PC画像ファイルの保管の話 (2004.6.5)

前回EOS-1D Mark2(以下MK2)が6月下旬に届くまでにPC環境の整備をするつもりと書きましたが、その整備をし始めた5月の末にMK2が届いたと言う連絡がありました。MK2についてはまだ本格的には撮影していないため、後日書くことにして今回はカメラ談義と言うよりPC談義となりました。

去年がライト兄弟が初めて空を飛んだ100周年、この100年の間の飛行機の進歩には驚くばかりですが、コンピューターの歴史はその半分くらいでしょうか。しかし進歩のスピードは飛行機以上かも知れません。私は30年前からコンピューター関係の仕事をしていますのである意味その歴史の証人みたいな者ですが、実は仕事はメインフレームが中心だったためPCに関してはそれ程詳しくはありません。しかしこの10年くらいのPCの進歩というか性能のアップと価格の低下には驚くばかりです。まぁデジカメも言ってみれば中身の半分以上はコンピューターですからこの数年のデジカメの進歩も当然でしょう。

今使っているPCは2代目の自作機です。詳しいSPECはカメラ談義の最初のページに載せていますので割愛しますが、5月はじめ、MK2を注文した時点では CPUがP4 1.8G、 メモリーが512MB、HDDは80GBと20GB、それにCDが付いていました。デジタル写真の画像ファイルはすべて80GBのCドライブに保存しています。もうひとつの20GBのHDDは古いPCで使っていたドライブで当初はこれにバックアップをつもりでしたが、つい面倒でまともにバックアップは取っていないと言うのが本当のところです。「コンピュータは機械、形あるものはいつかは壊れます」といつもお客様には言っておりますが、自分の事となると無頓着、「紺屋の白袴」「医者の不養生」とは良く言ったものです。

仕事柄PCのHDDが良く壊れることは重々承知しておりますし、PCの欠陥のため身近で千台以上ののHDDを交換した事もありました。これまでは大した写真もないのでまぁ無くなっても良いやと考えていましたが、写真の数も増えてきて、飛行機の写真だけでなくSNAP写真も今やすべてデジタルなので、ここでHDDが逝ってしまったら、貴重な思い出もパーになってしまうと思い、MK2導入を機に万全の体制を取ろうと決心した次第です。

良く言われる銀塩写真とデジタル写真の比較のひとつに保存性が上げられます。銀塩の場合、ポジ、ネガとも昔と比べて退色は少なくなっていると言われていますが、いくら保管に気を使っても所詮化学変化を完全に止める事は不可能でしょう。それと不注意に取り扱い疵でも出来ようものなら取り返しがつきません。それに比べてデジタルデータは経年変化もなく疵の心配はないのですが、怖いのはデバイスやメディアの故障により全てが一瞬にしてパーになる危険性があります。それとコンピューターの記録方式や記録媒体はこれからも凄い勢いで進歩を続けるでしょうから、今保管している画像ファイルを何年か後に読もうと思った時に、たとえ壊れていなくても周りの環境の変化でそれが読めない可能性も非常に高いと思います。つまりデジタル写真のデータの保管はデバイス、メディアの故障を考えるのと同時に何年かに一回は新しい記録方式に変換する覚悟で取り組む必要があります。幸いにも先に述べたようにPC関連製品の価格性能比は素晴らしくよくなっており、今やHDDは400GB のものも現れており、値段も120GBなら1万円を切っております。又、書き換え可能なDVDドライブが1万円ちょっとで手に入るのですから、昔のPC8001時代を知るものとしてはまさに隔世の感があります。

さてまず考えなければいけないのは、画像ファイルをどの形式で保存するかです。私は残しておきたい写真はRAWで撮りますから、普通はRAWとそれを現像したTIFF、そしてレタッチした結果のTIFF又はPSD、それと保存やWEB用にサイズを圧縮したJPEG、などのファイルが出来ますが、この全てを保存する訳には行きまん。ここで各々のファイルサイズを見てみると、EOS-1D Mark IIの800万画素で撮影した場合、目安として

RAW   8 MB
TIFF   48 MB (DPPで現像)
最高画質の JPEG 3.7M

次にファイルの使い勝手を考えて見ます。その前に画像ファイルの「保存(保管)」と「バックアップ」の意味を考えてみます。保存とはオンライン(接続された)のHDDには入りきれなくなったため、オフラインのメディアに保管して、必要に応じてオンラインにして利用する。一方「バックアップ」とはオンラインのHDD又はオフラインで保管している画像ファイルを誤って消してしまったり、メディアが壊れたとき、その画像ファイルを復元するために保存しておくものです。つまり内蔵HDDのコピーを2重で取っておく必要があるということです。

で、その使い勝手を考えて見ましょう。まずRAWですが、RAWのまま取っておいて万が一復元をする場合当然現像が必要です、1枚や2枚ならいいですが、HDD全部がイカレた場合、何千枚もの写真を現像し直すのはとっても大変です。だったら現像後のTIFFファイルを取って置けばいいのですが、RAWで取って置くとメリットもあります。それは現像ソフトもどんどん進歩していますので、RAWデータがあれば将来今以上のクォリティの写真に出来る可能性があります。と言う訳で結論としてはRAWとレタッチ後のTIFFを2重に保管しておけば良いと言う事になりました。それじゃぁサイズがとお考えでしょうが、上のサイズで計算するとRAW+レタッチ後のTIFF(16Bit)を合計して1枚当り56MBになりますが(これは凄い大きさです!)、しかし今や120GBのHDDが1万円以下で買えます、計算すると120GBには2,000枚以上のの写真が入ります、2,000枚と言うと今の私のペースではどう考えても1年分以上です、それに将来はHDDの値段はもっと下がるでしょうから、問題ないと思います。

次にどのメディアに保存するかですが、一般的に保存とかバックアップと言うと昔はテープ、次がCDやMO、そして今はDVDというのが相場でしょう。しかし、保存するファイルがこれだけ大きくなると、仮に1年分を120GBと仮定した場合、4.7GBのDVDでも26枚くらい必要になります。そしてDVDのメディアはCDに比べてまだ高く、先日買った書き換え可能なDVD+RWの場合は1枚500円、26枚だと13,000円となりHDDより高くなります。もちろん、メディアの値段も下がるでしょうし、他人へ配るためにはCDやDVDに書くことは必要でしょうが、DVDが1年で26枚ともなると保管のためのスペースや管理が大変になります。で結論として自分の家で保管する事とそのバックアップが目的ならHDDに2重にコピーして保管するのが一番良いと言う事に気が付きました。

さてHDDのまま保管するのが良いとなって次は具体的にどうするかです。これまで120GBが1万円を切ったと言いましたが、それはあくまで内蔵HDDで外付けの場合はもっと高いでしょう。私のPCはIDEバスがプライマリーとセカンダリーの2つあり、それぞれに2つまデバイスが付けられます。1つはOSやプログラムの入ったCディスクでもうひとつがDVDドライブですから、うまい具合に2つの画像保管用のHDDが接続できます。でもHDDが一杯になったら毎回ケースを開けて取り替える、それだけなら年1回くらいですからいいのですが、保管してある写真を参照したい時、いちいちHDDを取り付けていたら堪らないと思いいろいろ調べた結果、なんとリムーバブルHDDという便利なものがあることがわかりました。これはDVDドライブのようにアダプターをPCケースに取り付けてIDEケーブルを接続しておき、一方HDDもケースに入れてそのケースごとアダプターに差し込んで使うと言うものです。これだと簡単にHDDの取り付け取り外しが出来るし、ケースに入れたままだと保管もしやすいと言うすぐれものです。値段もアダプターとケースで3,000円、ケースだけだと1,400円位と手頃です。

で、今後のやり方ですが、写真を撮ってきてセレクトしたら、RAWデータを現像してTIFFファイルにして必要ならレタッチする、この段階で別ドライブ(リムーバブルHDD)にコピーを取る。そしてHDDが一杯になったら、リムーバブルHDDを外し代わりに新しいHDDを付けてそれに内蔵HDDの画像ファイルを全てをコピーします。この段階で内蔵HDDのファイルを消します。これで常に手元にはHDDによるデータが2重にあることになり、必要になれば直ぐにPCに取り付けて読み込むことが出来ます。(HDDのケースには何年何月から何年何月までのデータと書いておきます)ただこの方式で困るのは、何年か経って保管しているHDDが増えた場合、必要な写真データがどのHDDに入っているか判らなくなると言う事です。このために常にオンラインのHDDに2重にINDEXを持つ事にしました。つまり現像、レタッチして保存する時に同時にVGA(640x400)サイズのJPEGファイルを作ってINDEXファイルへ保存します。INDEXファイルはジャンル別、1年に1つのフォルダーとしておけば、写真が必要になったときはビュワーでこのINDEXファイルを見ればどのHDDにあるかすぐにわかり取り出せます。

以上、これは頭で考えただけで、実際に運用すればいろいろ不便な点が出るでしょうが、それはその時点で変えていけば良いと思います。でもHDDによる2重の保管これは変えないつもりです。参考までにリムーバルHDDの写真をご覧下さい。