心霊写真の男
大阪在住 順博さん提供
場所は大阪市個人宅にて

僕は、今まで心霊写真とか、霊に関する事は全て否定派の人間でした。 今でも経験したにも関わらず、信じられません。いや、 信じられないと言う言い方は正確ではないですね。信じたくないと言う気持ちでいっぱいです。
これまで全くと言っていいほど霊を見たことも感じた事も無い僕が何故こんな目に合わなければ いけなかったのか。まだ信じられないでいます。
事の起こりは、今年に妻と帰郷した時に撮った一枚の写真でした。
その写真はごく普通の家族写真で、別段変った所もない場所で撮った写真なんです。
その写真を撮ったいきさつはと申しますと、久しぶりの実家。家でゴロゴロしていると子供達に 「暇だからどこかに連れていって」とせがまれ、私も何処かへ連れて行ってもいいなと思って、 家からさほど遠くない庄原市にある比婆道後帝釈国定公園へ行きました。
この公園も、私が幼少の頃に良く両親が連れて来てくれた所で、懐かしい気持ちになって、 子供たちの遊んでいる姿をボーっとしながらベンチに腰掛けて見ていました。暫くして、 なんとなく子供たちの遊んでいる姿を写真で残して置きたいと、カメラを出して写しておりました。
すると、観光客らしい方が私の近くを通りかかり
「ご一緒にお撮りしましょうか?」と言ってくださったので、私はそのご行為に甘え、 撮って頂きました。
その時は別に変な感覚とか、何かを見たと言う事はありません。それに、 私達が撮ってもらった所は木陰の下で、背中は木に当たっておりました。 それなのに、全然知らない男の人が私と子供の後ろに写っていたんです。 私と子供の後ろは人が立てる様なスペースも無かったのに……。
変だと思いませんか?人が立てるスペースも無いのに、男の人が写ってるなんて……。
始めは写真の印刷が悪いのだろうと思っていたし、絶対そうだと確信していました。
だって撮ってもらった所は人が立てないのだから……
その時写真は気持ちが悪かったので、破り捨てました。
それからです。変な事が起こったのは。
その写真を処分したせいかは解かりません。ただその写真を破り捨てた夜、 家の中で人の唸り声が聞こえてきたんです。
始めは家の外で犬が唸っているのか、酔っぱらいがなんか言ってるのだと思っていたのですが、 なんとなくその唸り声がもっと近くで聞こえている様な気がして気味が悪くなりました。
妻は「あなた見てきてよ」と言って、布団を頭からかぶり潜って手を振って私に見てこい! と言うので、あまり気は進まなかったのですが、眠い目を擦りながら声の主を探してみました。
私は自分の寝間を出て廊下へ行きました。
すると階段の下からその唸り声が聞こえています。 やっぱり酔っぱらいが玄関近くで何か言ってるんだろうと思って見るだけ見てこようと、 階段を降りて行きました。
階段を降りてすぐの所にリビングがあるのですが、 どうやらその声はリビングから聞こえている様なのです。
誰か泥棒に入って来たんだろうか?それにしては「ウーウー」唸ってるし……。
私は意を決してリビングの戸を開け放ちました。
「あれ?誰もいない。しかも声も聞こえなくなった……」
変だなあと思いながらも寝間へ戻り、暫くは興奮していて寝れなかったのですが、 いつのまにか眠入っていました。
「あなた!あなた!」
妻が私を悲痛な声で揺り起こしました。
「あなた!またあの声が聞こえるのよ。今さっき見てきたんでしょ?この声はなんだったのよ! 気持ち悪い!眠れないじゃないの!」と怒っている反面怖がってまた布団を被って私に見てこい! と言われました。
しゃあないなぁと、私も眠いのに寝かせてくれと腹立ちながら声の主を探しました。
廊下に出るとやはりリビングから声がしているみたいです。
「一体なんなんだよ!」 私はリビングの戸を開けっ放していたのでリビングへソオーっと覗いてみました。
すると黒い人影がパッと動いた気がしました。
「誰だ!」私は声を出して相手を威嚇してみました (泥棒に入っててハイって返事する奴っているのか?と思いつつ)。しかし返事はありません。
すると「ウウウウウ……」と確かに部屋の中で声がしました。 その声はなんとも言えない地の底から聞こえてくる様な、なんとも言えない気持ち悪く、 私は自分の家なのに怖くて仕方がなくなっていました。そしてこの場から逃げようと思ったのですが、 妻の顔が脳裏に浮かび、 またギャーギャー言われても困ると思って何処から声がしているのか突き止めようと、 怖い気持ちを抑えながら聞き耳をたてました。
(この話を見て「きっと私が妻に頭が上がらない」 ってバレてしまうのがちょっと恥ずかしい……)
「ごみ箱の中?」その声はどうやらごみ箱の中から聞こえているようでした。
昼間捨てた写真の主か?何故そう思ったのかは解かりませんが、 怖いのをガマンしてごみ箱をヒックリ返してみました。
すると今まで聞こえていた声がなくなり、 私が破り捨てたはずの一枚の写真が綺麗なまま入っていました。
「なんでなんだ?」不思議な気持ちと怖い気持ちでその写真を手に取って薄暗い部屋で見ると、 なんとなくその写真の男が動いた様な気がして「うわぁぁぁぁ!」 と叫ぶと同時に写真をほり投げて妻のいる寝間へ走って逃げました。 妻は寝ていたらしく「どうしたのよ!」と、機嫌悪そうな声。 私は今起こった事を妻に言ったのですが「寝ぼけてるの?人騒がせな……」 と言ってまた眠ってしまいました。
私は怖くて怖くて眠る事が出来ず、朝を迎えました。 寝ていたらしく朝になって辺りが少し明るくなってきたので、私も少し落ち着きを取り戻し
「ヤバイ……ごみ箱をヒックリ返してるのを妻に見られたら……」 と思って恐る恐るリビングへ行ってみると、案の定散らかしっぱなしになっているゴミがあり、 破れた写真が散乱していました。
私はゴミを片づけ、その写真もゴミ箱に入れて寝不足で眠い目をこすりながら会社へ行きました。
帰って来るとごみ箱は空になっており、妻がゴミは捨てたと言っておりました。
そしてあの夜のような出来事はそれ以来ありません。
やはりあの写真が悪かったのでしょうか?

災難でしたね。 しかし心霊写真はムゲに扱うのは良くありませんね。心霊写真は今では技術が発達しているために、 偽者も多く出回っていますが、本物の場合は怖い事もあるのでむやみやたらに破り捨てるのはよした 方がいいのではないでしょうか。霊の写っている写真は、霊を写真にコピーしてしまっているので、 写真事態に霊が宿る場合が多いので、本当に破り捨てるのは良くありません。 出来ればお寺などに持って行って供養するか、 写経した物と一緒に焼き捨てるかどちらかをして処分した方がいいですね。 しかしその写真見たかったです(;_;)ヴヴヴ.....