兵庫県神戸市 磯孝子さん提供

初めて車を買った彼、中古車でも嬉しいらしく、毎日飽きもしないでせっせと車を洗車し、 新車に見えるくらい綺麗に磨いていました。
車は5年落ちの白のマーク2で、中古車センターで10万で買って来たらしいです。
「5年落ちにしてはかなりの破格で、 なにかあるのかなぁ〜と思いつつ彼は安さと自分がほしかった車の車種だったため、買った」 と言っていたが、あんな事になるなんて……。
 初めての自分の車が出来たと嬉しいらしく、 友達の私を含め3人に六甲の夜景を見に連れていってくれると言うので連れていってもらう事にしまし た。
車に乗り込んだ時、夏だというのにさぶいぼが出るくらい冷やっとしていました。 クーラーもついてないのに……。窓を開けると生暖かい空気がフワット車内に入ってきましたがすぐ にそれもなくなり、震えるほど寒くなりました。しかも、なんか嫌〜な予感がするんです。
早く車から降りたいと、山頂に付くまで思っていました。
山頂につくとすぐ車を降り、外が暑い事を思いださせてくれました。汗がジワットわきでて、 ホットしていると一緒に来ていた二人が、トイレに誘ってきました。
私達はトイレには行かずトイレ近くの茂みに入ると、彼の車の事を話始めました。
「寒かったね〜」
「クーラー入ってなかったのにね……」
「彼には悪いけど、なにかあるんだよ、あの車!」
「あぁ〜。また車に乗るのやだなぁ〜」
なんて話をしていましたが、あまり時間がたつと彼に悪いので、車に戻っていきました。
「あれ?車の中に、中年のおばさんが乗ってる。なんで〜?」
「あぁ〜本当だぁ〜。誰かなぁ〜」
彼は車の外で私達を待っていましたが、 顔が髪の毛で見えない女の人が車の運転席に座っているのが見えました。
ところが車の側へ来ると「あれ?いない……」
車に乗っていたはずの女の人がいなくなっていました。狐に摘ままれた気分になりながら、 せっかく来たのだからと六甲から見える神戸の夜景を楽しみました。
2時間ほどウロウロとしていましたが、夜も遅くなってきたので、帰る事にしました。
車は相変わらず寒くて悪寒も走り、嫌な気分になってしまいました。気分を紛らわそうと、 助手席にいた子にラジオをかけてもらいました。
ラジオを聞きながら山を降りて有馬街道にさしかかった時、ラジオから悲鳴が聞こえてきました。 なんなんだこのラジオ番組は、と腹が立ちましたが、運転していた彼が
「私をひき殺したのは、お前達だな!」
と、変な事を言い始めましたが、いつもの冗談だなと思い助手席にいた子がそうだと答えると、 彼はその子の首をいきなり閉め始めました。
「ハンドル!ハンドル!」と言っている間に、壁にぶつかって、意識を失いました。
気がつくと病院で、先に意識が戻った子が警察に色々質問を受けていました。 一通り質問が終わると、私の意識も戻っているのがバレると私も質問されました。
「奇妙なんだよねぇ〜。助手席にいた男性の首に、手で閉めた跡があるんだけど、 彼女は知らないって言ってるんだけど、君も知らないの?」
私は言うべきか言わざるべきか悩んだあげく、 運転していた彼が助手席にいた子の首を閉めた事を話ました。 なぜ彼がそんな事をしたのかは、理解出来ませんでしたが、最後に警察の人が、
「それで運転手がいないのかぁ」と捨てセリフの様に言って、病室をでていきました。
後日、彼は神戸の新開地の高架下で胸の圧迫と頭骸骨骨折で死んでいるのを発見されました。 警察によれば、事故を起こし逃げられないと思い自殺したのだろう、との事でした。 しかし警察のひとが首を傾げる事が一つ、自殺をしたとすれば、当たりに散乱するはずの血痕が、 全くなかったそうです。
この事件で助手席にいた子と、 運転手の彼が亡くなりました。車のナンバーは「神戸・**−**」です。 事故を起こした車を買ってしまったのでしょうか、それで彼は死に、 そうだと答えた彼も霊に殺されたのでしょうか。
車のナンバーは、隠しました。ご了承を。

大変な事故に巻き込まれまたね。 彼の車が事故車だったのか、一般の者にはなかなか調べられませんが、事故死した人が、 車に恨みを残していたのかもしれませんね。