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PRESENT
テッペン山をてくてく歩くロボ。
今日はアリスにお花をプレゼントするつもり。

アリスはこの世界に残った、たった一人の人間。
みんなにとって、大切なヒト。
ロボにとっても、とても、大切なヒト。

ロボは、テッペン山の頂上にたった一つだけ咲く
モンシロ花をプレゼントしようと思った。
この世界ではとても希少なモンシロ花。
100年に一度しか咲かないモンシロ花。
ロボは、アリスにモンシロ花をプレゼントしようと思った。

テッペン山の頂上めがけて、アリスのためにてくてく歩く。
うんせ、ほいせ、うんせ、ほいせ。
頂上着いて、やっと見つけたモンシロ花。
プチっと抜いて、帰りを急ぐ。
うんせ、ほいせ、うんせ、ほいせ。
「アリス喜ンデクレルカナ」
ロボは、アリスの喜ぶ顔がとても楽しみだった。

「アリス、コレ、ロボカラノプレゼント」
ロボは、テッペン山から採ってきたモンシロ花を
アリスにプレゼントした。
でも、アリスの出した表情は、
ロボの想像していた表情とは重ならなかった。
「...ロボ、私のためにモンシロ花を
プレゼントしてくれる気持ちは嬉しいわ。
でも....私はテッペン山の頂上で見た
モンシロ花が好きだったの....。
自然の中で生き生きと咲くモンシロ花が....。」

「それに、....ほら.....」
アリスの差し出した手の中にあるモンシロ花は、
頂上で見た白く美しく輝くモンシロ花ではなく、
灰色に枯れ果てたみすぼらしいモンシロ花だった。

アリスは悲しんだ。
ロボはもっと悲しんだ。

ロボの瞳から涙がこぼれた。
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