デジタル写真事始 その3

ミノルタのフィルムスキャナーとリバーサルフィルムを買い込んだ翌朝、散歩がてらにEOS-3で近所の風景を撮影し、すぐさま現像に出して翌日の帰宅時にはスリーブ仕上げのポジを持っておりました。早速スキャンのテストの開始です。確かに透過ユニットよりは使い勝手も良く結構綺麗にスキャンできるのですが、やはり時間と手間がかかるのは確かです。銀塩で行くかデジタルにするか2日間ほど迷いました、決め手となったのは、キャノンのサイトからダウンロードしたEOS-10Dのサンプル画像とポジからスキャンした画像比較してみると明らかに10Dのサンプル画像の方が綺麗に見えたため、こりゃぁデジタルの方が良いやと思った次第です。アホですねぇ、同じ画像で比較しないと意味がないのに、、、、今にして思うとフィルムスキャンもある程度の慣れがないとなかなか難しいので、きっとスキャンの仕方が悪かったため、満足のいくデジタル画像が取り込めなかったこともあると思います。それとはやり銀塩の場合ランニングコストと撮影後現像に出して取りに行くと言う手間がネックになっていましたね。

さてデジタルで行くことを決めたからにはフィルムスキャナーは不要です、幸い発売直後で品薄だったせいか、買った値段とほとんど変らない金額でヤフーオークションで売却、それとEOS-10Dを買うときはEOS-3は下取りに出そうと決めました。私はゴルフもやるのですが、ゴルフクラブ、特にドライバーは結構買い換えました。しかし手元には1本かせいぜい2本しか置いておらず、新しいものを買った場合、それまでのドライバーは中古屋かオークションで売っていました。買い替え資金の調達が最大の理由ですが、それだけではなく、私は手元にドライバーが何本もあると、どれを使うかいろいろ迷うのが嫌だったせいもあります。同様に銀塩カメラを残しておくと、又迷いが生じるのが嫌だったのです。で、家内に「銀塩との決別」を宣言したのでした。

私の性格から考えて普通はそう決心した翌日にはEOS-10Dを買っているはずですが、今から考えても不思議なことに、なぜかこの時はやけに慎重でした。インターネットでいろいろEOS-10Dの情報を集める日々が続きました。そして何度かヨドバシカメラへ行き現物を手にしました、そしてある時10Dのそばに置いてあったEOS-1Dを手に取ってみました。ずっしりと重いが安定感と剛性感のあるボディー、10Dよりは大きなファインダー、高速連射モードにしてシャッターを押した瞬間の、バシャバシャバシャと機関銃のようなシャッターの感触を体験した後では、これ(EOS-1D)があるのにEOS-10Dを買うと、きっとすぐに10Dの欠点を探し出し、自分の腕は棚に上げて、良い写真を撮れないのはカメラのせいにして、結局はEOS-1Dを買う将来の自分がはっきりと目に浮かびました。ゴルフのスコアが悪いのはクラブのせいだと思って、何本もドライバーを買い換えた経験から確信できました。

そうは言っても20万を切る10Dと違って1Dの実売価格は当時68万、簡単に決めれる金額ではありません。それから数日間1Dの情報をいろいろ集めて1Dを買うための「自分への言い訳」をいろいろ考えました。気になったのは10Dの600万画素に対して1Dは400万画素だった事です、当時は他メーカーのデジタルカメラも600万画素の時代になっていましたので、1Dの400万画素で大丈夫か不安がありましたが、A4までなら400万画素で十分と言う情報を信じて1Dを買う決心をしました。

さて、カメラが決まった後はレンズです。Nikon F2とレンズを処分してEOS-3を中古で手に入れた時に、同時に買ったのがEF24-85mm F3.5-5.6 USMでした。その当時はLレンズの存在すら知らず、単純にEF24-85なら標準ズームとしては便利だし、値段も安いしということで決めました。で、今回の目的は飛行機の写真を撮ることですから当然望遠レンズが必要です。でも最初に買うのはEF100-400mmF4.5-5.6 L IS USMで決まりでした。インターネットで検索した飛行機の写真のサイトでキャノンユーザーの場合、ほぼ100%このレンズを使っていましたし、もっと安いEF70-350なら10D同様に腕の悪さをレンズのせいにして買い換えることが目に見えていたからです。

キャノンのレンズを調べているうちにLレンズなるものがある事を知りました。値段は高いが写りも良いらしい、宣伝を素直に信じる私はLレンズと普通のレンズでは値段に比例して写りも違うと信じ込むと同時に、例の腕の悪さをレンズのせいにしないためにもLレンズで行くっきゃないと思い、標準ズームもEF24-85からEF24-70 F2.8L USMに買い換えることにしました。ったくキャノンからしてみたら良い鴨ですね。で、1Dと2本のレンズを買うとEOS-3とEF24-85mmを処分しても、かなりの金額になります。当方多少歳をとっているとは言え普通のサラリーマン、ポンと右から左へ動かせる金額じゃぁありません。で、最後に自分を納得させたのは「写真はライフワークというか老後の趣味と決めた、だからどうせなら良い物を使いたい、で、今なら買えるけど定年後にはもう買えない、買うなら今だ」ってロジックでした。そして2003年4月11日、EOS-1Dと2本のLレンズを手に入れた次第です。

ちなみにゴルフクラブは近頃は買い換えていません。カメラにお金をかけているため買えないのが最大の理由ですが、ゴルフのスコアが悪いのはクラブのせいではなく、単に下手なだけと言う事が身にしみてわかったからです。

(この項続く)