【キカイダ-ソナ他の初演にあたって】
1999年11月27日(土):16:00頃より
茅ヶ崎市、南湖公民館:第10回サウンドコースト
において、キカイダ-・ソナ他(クラッシックギター編)が初演されます。

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以下は、作者&演奏者の解説です
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 【作品について】
 今から凡そ30年前、昭和40年代の後半のテレビ番組より、当時最大の人気番組であった「8時だよ、全員集合」の裏番組として「キカイダ-」なる特撮アニメ漫画がやってました。「
善と悪の心を持つ人造人間、光明寺博士によって作られた、キカイダ-」との解説の言葉に、何か陰気臭い雰囲気も感じながら、「8時だよ!」のコマーシャル放送の合間にチャンネルを変え、断片的なストーリーを自分なりにつなげたものでした。「ギルの笛」に操られる時に頭が痛くなったり、ピンチの時に「ジローのギター」が流れると、「どこだ、どこだ!」との悪役の戦闘員達の叫び声がテレビのブラウン管の映像よりも心に強く残っていました。また、同時代のヒ-ロ-としては「仮面ライダー」なる番組も有りましたが、「キカイダ-の位置付け」を当時の座標で評価するならば、「パワフル」に対して、「ハートフル」であったろうと思います。

 さて、それから25年程経った後で、旅先のスイスの
ルツェルンのワーグナー博物館で数多くのリュート等の弦楽器をじっくり(丸二日)見た後で、ジークフリートやローエングリン等のオペラの作品を見る時に思い出すのは「キカイダ-」でありました。「天才と変態の紙一重」との言葉はあまりにも失礼な表現ではありますが、作者のワーグナーに対する率直な感想です。フロイトやユングの本を引用すれば、もっと適切な表現があるかもしれませんが、まさに、「切れる1歩前のあなたに」効(聞)いて頂きたい一曲です。

 曲は、一応自分なりのソナタ形式をとったつもりで、以下の曲の主旋律(表と裏)を短くまとめ、ニ長調とハ長調を不協和音(そうしようと思っているのではなく、これしか思いつかない)的なコードチェンジによってつなぎ合わせている。「暗い」と言われるバッハの曲よりも「もっと暗い」子供番組の曲は、鶏肉をコーラで煮たような味がします。合計演奏時間は7分から8分で、楽譜は無いため毎回曲の内容(継ぎ目の音)が変わっている。

 ジローのギター:(キカイダ-より)
 平均律クラビ-ア1番:(JS・バッハ)
 おじいさんの古時計:(アメリカ民謡)
 孤児のバラード:(タイガーマスクより)
 学校のチャイム:(ハーモニックスの音)
 主よ、人の望みの喜びよ:(JS・バッハBWV-147より)
 練習曲作品60-3:(カルカッシ・ギター教本より)
 おじいさんの古時計:(アメリカ民謡)

 【演奏者について】
 当時小学校低学年の彼は、「ジローのギター」に憧れて、家の近所の日本に来たばかりのイギリス人の宣教師の家で月謝800円で英会話教室に通っていることにして、実はギターを習っていた。半年ほど経ってイギリス人が転勤になるまでに(彼のことは、その後10年経った大学時代に他の大学の先輩から、再び日本に居るとを話を聞いた。)音階程度は身に付き、テレビの主題歌のメロディーラインを弾けるようにはなっていた。
 しかし、その後は器械体操に投身し、音楽とは全く無縁の世界を20代の前半まで進んだ。その後サラリーマンになって、山登りのついでに演劇やクラッシック音楽に傾倒(というか、この趣味に全ての月給をつぎ込んだ)するようになった。25歳の時に、暑い夏に秩父の笛吹き川の中流を沢登で遡行中に、滝から落っこちて足に24針を縫う大怪我をして、「このままでは何時か死ぬ。」と病院の待合室でふと考えた。「楽器が弾いてみたい。」、と。
 その後、足が治ると共に仕事の都合でアメリカへ渡る。西海岸のシアトルの音楽大学で有名なCORNISHの学生がたむろする「ROSEWOOD Guitar」にて、1時間で$20の授業料を小切手で毎週末に支払ってギターの個人レッスンを受ける。バッハはここで何曲か弾けるようになった。また、アメリカ南部に転勤になった時には、ナッシュビルにCORNISHの同朋を訪ねたが、カントリー・ウェスタンが主体であった。