ねこ1
館長提供

今から8年前に主人の友人夫婦と城崎へキャンプへ行き、その帰り道の出来事です。 少し古いのですが、とても恐い印象が心に残っているので記載します。
車を順調に走らせ、大阪市内に差掛かったときです。車の前にいきなり猫が飛び込んできました。 よけようとハンドルをきったのですが間に合わず
「ドン!」
と鈍い音と、断末魔のような猫の泣き声がして、車が止まりました。
「あぁー!せっかくの新車なのに、猫轢いちまったぁ」
運転していた友人の夫が車を降りていきました。車の回りをウロウロして、 車の傷を見ているようでした。しばらくして車に乗り込んできて
「全く、せっかくの新車なのにへこんじまった。まったく忌々しい猫」と怒っているようでした。
車が走り始めましたが、誰も話す気にはなれず、無言のまま帰途につきました。
何日か過ぎ、段々事故の事を忘れかけていた矢先、主人の友人の奥さんから電話がありました。 彼女のご主人がおかしいと言うのです。
私は付き合いが浅かったので言われてもわかりませんでしたが、主人に相談し、 週末に友人宅へ遊びに行く事にしました。
忘れもしません。九月三日の週末、友人宅を尋ねました。
玄関を入ってびっくり……。
部屋の家具や食器、服や飾ってあったらしい植物などが散乱しています。
奥さんはかなり顔色が悪く、げっそりとし、オドオドしています。
「旦那様は?」と聞くと、寝室で寝ていると答え、起こさないでほしいといわれました。 どうやら旦那が暴れたようなのです。
私の印象では旦那は普段とてもおとなしい人だと思っていたので、 こんな事をする人だとは思いませんでした。
主人は友人を見に寝室へ行き、私達は散乱した部屋を片づけながら話をしました。
彼女の話によると、キャンプの帰りに猫を引いた時からおかしくなったらしいのです。
夜中にゴソゴソするなと思って、目が覚めるとだんなが冷蔵庫をあさり、 食べ物を手当たり次第、口に突っ込んでいました。彼女がそれを咎めると、 だんなの声とは思えぬ声で何かを叫び、暴れ始めたのです。
それでも最初の頃は、明け方になるとコロッと寝てしまい、何事もなかったかのように起き、 会社へ出かけて行くのです。
そんな事が何日も続き、私達へ連絡してきたらしいのです。
私は寝室へ行き、寝ている友人を見てびっくり。そこに寝ているのは猫、 それも人間ほどもある……。私の主人はその猫を起こそうと、ゆすっていたのです。
私は顔が引き攣り、主人を猫から遠ざけ、比叡山の住職に教わった除霊方法をためしました。
しばらくは猫は寝ていましたが、ハッと目を開き、私に飛びかかってきました。
すごい形相の猫は、私に向かって
「この男は、かわいい子供も一緒に我を殺した。そればかりか我の傷ついた体を蹴飛ばした。 許せない。絶対に……」
その後の言葉は聞き取れませんでしたが、いつの間にか奥さんが来ていて、 私と主人と三人で猫に誤り、彼の体から出ていってほしいと頼みました。
それでもなかなか出ていってもらえず、 仕方なく知っている霊媒師を呼んで除霊をしてもらいました。
霊媒師は、一ヶ月は時間が掛かると思うが、徐々に元に戻ると言ってくれました。
それから半年、元気とは言えませんが、友人は元の生活にもどり、生活を送っています。