心霊スポット
埼玉県在住のはすらぁさん提供

『 ‘霊感’ のない人達、’恐怖体験’未だ経験のない人達へ…』

誰かに聞いた話・読んだ文章・画面の向こうの映像…今ひとつ現実味のない‘恐怖’に 物足りなさを お感じでは?
「それって本当?」「うそでしょ?」「だったら怖いね」「 作りすぎだよ」 疑念の残る なんともすっきりしない思い 募りますよね。
それでも噂は飛び交い、そして私達は追いかけ 続けます。 何を求め 何を知りたいのでしょう… 

『真実?』『リアリティー?』『肌身で?』『感じたい?』 分かりますよ その気持ち。
『 もっと もっと 恐怖を!』                        折りしも この季節『 夏 !シーズン(?)真っ只中!!』でもね皆さん… 今一度考えて みてはどうでしょう。
その興味本意の好奇心。それが どれだけ軽薄で、そして危険な事 なのか。
軽い気持ちのはずが 取り返しのつかない事に…そんな事例が 現実として 多々起こっているのです。
立ち入ってはいけない領域、 それは必ず存在します。

知ったような事を述べましたが…私には ‘霊感’ というものはありません。 ソノテの話題に 好奇を寄せる、声を上げて騒ぎ立てる、ごく普通の一般人です。(基準がわからない+変な日本語)
 まず 皆さんに、私がその立場の人間であることを 理解しておいてもらいたい。
そんな私 − ‘霊’への感受性の低い この私 − が 体験した出来事です。
一生分 心に焼きついた… 後にも先にも 2度とないであろう…

今夜のように 寝苦しい夜には、思い出してしまいます。
8年ほど前の 真夏の夜でした。

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当時私は 週末ともなると必ず集まる仲間達と つるんで遊び回っていました。
イベント好きのやつらばかりです。 内の一人が今夜の‘ネタ’を提案します。
−「 肝試し 」− 夏の定番、風物詩ですね。皆大賛成でした。
集まったのは 10人くらいだったでしょうか、男ばかりの大所帯です。
別の不安がよぎります。夜遅くの大人数での移動、話を聞けば 現場は地元、住宅街の ど真ん中。
「通報され 警察沙汰にでもならなければよいが…」

その家で起こった惨劇…今から数えると 20年数年前の事になるでしょう
『 ご主人が仕事で出張中の、その隙を狙って強盗が押し入り、奥さんと 2人の幼い娘 ( 娘さんは1人?おばあさんも? 家族構成の記憶が不確かです。友人に確認すれば すぐにでも分かりますが、あえて確かめません。私の記憶では… ‘女性ばかり3人’ ) が刃物で惨殺された。1階居間の 畳 壁には、飛び散った血のあとが 今でも残っている…』
と いうのが その事件、現場の説明でした。

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2台の車に分乗し出発しました。 その付近の家並は 密集隣接しており 道も入りくんで いるため、少し離れた所に車を止めることに。
 近所に気付かれないように声をひそめ 深夜の住宅街を歩いて向かいます。
「こんなに近くに… 今までなんで知らなかったのだろう」
現場の家を目の前にして、私は戸惑いました。
 「 ここへ?入る…の!?」
  とても 立派なたたずまいです。 鉄筋コンクリート建築の2階建て。 建てられた当時としては 多分めずらしかったのではないでしょうか。 ゆとりのある庭付きの一戸建て、豪邸では ありませんが、外見から かつての住人の裕福さが うかがえました。
なぜでしょう… 庭に面した1,2階の窓は 雨戸を閉めずに 内側からベニヤ板でふさがれて いました。その光景がとても異様に思え 深く印象に残っています。
確かに人は住んでいないのでしょう。しかし 見た目に朽ちているわけでもなく、そして近隣 と同じように その家は在るのです。 今にも人が出てきても おかしくないほどです。 ( 時間帯も 記憶に自身がありません あしからず )遅い時間にもかかわらず 周辺の家々 には、ぽつり ぽつりと明かりが灯っていました。
−不法侵入− その言葉がよぎります。 しかし男ばかりのこの集団 もう歯止めが効かなく なっていました。 行為の理不尽さが 異様な興奮と緊張を増幅させていきます。
「 やばすぎる!!」 と 「 こしぬけには なるまい!!」 その葛藤。
動揺を悟られぬよう 私も行動に続きます。
侵入経路は 裏手にある勝手口。 ブロック塀との間を中腰で進みます。塀のすぐ向こうには 隣の家の庭、閉められた雨戸の隙間から明かりが漏れています。
扉の前。 ドアノブに手をかけます。 カギはかかっていますが、この事件の噂が私達の所に 届くまでにも、たくさんの好奇心を 引き寄せてしまっていたようです。 すぐ上のガラスは ちょうど 手を忍ばせる分だけ割られ、内側から薄い板があてられているだけ…。
直しても直しても またすぐ破られる…簡単な修復には、管理者( 身内の方?)の 諦めの感 が受けて取れました。
たやすい事!とばかりに板を強く押しやります。 『 バキッ 』  隙間に腕をすべり込ませ 内側から 『 カチャ 』 カギが開きました。先頭のソイツが 皆に合図 
「アイタ!ハイル!?」 今更…ここまで来たら、 もう引き返せるタイミングではありません。 私は何番目だったでしょう… とうとうその一歩を踏み入れてしまいました。
ダイニングキッチン…

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

その時の衝撃をどう表現したらいいのでしょう。 全身を何かが貫きました。

「 !!!!!!!!!!絶対 人がいる!!!!!!!!!!!」

まず そう直感したのです。 人がいる…
『人が住んでいる』(=不法侵入=犯罪 を 自分が犯してしまった…??) なのか、それとも 人間が最低限 備え持っている ‘霊感‘ が 『 感じとった‘存在’』 なのか…年月が経った今 言葉で説明しようとしても…  室内の様子を見れば 人が住んでいるなんて事はない…。

『 ‘意志’ のようなもの… 空間全体がそれを 圧倒的に持って、 拒んでいた… 』

暗闇… 肌にぴったり空気が止まっていました。
懐中電灯が黄色く照らしだします。雑然としていて、荷物はまとめられている と いうより、 あるべき箇所に 固められているという感じです。  テーブルの上の調味料が−流し台の 食器類が−開け放しの収納の奥には−鍋 フライパン−冷蔵庫 ガスレンジ 洗剤 ぞうきん 缶詰 食品のパッケージ… 強引にも 光をあてられたかつての生活が、 「 やめて 」 と 叫んでいるかのようです。 そこを見るしかないのに視点が定まりません。
全員それぞれが 場にかたまっていました。 他人任せ、次の展開を押し付けあっています。 『 どうする?』 『 どうする??』 と、皆互いの様子をうかがうように。 たった一人の照明係りまでも。   もっと奥へ! そして 『居間に残る血のあと』 を… なんて事でしょう、展開の行動をとったのは 私なのです。懐中電灯を取り上げて… その瞬間からです!!

『 ピ---------------------!!!!!!!』

凄まじい耳鳴り!!まるで警報機が感知した時の音のよう!!
極度の‘恐怖’からなのでしょうか。 ( それとも これが ‘霊障’ と いうもの??) さらに、より一層の 押し返されるほどの空間の圧力が 全身に襲いかかります!!
気を失いそうなくらい…
入って来た勝手口から見て正面のフスマの向こうが 居間。 ひだりて角の扉は 開け放され 逆‘コ’の字に回り込むかたちに。 鉛の足どりを 一歩一歩…

『 ピィィィィィィィィィィィィィ--------------------!!!!!!!!!!!』

耳鳴りと圧力は 歩みと共に激しさを増します。 そして私の意識状態は…
『‘自分自身’として 自分がいられる』 … その感覚が、かなり薄らいでいました。
(おかしな表現ですみません 理解してもらえるでしょうか)
はたからは 丹念に確認しているように見えたことでしょう。 いいえ 違うのです…
自らもが拒絶反応を、全機能が 麻痺 停止寸前。

ダイニングキッチンひだり角まで来て、 とうとう…動けなくなってしまいました。
その足元から 畳の部屋がはじまっています。
私のとらえていた映像は、 遠く 狭く 小さく …
部屋を取り囲むように びっしりと、荷物が置かれていました。 ふろしき包み バック 紙袋 ダンボール…おもに衣類のよう。 中央は ぽっかりと 広く開けられて。
家の内側に来て解った事… 室内から打ちつけられた窓のベニヤ板は 目張り( 目隠し ) のため。
ああ…私は 次に何を見てしまうのか。 覗き込めばすぐそこに きっと…
「…だめだ 」  ためらった挙句 左斜め後方を照らすと…

!!!!!----子供部屋-----!!!!!!

その位置から対角線に その部屋は見通せます。 半開きのドア越し ひときわの暗闇の中に 浮かび上がる…  ―‘ オルガン ’― 「 うあ…!」 皆の声がいっせいにあがります。 同様にふさがれた、窓際にありました。

『ピィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!』

どこへ明かりを向けても強烈すぎる… そむけるように居間に戻します。
視界に入っている壁と畳には、まだ 『血のあと』 は ありません…
もう… 見るしかない…。  柱に手をかけ、…

次の 瞬間に任せ、身を投げるように!覗き込みました!!

「      !?      あ…」

何が あったと 思います?…

―『 位 牌 』―

「…うああぁぁっっ!!!だめだめだめ やばいってっ!!見るなぁっっ!!!」

(数がいくつあったかは…) 一瞬の事ですが、まぎれもなくそこにありました。予想外…
懐中電灯も放り出し、絞り出すような叫び声をあげて、2、3歩崩れるように後ずさりました。 錯乱状態と言われていいはず。 その、私の取り乱しぶりを… 皆どう思っていたのででしょう。

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遠くで会話を聞いています。
 「 なあ…2階…どうする? 」
 「 行ってみる…? 」
見上げた階段の踊り場… その天井から… 洋服が吊り下げられていました。
「 地下室があるはず…」
ぽっかり 真っ黒な口を開け 飲み込まれそう…
何ばかなことを! これ以上いったい!! 

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「…!?」
「??」
「…どうした!?」
にわかに様子が変わります。 そして…  
 「 見つかった!」
 「 逃げろ!!」
大きな声に、今までの引きつった恐怖が 砕け散りました!!
もう何も かまう必要ありません!! 狭いドアから争うように飛び出します!!
( 室内に 全員は入っていませんでした。 中に5人。 その他は外で見張をしていた。)
振り返りざま 隣の家の雨戸が ガタガタと開き、逆光に人のシルエットを見ました。
深夜の住宅街を 走って、走って…

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「 …だいじょうぶ?」
 皆心配そうに顔をうかがいます。顔面蒼白 声も出ない。私だけが…
極限の恐怖… 全力疾走… 全身、とくに頭が痛いほどしびれています。
開放された安堵、脱力感、それ以上に後悔の念で  うなだれて… 
『 ああ… 何と言う事をしてしまったのだろう…』何度も何度も 心の中で…謝っていました。

「 踏みにじる様な行為 お許し下さい。 自分達を心から恥じています。 ごめんなさい…」

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これが私の体験談です。
大げさのないように、記憶をたぐり 言葉を選んで記しました。

私は自分を‘霊感’の無い ごく普通の人間だと思っています。
故に、めったなことに 『 霊 』 という存在を、引き合いに上げたくありません。
当然ですよね、 ふだん 「 見えない、聞こえない、感じない 」のですから…
しかし、 では あの時… 「絶対 人がいる」と 直感していた私は…?。
凄まじい耳鳴り そして肌に密接に受けていた あの感触、気絶しそうなほどに…
「ごめんなさい ごめんなさい」と 心から謝っていた私は…
単なる恐怖心と 不法侵入という罪の意識が作り上げた、錯覚…でしようか?。

複雑に感情が交錯しています。 どう この気持ちを伝えていいのやら…
距離を置き、 きわめて冷静に、導き出した答え。 それは…

『 立ち入ってはいけない場所は必ずある 』 

想像してください
「間違えなく そこにはかつて、とても幸せな家庭がありました。
広く 明るい室内。 元気な少女の笑い声。
ダイニングキッチンには、おいしそうな料理のにおい。
まな板の音、 エプロンをかけた奥さんの後姿。
オルガンの音色。
ご主人の帰りを楽しみに待ちわびる家族の風景…。」
(なぜか私には現実的な映像として強く脳裏に焼きついている)
その幸福を邪魔する権利など 誰にもある訳がない、絶対に。
 そのはずなのに…
遺された ご遺族…特に ご主人の気持ちを考えると、あまりにも… 辛く、悲しすぎます。

‘恐怖’ ‘心霊’ などとという言葉 出来れば使いたくありませんでした。
亡くなられた方達にも 侮辱する表現ではないか、と思ったからです。
決して忘れてはいけません 以前にはその 『人生』 『生活』 『幸せ』 が あったことを。

‘命’を失った時、この意識はいったいどこへ行ってしまうのでしょうか。
  今こうして認識している世界、こんなにリアルな感覚…死んでしまったら その一瞬で 消えて 無くなるのでしょうか? 私には、そうだと どうしても考えられないのです。
その時に、…たとえば特別に強い思いを抱いていたとしたら… 何かがそこに留まっても 不思議ではない…  どんなに ‘霊’への感受性が低い人にでも 強い念は 訴えかけ、 時には信じられない現象を引き起こす…。
 もし、場合が違っていたら、 最悪の事態になって しまったら…  そんな たくさんの事例を、皆さんも聞いて読んで 知っている事でしょう。
それらは、まぎれも無い −『 真実 』− なのです。
人は 解らない物事に興味を抱き、探求し続ける…飽きず 懲りず 貪欲に。そういう生き物 でしょう。 よく分かります。 でも、踏みとどまる事も 勇気だと思いますよ。
確信していえます、『立ち入ってはいけない領域は、必ず存在する』
あの夏、一生分 私の心に焼きついた 出来事でした。
  皆さんも気をつけて…

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私が伝えたい事 理解してもらえたでしょうか。 どうお考えにまりますか。

あえて記しますが… これはあくまで 私の中のイメージだと 捉えてもらって結構です。
‘あなた達’ は −泣いて− いましたね。 『 やめて 見ないで!!』 と。
『 ここから出て行って!!』、 『 そっとしておいて 』 と…
( 勝手な想像を お許し下さい。)

陰ながら 最愛の人たちを失った、ご主人 ご遺族に、心よりお悔やみ申しあげます。
ご冥福をお祈りしています。
私達を お許し下さい。

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後日談として…
事件現場を知る 別の友人に、「 2階にいかなくてよかったね 」と言われました。
( 殺害現場は2階の?寝室? 1階の居間に 私は ‘血の痕’ を見ていない…)
そして、やはり数年前の事になりますが、偶然にもテレビのニュースに ‘あの家’ を見ました。 どうやら何か、事件に終止符がうたれた…という報道のはずです。
(私は興奮してしまい、その周りにいた友人に説明しつつ、キャスターの話がよく 聞き取れませんでした。 短いニュースでした。) 
そこに もう ‘家’ はありません。  それを期に 取り壊されたようです。
  長い間そこにあったのは、「‘現場の証拠保存’のため 」 だったそうです。
1つだけ、そうであってほしくない事があります… それは、私達が忍び込む際を、犯人の 行動とだぶらせた時−現場が 事件当時のままに、完全に残されていたのだとしたら…
‘勝手口の割られたガラス’ は犯人が割った時のものだったのでしょうか…
そこから 同じように手を入れてしまったのでしょうか…

確かめる手立ては もうどこにもありません。