病院2
宮城県仙台市 三輪千鶴さん提供

私が病院に入院した時の話です。
私は初めての入院に戸惑い、不安な気持ちでしたが「二日間、検査のためだし、 まっ良い噂の種だと思ってがんばるかぁ」と自分に言い聞かせ、入院しました。 昼間はあちこちに検査のために連れ回されてかなり疲れてしまいました。 病院に来て疲れるなんてと苦笑し、その日は早々に眠りに付く事にしました。
何時間眠ったのか、ふと夜中に目が覚めました。 シーンとした病院は昼間とは打って変わって不気味な雰囲気が漂っているように見えます。 私は変な事を考えないようにしないと寝れなくなってしまうと、眠りに就こうとしましたが、 トイレに行きたくなったので「いやだなぁ」と思いながらも廊下に出ました。
部屋の外に出た私は「こんな所にトイレあったっけ?」と思いました。 この階には確か一番奥にあったと記憶していたのですが、もう一つ部屋の斜め前にあったなんて何 故かまったく気付かなかったのです。私は自分自身に苦笑しながらトイレに入りました。
中に入ると先客が何人か並んでいましたが、どうもおかしいのです。 トイレの戸は全部空いたままなのです。 「あれ、この人たち何してるんだろう」と不思議に思いましたがさっさと用を済ませ、 早く部屋にもどりたいと思っていたので「トイレ空いてますか?先に行かせてもらいますね」 と一言ことわって入ろうすると、列に並んでいた最後のおばさんに手を捕まれて 「あなたはここに来ちゃ行けないよ。早くここから出なさい。早く!」 とものすごい剣幕で怒られました。「トイレしに来ただけなのになんで怒られなあかんねん」 と思いながら他のトイレに行くことにしました。
トイレで用を済ませて部屋の前まで帰って来た時、またおかしな事に気付きました。 始めに行ったトイレがどこにもないんです。
寝ぼけてたのかなぁと思いましたが、確かにおばさんに怒られた覚えがあるのに……。 きつねに騙された気分でナースセンターへ行きました。
ナースセンターには二人の看護婦さんがあわただしく何かを用意していました。 「あのートイレは……」と言いかけた時「トイレなら廊下の一番奥にあるわよ」と言われました。 「一緒に行ってあげたいけれど今急変した人がいて忙しいから一人で行ってもらえますか?ごめんね」 と出て行ってしまいました。廊下の奥にあるトイレは私がさっき入って来たトイレだと思うのですが、 一体始めに行ったトイレは……。
次の日に私の部屋に居たおばさんが「昨日亡くなった人が居るんだって。 可哀相にまだ若かったのに」と隣のベットにいる人と話をしていました。私はそれを聴いて (あぁ昨日の夜私がトイレに行った時、看護婦さんが忙しくしてたなぁ)と思い出しました。
私は今日も検査のため部屋を出て、昨日トイレがあった所に目をやりました。 昨日部屋を出たり入ったりしていた時には気付かなかったのですが、 そこは窓に白いカーテンが引いてあり、中が見えない様にしてありました。 一体ここはなんの部屋なのかなぁと思い、一緒に居た看護婦さんに聞いてみたら 「あぁ、あそこは重傷患者さんが居る部屋よ」と教えてくれました。
私が昨日見た人たちは重傷患者の人たちだったのでしょうか……。 それとも寝ぼけていただけなのでしょうか?

病院のように沢山の人が居る所ではその人数分の思いと言う ものはあると思います。もう自分は長生きをしたからそろそろお迎えが来てもいいと考えている人は まったくいないとはいいませんが少ないと思います。 早く病気を治して家に帰りたいとだれもが思って居ることでしょう。 送って頂いた写真はここには掲載しませんでしたが、ICUの前ですね。 あなたが見たひとたちは亡くなった方と何か関係があったのかわかりませんが、一ついえる事は おばさんに怒られたと言っていますが、 このおばさんは貴方にとって良い霊だったのではないでしょうか。 霊は恐いと言う人が多いようですが、良い霊も世の中には沢山いると私はおもいます。