自殺者1
千葉県在住 Zakiさん投書
場所は、東京都新宿区高田馬場です。

これはある会社で働いていた時の話です。
その会社は二階建ての小さい建物で、 すぐ側にアパートが建っているため非常に複雑で狭い場所にある建物で、 緩やかな斜面に建てられていました。
深夜まで仕事が続く職種だった為、良く隣のアパートから苦情がきていた様です。 また、仮眠室も用意されていたので、社員が良く寝泊まりする会社でもありました。
働き初めて半年くらいした時に、その会社の仮眠室に出るんだ、という噂を聞き、 それまでに何度も泊っていた私は、本当だろうか?と疑っていました。
それは場所がある程度決まっている様で、 3段ベットが2つある部屋で6人寝られる内の手前にあるベットの真ん中と一番上に多く、 体験者がいる様でした。実際、私も何度かそこで寝ましたが(知らなかった時)、 いくら寝ても疲れが取れず、家で寝ないとダメなのかなぁ……などと考えていた私にとって、 あながちウソでは無さそうだなぁ、とも思えたのを憶えています。
体験者の話では、寝ていると女の人が出てくるらしく、 上から髪の毛がサワサワと降りてくるそうです。 また、犬か何かが布団の上を動き回るという人もいました。
私は運良く?結局一度も体験しませんでした。
その話(出る)を聞いてすぐ、またも驚愕の事実を知る事となりました。 実は私が働き始めた時期のちょっと前に、隣のアパートで自殺者が出ていたのです。 しかも、部屋の中ではなくベランダの物干しに首を吊っていたらしいのです
そして、その窓の部屋に隣接した、うちの会社の窓付きの部屋が幾つもあるのに、 一番近くその自殺現場を真上から見る事が出来るのが、仮眠室でした。
会社は写真を扱う事もあるので、カメラが常備してあり、個人でも持っている人がいた為、 その現場の写真を撮った人もいたようです。撮った本人はそれからすぐに焼いてしまった様で、 一度も見ていませんでしたが、他に持っている人がいるらしいです。私も見てません。
さて、これまでは私の体験は一切入っていませんが、 これから話す事はこれをふまえてからで無いと、納得いかないし、 またふまえてもさっぱり分からない体験です。それは入社から一年位を過ぎた6月の、 雨が降った後の深夜の出来事でした。
時間はもう3時くらいになっており、私ともう一人、同じ班の人がいました。 私達の班がある部屋は、会社の2階です。下から階段で上がるとすぐ左に仮眠室とトイレ、 ドアを開けるとフロアに入れます。私はフロアの真ん中くらいに席が有るので、 いつもそこで仕事をしていました。御互い疲れていたので、何も声をかける事も無く、 黙々と仕事をこなしていました。仕事にも集中していたので、 御互いのことは気にならなかったのです。
と、そこへちょっと勢い良く、ドアを開けて誰かが入ってきました。 私は仕事に集中していたので振り向きもせず、他の部署の人が酔っぱらって入って来たのだと、 仕事を続けていました。
その人は、迷う事無く、フロアを一直線に奥まで歩いて行ったので、 そこにある備品などを取りに来たのだとも思いました。
……しかし、横を通り過ぎる時に、目のハシに写ったその人の印象が、どうも引っかかりました。
……全身がつなぎを着た様に、白かったのです……。
それから、そうです。集中していたにもかかわらず、その人が気になってきたのです。 おかしいと思いますか?もしくは気になって当たり前だと思いますか?おかしい、 おかしく無いはともかく、その時は気になって仕方がありませんでした。
どんどんと、訳の分からない疑問が膨らんでいきます。
そして、しばらくして気が付きました。奥へ行った人が帰って来ないのです。 フロアは広くはありません、14〜15メートルくらいの奥行きです。私の席は、柱とロッカーが邪魔で、 奥が見えません。しかし音くらいは聞こえるはずなのに物を動かす音や、 足音さえも聞こえてきません。さっきはあれほどハッキリと聞こえた存在が、です……。
どのくらい経ったのか、私は席を立ちその存在を確認出来る所まで歩き、そして見ましたが、 誰もいません……。
その時、私の前のドアが勢い良く開き、もう一人が出てきました。びっくりした様に、 私が立っているのを見たので、何をしているのか訪ねられるのかと思って、 私は言い訳を考えていると、期待したセリフと違う問いがきました。
「今、誰か(フロアへ)入って来なかった?」
そう、彼も小部屋に入っていたにも関わらず、ドアを開け、 入って来る人物が気になったいたのでした。私は嬉しさのあまり、 引き攣った笑い顔をしていたと思います。
勘違いじゃなかった……気のせいでもなかった!
私は事のあらましを伝え、そこに立っていた理由も伝えると、まったく同じ体験をした事が、 ますますハッキリとしてきました。彼も、奥の方を見て「こっちに来たんでしょ?」 と不思議そうに言っていたのです。そこで、なんでその事がそんなに気になったの? と私が質問すると、やはり「いや、べつに……なんでだろう?」と内心を悟られない様に、 平然をよそおっている様でしたが、明らかに自覚していたのだと思います。 その存在が何なのかを……。
しっかりとでは無いにしろ、その存在を目にした私は、それも彼に伝えました。 彼の反応があまり無いので、やはり信じられないのか……と思いましたが、 ほとんど経験した事が同じだけに、それなりに悩んでいる様でした。
その後、一人ではなかったし、又それからは何も起きなかった為、 そのまま御互い仕事を続行させ無事に追われた事が、オカシイくらい無神経である事が、 おかしいです。
これが私が初めて目にした?霊の話です。