中学2年の夏休みの出来事の話をします。
中学2年の夏休み、友人の家でナイターを観ながらごろごろしていた時の事です。
その友人の家は、旧家で、築年数は200年は軽く超えているそうです。
威圧さえ感じるその重厚なたたずまいは、歳月を重ね続けた故かもしれません。
当の友人自体も霊感体質らしく、寝ている時、
鎧武者数人に取り囲まれたのは1度や2度ではないという体験の持ち主です。
この様な環境下であったので、あのようなモノが寄りついたのかもしれません。
別にナイターを真剣に観ている訳ではなく、ただただTV画面を眺めていました。
時間はまだ8時代だったと思います。
TV越しに窓があったのですが、夏でもあったので網戸をして窓を全開にし、
カーテンは閉めている状態にしていました。
何気なく、
目の端に妙なものが映ったような気がしたので視線をTVからカーテンの端に移しました。
するとカーテンの向こう側から手が伸びています。
真っ白い手がカーテンに沿って伸びて来ています。
しかし、古い家で床が高く、
腕が伸びているカーテンの上部は外の地面から3メートルはあります。
しかも、網戸は閉めてあります。
腕は、音もなくゆっくりと家の外から回り込むようにカーテンに沿ってまだ伸びています。
「おい…あれ…」
「ああ…」
友人と二人、その様子を凝視していました。ぽかんと口を開けて。
やがて、腕はカーテンの中央まで伸びました。
人間ではあり得ない長さです。試しに自分の肩口を窓の端から中央まで伸ばしてみて下さい。
現在身長が180cm近くある私でさえ届きません。
真っ白くて細く、異常に長い腕は本当に不気味でした。
今までの弱弱しく、ゆっくりとした動きからは考えられない力強さでその手がカーテンをぐっと
掴み、カーテンを開けようとした瞬間、弾かれた様に二人ともその部屋から飛び出しました。
友人の家は山の中の一軒家で、当時夜道に電灯がないような所だったので、
とても夜道を帰ることは出来ずに泊めてもらったのですが
(もちろん別の部屋。友人も自分の部屋には戻らずに一緒に)、一睡も出来ませんでした。
それ以来友人は、何ヶ月も自分の部屋で寝ずに別の部屋で寝たそうです。
そして、あの出来事はあれっきり、二度と起こらなかったそうです。
気持ちの悪い話でしょ。今でもあの不気味な腕を思い出しただけで条件反射でサブイボがでます。
白い手は、一体誰の物だったのでしょうね。
そのまま、部屋に居たら、手に、捕まえられていたのでしょうか。 |