鳩待峠 から至仏山登山、尾瀬ヶ原へ
360度大 パノラマの岩歩きを堪能し、尾瀬ヶ原へ一気に下るコース

 

●至仏山への登山は、森林帯、湿原地帯、岩礫地帯などバラエティに富んだ風景を楽しめる。至仏山からは、奥利根の山々や、越後山脈、尾瀬ヶ原、 燧ヶ岳など360度のパノラマ。
●日本でもっとも古い地層といわれるのが秩父古成層。その地層で覆われる至仏山では数多くの種類の高山植物が見られる。
(photo by HIDEO MAKISHIMA)
コースデータ
コ ー ス 鳩待峠 → オヤマ沢田代 → 小至仏 → 至仏山山頂 → 高天原 → 森林限界 →  尾瀬ヶ原(山の鼻)
コースタイム 約5時間(休憩を除く。) ※詳細は下の断面図参照。
難易度 やや困難。 2,000m上空では急激な天候の変化や、岩場からの落下など、不慮の事故のおそれもあります。
装 備 雨対策、防寒具、非常食、水分、帽子など。靴は軽登山靴や登山靴。スパッツなども。
なお、手袋は藪や岩歩きをするのであった方がいいです。ショートパンツならソックスは長めで、すり傷対策を。
山上の太陽光線は強いため、紫外線対策も。
余計なお世話 尾瀬ヶ原へ下りるまでトイレ・水場はありません。
コース断面図

※数字は分。→は進行方向。
各地点ガイド
鳩 待 峠

 前の晩に夜行列車に乗って沼田から夜行バスを乗り継いで来るか、車で戸倉駐車場まで来て、バスに乗り換える。 鳩待峠に早朝4時頃に着くバスがある。春や秋なら、登る途中で木陰から朝日をバックにした燧ヶ岳が見える。稜線で御来光を拝みたいなら、4時ごろには登り出す必要がある。 (夏ならもっと早め)

オヤマ沢田代

 5月末の至仏山にはまだ豊富に雪が残っており、オヤマ沢田代までの森林帯の登りは道に迷いやすいので注意。 鳩待峠からオヤマ沢田代までおよそ2時間の登り。ブナやオオシラビソが鬱蒼と茂る薄暗い道が続くが、樹木の香りと小鳥のさえずりが心地よい。急な斜面を登りきると、 突然視界が開け、やがてオヤマ沢田代の小さな湿原が現れる。ここではサンカヨウ、オゼソウ、ワタスゲなどが見られる。
 オヤマ沢田代からは至仏山への稜線上である。また、ここには笠ヶ岳方面への分岐がある。 笠ヶ岳から湯ノ小屋温泉へ下る道があるが、この稜線は藪がひどく道が悪い。熟練者向き。

小 至 仏

 オヤマ沢田代からは稜線を巻く高山草原地帯を歩く。 途中、ホソバヒナウスユキソウやシナノキンバイ、ハクサンイチゲ、タカネナデシコなど、豊富な高山植物が見られる。
  大きな岩石につかまりながら岩礫の稜線を行くと、見晴のいい小至仏のピーク(2,162m)にたどり着く。もう少し先にもピークが見えるが、 そちらが至仏山頂上(2,228m)。至仏山頂上の方が人が一杯のようなら、小至仏で食事休憩した方がいい。

至仏山山頂

 至仏山頂上(2,228m)からは奥利根の山々や、越後山脈、尾瀬ヶ原、 燧ヶ岳など360度の眺望がすばらしい。遠くには、北アルプス、南アルプス、八ヶ岳、富士山などが望める。
  至仏山から平が岳、越後三山方面への稜線が続いている。山岳部などのプロ向きのルートであり、一般の登山客は立ち入るのはやめた方がいい。
 至仏山からの下山は、霧のときなどは要注意。岩ばかりで特に目立つ目印がないので降り口を間違いやすい。

高 天 原

 至仏山頂上から少し下ると、広々とした斜面が広がる。 高山植物やハイマツの茂る地帯で、ホソバヒナウスユキソウやミヤマキンバイ、キンロバイなど各種高山植物のお花畑が一面に広がる。
 平坦な木道が途切れ、石ころの急な道になる。まるで足のすぐ下に落ち込むように、尾瀬ヶ原が眼下に飛び込んでくる。 そこから山の鼻までの2時間、膝を酷使する急降下が続く。
 雨の時は最悪で小川の中を下るようになる。雪が残っている時期は滑って遊びながら下れる。
(photo by HIDEO MAKISHIMA)

森 林 限 界  岩礫地帯から低木の草原そして森林限界の樹林帯に入る。森林帯に入ってもしばらく石ころや木の根などのぬかるんだ急坂が続く。この辺に来ると膝ががくがくし始め、足下にずっと尾瀬ヶ原が見えているのに、なかなかたどり着けないもどかしさが湧いてくる。