見えない力
栃木県在住のからあげくん提供

あれは私が幼稚園の頃だったと思います。
かなり前の体験なのですが、今でもハッキリと記憶があります。
怖くはありせんが、かなり不可解な事なのです。

その当時、トヨタのクラウンが自家用車でした。
ある日、父親と親戚の家に向かう事になり、私は助手席に座り出発することにしました。
家の前には県道が通っており、 片側1車線ですが道幅も広く、どの車も結構なスピードで 走っていきます。 その県道を横切った先に脇道があり、その脇道を通って親戚の家に向かおう としてい ます。 門から車をユックリだして左右を確認。 左からは車は来ませんでしたが、右か ら数台が並んで走ってきます。 父親と私は右から近づいてくる車を、しばらく見ていました。 すると突然、「ゴン」という小さな音と共に、軽い振動が伝わってきました。 何かがぶつかっ た音なのですが、何がどこからぶつかったのか分かりません。
車内から見る限りは、車自体に損傷は見当たりませんでした。 お互いに顔を見合わせて、
「何だろうね、今の音?」
と話してフッと左を見ると、 なんと自動車が横転しながら火花を散らして路上を滑っているで はありませんか!!
車両前方をこちらに向けて運転席側を下にした状態で、遠ざかるように20メートル 近く滑って いるのです。 とんでもない光景なのですが、訳が分かりません。
「お父さん、車が転がってるよ!!!」
驚いた父親は車から飛び降り、す ぐに横転した車に向かったのです。 中に乗っていたドライバー は無事なのですが、横転した車からなかなか出られずにい ます。
やっとの思いで助け出し、とりあえず家で休んでもらう事に・・・
かすり傷が体中にあったのですが、大事には至りませんでした。

そのドライバーの話によると、左側の方向からかなりのスピードで走ってきたそうです。
どうやら私達は、右側から連なってくる車を見ていたため気が付かなかったようで・・・
仕事明けでつい居眠りをしてしまい、右側にハンドルを切ってしまったとか。 顔を上げた時に は対向車線すらまたいで、クラウンの横に突っ込む瞬間で、気が付い たら横転していたそうな のです。 良く考えると、シートベルトもしてなかったのに良く無事だったなと思います。 (当時、シートベルトは義務ではなかった) 落ち着いてからクラウンを観察してみると、左側 フェンダーのウインカーが割れてい るだけ。 その他、傷、凹みすらありません。 一同????
「物理的にあり得ない事だ」
と口を揃えていました。 一方横転した車を見て2度ビックリ、この車も正面から突っ込んできたに も関わら ず、車両前部には損傷がほとんど無いのです。 1トン以上もある車に横から突っ込まれて 微動だにしなかったクラウン、異様な勢い で跳ね返った加害車両。。。
まるで2台の車の間にクッションでもあったかのような現象でした。 後になって母親が
「亡くなったおばあちゃんが、お前を守ってくれたのかもしれない ね」と言っていました。
そういえば、突っ込まれた側に自分が座っていたんですよね。 命に関わるような危機に遭遇した時 だっただけに、その言葉が心に響きました。

現在私は自動車関係の仕事をしており数多くの事故を取り扱っていますが、上記の様 な事例はあり ません。 今考えても不思議としか言えませんし、何か見えない力が存在するのかなとも思える のです。

生きていると不思議な事に出くわします。
偶然の出来事がいくつも重なったり、ありえない事が目の前で起こったりもします。
全てが霊がしている訳ではありません。今回のお話はお母様が言うように、おばあ様が助けて くれたのかもしれませんね。