【浜降祭(ハマオリ)ー99】  

 山梨県あたりに良くある「武田信玄の秘湯」などの名前で知られる37度ぐらいの冷たい温泉(冷泉)に長い間浸かっていると、始めは温いと感じてもだんだんと体は温まってくるものです。「もの見ら」として神輿の音を人ごみの中で聞いているとそう感じました。昨年のサウンド・コーストにて下町の「茅ヶ崎じんく」の方々を公民館にお招きしてハマオリの解説を聞いた時の神輿の背景や、彼らのこだわりを思い出しながら見てるいと近寄りがたさも感じた。「あまり神輿に近づくと怪我をする」との忠告のせいもあったのかも知れないが、そう簡単に参加者としての「一体感」を体験するには時間が必要と感じた。

 行進をマイクで司会している声によると、神輿の製作年代や概観の特徴などを説明している。合計34の神輿の行列があった。中でも、昨年公民館においで頂いた方々のは、文化5年、今から194年前に下町(南湖)の神輿は製作されたそうである。また、公民館の玄関にいつも置いてあるミニチュアのディスプレーかと思ったら、子供用の神輿として活躍していた。こういう名前で文章に書いたら参加者の方々からお叱りを受けるとは思うが神輿のパーツは以下があった。 1:屋根の鳥、2:神輿全体を縛る白い布、3:ミニ神社、4:音のする鈴、5:2拍子の音を出すタンスの取ってのような金具。部落によって神輿の容に違いは有るものの、派手な飾りは確かに人目を引く。「この祭りは何の祭りか?」と外国人に説明するとすればどう切り出すか考えてみたが単語が思い浮かばなかった。「担ぎ手がみんな酒を飲んでいるので近寄ると危ない。」と説明しても似つかわしくない。”Some dance to remember, some dance to forget"とイーグルスのヒット曲の歌詞を出してもちょっと違うであろう。あるいは今朝の波のように「うねり」を伝えることが祭りとすれば、「空間と時間(時代)の中における現在を認識する」と言えば伝わるかもしれない。コンサマトリー(いわゆる、のり)を越える一体感ぐらいに説明すればOKか?

 「ハマオリ祭りは、何時に何処で始まるか?」この質問は案外難題のようである。ちょっと聞くこと自体が失礼だったかも知れないが反省はしていない。「暁の祭典」とか「早朝のお祭り」という事は多くの人が知っているようであるが、開催時刻は人によって答えが違っていた。「8時に聞ける」という回答もあった。6時半に行けば最高潮という人もいた。10年前に初めて行ってから毎年見に行こうとは思っているのだが、毎年朝起きられないという人もいた。6時半だと思っていたが知人に良く聞いてみたら5時半が正しいという論争まで起きた。質問の仕方が曖昧なのかも知れない。また、「何時に?」と言う聞き方は考えてみれば失礼にも当たると思った。確かに主催者側や担ぎ者の準備作業などを考えるに「前の晩から。」とするのも答えであろう。あるいはもっと前の儀式なども有るかもしれない。昨年の下町の方々の説明に寄れば、まずはじめはフンドシで海に入って身を清めてから「魂入れ」(とある期間は神社の機能が神輿に移管される)儀式を行うらしい。  ハマオリをもっと詳しく知ろうと思えばまずは10月の十間坂とか円蔵の部落対抗神社の運動あたりから始めなければならないであろう。

 来年、自分が同じ質問を尋ねられたとすれば次のように答えようと思っている。 1.ハマオリ祭の神輿の行進は、合計34組が出場する中で5番目の神輿が浜辺に入ってきて西へ進み始めるのは5時半である。 2.隣の家の子供は4時前にエレベータを降りていった。その音で起きられた。 3.自転車で近くまで行くことは出来るが「歩くこと」も大切である。 4.参加神輿の神社と部落の名前を書いたうちわは2枚で¥500で売っている。 5.脚立を持っていって柵の外の海側から眺めるのが安全で良く見える。  

 さて、それにしても辻堂海岸の本日の波というか、日曜、月曜、そして今日の波はハワイ並であった。今年一番であろう。もう今年は無いであろう。7時過ぎにハマオリから帰ってきてから文章を打っていたら、テレビもパソコンも付けたままで昼過ぎまで眠ってしまった。今朝のは夢だったのか、と思うほどである。昼のNEWでは10万人も参加者がいたと言っていたらしいが、Marco。の見た目では2〜3万人ぐらいではないかと思う。茅ヶ崎の人口が20万人弱であることを考えたら10万人はちょっとおかしい。                 1999年 7月20日(火)(海の日)、Marco。