか知らない鱒寿司を土産に買う。土産といっても一体誰への土産だかわかったものではない。何かこの二日間,いろんな交通機関を使った。青梅線,中央線,中央本線,バス,トロリーバス,ケーブルカー,リフト,トロリーバスが一日目。二日目はバス,ケーブル,富山電鉄,北陸本線,上越新幹線,中央線,青梅線。何と延べ15種類だ。歩行時間はもとより,旅館に居た時間よりはるかに移動時間の方が長い。
しかし山行の前に中止する事はあっても,山に入ってから止めると言うケースは珍しい。20代の頃,同じく富山から有峰湖経由で薬師岳に登ろうとして,大雨為折立から引き返した程度しか思い浮かばない。富山は鬼門なのだろうか。それにしてもこの3年間長男Tと北アルプスに続けてきて,3回とも雨とは,あいつもよくよくついていない奴だ。まあだけど,今回は家族全員で3000m峰に立てたし,ちょっとの時間だったが,アルプスの光景が見られたから良しとするか。
ちなみに結果論ではあるが,降りてきて正解だったのではないだろうか。予定していた8月3日までに関していえば,ずっと梅雨前線が北陸から東北南部に停滞していたし,新潟では集中豪雨で大きな被害も出た。仮に薬師岳まで歩けたとしても,たぶんずっと悪天候だったであろうし,かなり辛い思いをしたであろう。メンバーを見ても中止が妥当であったと思う事にしよう。