泣き声
東京都在住のすなさん提供
場所は宮城県の実家にて

実家のあるマンションで、15年ほど前に私が体験した話です。
夏休みで、千葉か ら従妹3人が遊びに来たときのことです。
夜、従妹たちは居間に寝ることになりました。3人 兄弟の一番上である私は、従妹たちと一緒に寝ることにしました。弟と妹も一緒に寝たいと言っ たのですが、居間は広くないので誰かは別のところで寝るしかなく、私は強引に弟と妹を少し離 れた子供部屋に追いやってしまいました。 真夜中…何時頃かは記憶にありません。誰かの泣き声 で私は目を覚ましました。どこからか、かすかに人の泣き声がします。 「きっと弟か妹が寂しく なって泣いているんだ…」 罪悪感を感じた私は、謝ろうと子供部屋に向いました。
ドアを開 けてみました。 ところが、薄暗い部屋の中で、弟と妹は静かに眠っているのです。「気のせいか な?」と私は居間に戻って布団にもぐり込みました。しかし、布団の中でじっとしていると、や はり誰かの泣き声がするのです。
耳を澄ましていると、それは2人分の泣き声のように聞こえ ました。「えーんえーん」と声を上げる泣き声、そして「しくしく…」とすすり上げるような声。
「やっぱり、弟か妹、どっちかが泣いているんだ。もう一人は相手が泣き止まないので困っ ているんだろう。さっきは私が急に部屋のドアを開けたから、眠っているふりをしたんだろう」 私はもう一度子供部屋に向いました。ドアを開けるとやはり泣き声は聞こえません。そっと弟と 妹に近づき、頬に触れてみました。乾いています。
「??? 泣いていたのはべつの人なの かな?」 居間に戻り、布団にもぐり込みました。しかし、私が落ちつくのを待っていたかのよう に、また泣き声が聞こえてくるのです!! 明らかに近いところから聞こえてきた、そんな記憶が あります。恐さにいたたまれなくなり、私はぐっすり眠り込んでいる従妹たちを尻目に親の寝室 に飛び込み、母親の布団にもぐりこみました。そして母にぴったり寄り添って身を硬くしている うち、いつしか眠ってしまいました…。

翌日、従妹たちが帰っていった後、飼っていた2匹の カブトムシのうち1匹が死んでいました。
私が遭遇した件と関係があるのかどうかはわかりま せんが…。

その他にも、このマンションでは、子供部屋の窓の外にある住民共用の廊下の、 あるポイントから近づきも遠ざかりもしない不審な足音を真夜中に私が聞いたり(私が目をつぶ っていると足音がするのに、目を開けた途端足音は止まるのです)、夜寝室で眠っていた母が枕 元に立っている鎧兜姿の武士や、遊んでいる子供を目撃しています。
特にこの土地にまつわ る曰くを聞いたことはないのですが…。

私は10年ほど前に実家を出て一人暮しを始めまし たが、実家はまだこの場所にあります。年に何回かは実家に帰省しますが、いまは特に不審な出来 事はないようです。

ある日突然自分の家の中に霊道が出現する場合があります。
霊道とは、読んで字のごとく「霊の通る道」です。
人間も「寄り道」をする場合がありますが、霊道を通っている霊もたまに霊道から外れて寄り道をする 場合がありますが、浮遊霊なので定着する事はありません。
また、ある日突然出現する霊道はあちこちに移動をする場合が多く、どこかへ移動してしまったのかな?