2,003年11月1日~11月3日
 10月23日に尾瀬に初雪が降った。ついに、冬の使者の到来だ。昨年もこの時季から、一気に冬に突入していったのだ。今年も雪や霜に会えるかもしれないと期待して、山小屋を予約した。
 ところが、出かける当日の天気図は、南から暖かい風が入りやすい気圧配置になっていた。今年は、白い世界は無理かとやや期待はずれの感じを抱きながら出かけることになった。
OZE-Report 2003 VOL.7
report by HIDEO MAKISHIMA

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※なお、一部拡大しない画像もありますが御了承ください。

2003年11月1日(土)  天気 晴 万歩計の歩数 24,410歩

7:39 浦和 →(水上1号)→9:25 沼田 9:35 →(バス)→ 11:05 戸倉 11:10 →(バス)→ 11:30 鳩待峠(昼食) 12:00 → 12:35 山ノ鼻・研究見本園 13:15 →14:45 牛首分岐 → 16:00 竜宮十字 → 16:35 竜宮小屋 泊

鳩待峠からの下り
 灌木に赤い実がなっていた。
尾瀬にも電柱がある。
 山ノ鼻のビジターセンターで七五三木所長さんに出会った。このビジターセンターも11月3日で閉めるため、片付けに忙しいようだ。ちょっと立ち話をして、私たちは研究見本園に向かった。
山ノ鼻・研究見本園
 ダケカンバの木はすっかり葉を落とし、斜光線の中に木々が輝いていた。
上田代
 木道が逆光に輝いていた。
上田代・牛首手前
 青空には白い雲がぽっかりと浮かび、気持ちの良い日和である。
上田代・牛首手前
 湿原はきつね色と変わり、地塘が青空を映し込んでいる。白樺は陽光を浴びて、輝いていた。

 上田代あたりから、燧ヶ岳の方角を見ると、山腹に白く小さな丸いものが見える。何だろうと思いつつ、徐々に近づいていくと、バルーンのようだ。ちょっと見たくなって、バルーンが上がっていたあたりに着いたが、既に見あたらない。後で聞いた話では、バルーンにカメラを取り付け、ハイアングルで撮影していたとのことである。「山と渓谷」に写真が掲載されていた人が行っていた。

中田代
 池塘のヒツジグサが波間に揺らめいていた。
中田代
 燧ヶ岳が池塘に映り込んでいる。
中田代(下ノ大堀川付近)
 背景が陰り、白樺だけに光が当たった。輝く白樺が印象的だった。
中田代(竜宮付近)
 夕方に近い光に照らし出されたダケカンバとヨシを組み合わせた。
竜宮十字
 夕暮れの迫る地塘が、最後の光を受けて輝いている。
空には雲がなくなって、夕焼けにはならなかったが、夕暮れの空のトーンが美しい。

竜宮小屋での夕食である。(17:50~)
 11月の上旬で、紅葉シーズンも終わっているというのに、竜宮小屋は満員である。そのほとんどが撮影目的である。カメラマンの菅田隆雄さんの顔も見受けられる。撮影ツアーの20人くらいのグループもあった。私たちが泊まった6畳の部屋(202号室)には、6人が休むことになった。
 なお、ビジターセンターの七五三木所長さんの話では、1日の泊まり客が70人、2日のそれは60人とのことだった(予約していた人の人数であろう)。

2003年11月2日(日)  天気 霧後晴  万歩計の歩数 41,911歩

3:40 竜宮小屋 → 5:00 中田代の地塘 → 7:05 下ノ大堀川 → 8:00 竜宮小屋 8:30 → 9:40 ヨッピ分岐 9:45 → 10:40 牛首分岐 → 10:50 上ノ大堀川 → 11:05 牛首分岐 → 11:45 竜宮小屋 → 12:15 見晴(昼食) 12:35 → 13:45 白砂峠 → 14:10 沼尻 14:25 → 15:35 長蔵小屋 泊

 10月28日から史上最大級の太陽フレアが発生した。これにより磁気嵐が発生し、31日未明には山梨県でもオーロラが見えたと新聞が報道していた。ひょっとすると尾瀬でも見られるかもしれないと考え、3:30に目を覚ました。早速、外に出てみるが、頭上には星が輝いているものの、低い位置には霧が発生して星は見えない。オーロラは諦めて、同行した友人(尾瀬物語のサイトの管理者)の入れるコーヒーをご馳走になった。

 そうこうしているうちに、竜宮小屋からカメラマンが次々と外へ出ていく。まだ、真っ暗だ。だが、私もこうしているわけにはいかない。体も暖まったところで、中田代の池塘に向かった。
 霧はさらに濃さを増してきたが、取り敢えず逆さ燧を期待して木の敷かれている部分に三脚をセットした。そこへ山ノ鼻方面から3人カメラマンがやってきて、やはり三脚を据えようとした。何気なく見ていると、湿原に平気で入り込んでいるではないか。みんなで守ってきた尾瀬を大切にして欲しい。あちこちでカメラマンのモラルの悪さを耳にするが、こんなことで、尾瀬地域が撮影禁止になってしまっては元も子もない。私は、この人たちに湿原に入らないよう注意をした。

中田代
 ノリウツギの枯れた花に霜がうっすら付いた。6時30分頃、気温が -1.8℃まで下がった。しかし、この時季としてはかなり暖かい。
中田代
 アキノキリンソウであろうか、霜でうっすらと彩られた。
 ここで、友人の鈴木氏は都合により先に下山することになった。

中田代
 今日は、早朝から霧が濃かった。太陽が昇る頃なのに、霧が晴れない。これはひょっとすると白い虹が十数年ぶりに見ることができるかなと思いつつ、太陽が出てくるのを待った。乳白色の向こうから、白い太陽が見えてくる。太陽に背を向けて湿原を見渡すと、待望の白い虹が架かっていた。

竜宮小屋
朝の撮影を終えて、8:00に竜宮小屋に飛び込んだ。朝食の時間はとっくに過ぎている。まだ残しておいてあるかなと、多少心配していたが、食堂にちゃんとあった。竜宮小屋さん、ありがとう。御迷惑をお掛けします。
 朝食を食べた後(8:10~8:30)、お茶をテルモス(魔法瓶タイプの水筒)に入れてもらい、弁当のおにぎりを受け取って、竜宮小屋を出発した。
竜宮十字
 竜宮十字のところの地塘から見た至仏山である。わずか20分のうちに朝霧は完全に晴れ上がっていた。
竜宮・ヨッピ橋間
 一本の白樺と至仏山を組み合わせてみた。青空が清々しい。日が昇ると、11月とは思えないほど暖かい。日中は20℃くらいまで上がったようだ。
ヨッピ橋
 ヨッピ橋の橋板も既に取り外されていた。これは、雪の重みで橋が壊れるのを防ぐためである。

中田代(セン沢)
 セン沢には魚(アブラハヤ?)が群れていた。てばまるさん、そうですよね。
下田代
 下田代の木道も一部新しくなった。
弥四郎小屋
 ほとんどの山小屋は閉まっている。この弥四郎小屋も小屋じまいしていた。
見晴・白砂峠間(段小屋坂)
 長蔵小屋の閉山登山ツアーに追いついた。ここで記念写真を撮った。先頭は、紀子さん。
長蔵小屋
 長蔵小屋のところにあるナナカマドの赤い実である。
長蔵小屋
 水彩画家大下藤次郎の碑である。ちょっと分かりにくいところにあるので、気が付かない人がいるかもしれない。
長蔵小屋付近
 公衆トイレである。ここにライブ映像のカメラが取り付けられてある。既に雪よけが付けられていた。
尾瀬沼ビジターセンター
 尾瀬沼ビジターセンターでは、「尾瀬沼地区におけるシカの現状」と題してパネル展示がされていた。

長蔵小屋
 夕食をとるために、食堂に入った(17:30~)。
 今年、最後の泊まれる日である。こういう日の夕食のおかずには、長蔵小屋ではなぜかおでんが付く。
 泊まり客は40人くらいであろうか、その中に、日本山岳会の平井喜久枝さんの顔も見えた。夕食後、平井さん、田島さんと私の3人で談話室で語り合った。
 なお、泊まった部屋は、2段ベッドの24号室である。

 
2003年11月3日(月)  天気 早朝晴後雨 万歩計の歩数 30,005歩

4:25 元長蔵小屋付近 6:40 → 6:50 大江川湿原 7:30 → 7:35 長蔵小屋 9:00 → 9:15 三平下 9:25 → 9:40 三平峠 → 10:05 岩清水 → 10:35 一ノ瀬 → 11:25 大清水 12:05 →(バス)→ 13:45 沼田 13:55 → 16:20 浦和

元長蔵小屋横
 4時に起床して、外を見ると満天の星空である。今回、高感度フィルム(ISO400)を持参したので、星空撮影に挑戦した。
 空を眺めていると、流星が3つ目撃された。願い事を唱えている余裕はもちろんない。
 今朝も好天のわりには暖かで、うっすら霜が降りた程度である。湿原で7時頃 -1.4℃まで下がっただけで終わった。

大江川湿原
 サワギキョウの咲いた後であろうか、霜が付いていた。
長蔵小屋
 6:30から朝食の時間であったが、取っておいてもらって、撮影後朝食とした。(7:35~7:50)。

元長蔵小屋横
 食事前までは青空だったのに、いつの間にか曇り空に変わってしまった。と思っていると、間もなく雨が降り出した。こうなっては撮影するものもないので、下山することにした。
 なお、ここで沼山峠の方から、子犬を連れた若い男性を見掛けた。おそらく、動物を連れてきてはいけないことを知らないのだろう。頼まれて記念写真を撮ってしまった。


岩清水付近
 三平峠から階段を下りきったところに、道路となるはずだったところとの合流点がある。看板には、「山を汚す登山者は猿より頭の毛が三本 空き缶・ゴミ・良心は持ちかえろうね」と書いてある。

一ノ瀬付近
 一ノ瀬の休憩所に着くちょっと前に、渓流が見られる。

一ノ瀬
 一ノ瀬の橋(三平橋)のところから、階段で下に下りられるようになっている。実は、以前(15年くらい前だろうか)、ここに一ノ瀬の休憩所があった。今では、石積みだけが名残をとどめている。

一ノ瀬・大清水間
 一ノ瀬・大清水間は砂利道の車道(一般車通行禁止)と並行して登山道がある。しかし、最近は利用されていないのか、登山道へ下りていくところに案内の標識が見あたらない。ただ、最近の報道ではこの登山道を整備した上で、車道にシャトルバスを通す計画があるようだ。鳩待峠と沼山峠に集中する登山客を分散するためだそうである。
 なお、この画像は登山道が沢を渡るところである。

大清水
 大清水に到着すると、左から奥鬼怒林道と合流する。画像は振り返って写したものである。
大清水
 大清水のバス停から5分ほど下っていくと、右手に大清水の滝がある。ここに水を汲みに来る人もときおり見掛ける。

 

後 記
 3日間を通して、暖かな日和だった。早朝、うっすらと霜が降りたが、日中は、動くと汗ばむほどである。もちろん、雪もない。そういった意味では、期待とは反してしまったが、実に久しぶりに白い虹を見ることができた。
 これで、今シーズンの尾瀬は終わりである。山小屋も全て閉じてしまう。来年までの半年間、尾瀬は永い眠りにつく。

携行カメラ CONTAX167MT
18mm/F4, 25mm/F2.8, 35mm/F2.8, 28~70mm/F3.5~4.5, 80~200mm/F4
PENTAX Z-1
マクロ100mm/F2.8
 携行デジカメ PENTAX Optio550

 

参考 檜枝岐の気象参考
月  日 最高気温(℃) 最低気温(℃)  降水量(mm) 日照時間(時間)
11月1日 19.5 4.8 0 4.1
11月2日 20.5 4.6 0 5.4
11月3日 17.7 5.6 6 0.0

 

天気図等の参照(「気象人」http://www.weathermap.co.jp/kishojinのサイト)
10月11日 http://www.weathermap.co.jp/kishojin/diary/200311/20031101.php3
10月12日 http://www.weathermap.co.jp/kishojin/diary/200311/20031102.php3
10月13日 http://www.weathermap.co.jp/kishojin/diary/200311/20031103.php3