病院3
石川県 木戸加奈子さん提供

はじめまして。どう書けばいいのか解かりませんが、 主人の父が倒れて病院に運ばれた時の話をします。
救急車で病院に運ばれた義理の父はすぐ診察室で診察してもらい、 危険な状態で親しい人を呼ぶように言われました。義理の母はすぐに私達の所へ連絡し、 私達は急いで病院に行きました。そして病院に着いくと父の病室を教えてもらい、 病室へと急ぎました。
病室では父は個室のベットに寝かされ、先生や看護婦が慌ただしく部屋の中を動き回って、 注射を打ったり心音を聞いたりしていました。 少しの間廊下に出るよう指示された母は父の側に居たそうでしたが私達と一緒に廊下へ出ました。
廊下でじっと立ちつくす主人と母。私は心配で何か声を掛けてあげたかったのですが、 真剣な眼差しで病室を見つめている主人と母に何て声を掛けていいやらからず、 一人近くにあった長椅子へ座りに行きました。妊娠中の私には立っているがかなり辛かったのです (少し言い訳)。
長椅子に暫く座っていると、知らないおじいさんとおばあさんが何処かの部屋から来られたのか 私の座っている前の椅子に腰掛けました。そして私に話かけて来ました。
「大変だねぇ。でももうすぐ終わるからね。心配だろうけどお腹の赤ちゃん大事にしてあげてね」
「これから色々忙しくなるけどがんばってね」そう言ってすぐにどこかへいってしまいました。 大きなお世話だと思いましたが、気にしない事にしました。
父が峠を過ぎたと主人が伝えに来てくれて病室へ行きました。 母は父の側に座って手を握って父の顔を見つめていました。私達が部屋に入っていくと
「もう心配はないそうだからあなた達は帰って休みなさい」といってくれましたが、 母の方が気が滅入っているようでしたので
「私が病院に残りますからお母さんこそ家に帰って休んでください」と云いましたが
「何言ってるの。お腹の子に悪いから帰りなさい」と言われたので、 母の事が心配でしたが家に戻りました。
家に帰った私達はすぐに床へ入りましたが、なかなか寝付けませんでしたが、 いつの間にかウトウトし始めていました。突然、電話が鳴りびっくりして飛び起きました。 主人が電話を取って何度か肯いた後、電話を切りました。
「父さんが危ないって……」主人はそう言うと支度をし始めました。 私もすぐ着替えをし、車でまた病院に戻りました。 病院に着くと看護婦が入り口の前に立っていました。
「森さんね。電話した看護婦です。お父様の病状が悪化しまして……こちらに来てください。」 そういって先に歩きだしました。
「あのう、こっちじゃなかったですか?」と云うと
「病室が変ったんです。こちらに」と返されたので私達は看護婦の後を付いていきました。 病室の前に来て
「こちらです」と言って看護婦さんはソソクサと帰っていきました。
私達は病室の戸を開けてびっくりしました。 そこには父が元気そうにベットの上に座っていました。
「お父さん大丈夫なんですか」と聞くと
「心配かけたね。元気な姿を早くお前達に見せたくって看護婦さんに無理をお願いして 電話してもらった」と微笑みながら言いました。
私達はびっくりしながらも安堵しました。
「加奈子さん、少しの間忙しくなるけれど洋輔と母さんの事お願いしますね。 それと元気な子を産んでくださいね」と父は寂しそうな表情で私に言いました。
「何言ってるんですか……」私は父が何故そんな事を言うのか、寂しそうな表情をするのか、 その時は解かりませんでした。
私達は暫く父と色々話をして楽しい時間を過ごしていましたが、突然父が
「もう行かなくては……みんな元気にしてるんだよ」そういってスーッと消えていきました。
「えっ、えっ、一体なに」と思った瞬間、私達がいる所が喫煙室なのに気が付きました。 暫くの間理解が出来ませんでしたが、いきなり看護婦に
「今電話をかけに行こうとした所なの」と声を掛けられてびっくりしました。 「急に」と言いかけた時、主人が「亡くなったんですね」といいました。
私は驚いて主人の顔を見ました。主人は落ち着いた顔で「父に会ってもよろしいですか」 と訊いて部屋の中に入って行きました。
母は肩を落とし、泣きそうな顔をしながら父を見つめていました。 私達が部屋に入ってきたのに気付くと、力無く 「四時半頃急に様態が悪くなってね、私を置いて逝ってしまったよ」といって涙を溢しました。
私はようやく理解出来ました。父の容態が急変したころ、 父は私達にお別れを言うために病院に呼んだのです。そして、もう行かなくてはと消えた時間、 父は亡くなったのです。後で電話してきた看護婦にお礼を言おうとしましたが 「そんな看護婦はいませんよ」と父の最後を見取ってくれた看護婦がいいました。
これが私にとって初めての不思議な体験です。
文章が下手でごめんなさい。掲載する時は手直ししてくださいね。それではまた。

電話してきた看護婦さんはお父様の守護霊がお父様の最後 の願いを聞いてくれたのではないでしょうか。 おじいさんとおばぁさんも守護霊の一人か、先祖の霊だったのかもしれませんね。 義理のお父様はあなた達の事が気になってた様で、最後に話ができてきっと喜んでいると思います。 お父様のご冥福をお祈りします。