海外の鉄道もの

シカゴの市内電車 CTA


シカゴの市内や郊外を、シカゴの市営交通「CTA」というのがくまなく張り巡らされている。

CTAは電車とバスからなっており、このうち電車路線の2つはシカゴの繁華街に入ると地下鉄になる。逆に言えばシカゴの地下鉄はこの2路線だけ、しかも市街地以外の大部分の区間は地上(しかも高架が多い)を走っているのである。


シカゴ・オヘア空港に着陸し、
荷物を受け取ると、さっそくシカゴ市内へ向かう。市内への一番安い交通機関といえばCTAの電車である。
シカゴには足かけ3日間滞在するので、3日用の乗り放題券を買うことにする。改札口の前には、切符の自販機がある。地下鉄に限らずシカゴ市営交通の切符は共通で、プリペイドタイプの「トランジット・カード」と、乗り放題タイプの「ビジター・パス」の2種類。1回券に相当するものはない。



トランジット・カード用販売機。
この他にビジター・パス用販売機もある。
 

自販機はそれぞれの種類別にあり、紛らわしいことにトランジット・カード販売機は硬貨専用、ビジター・パス販売機はお札専用であった。よく見ていなかったため両替機で硬貨に両替してしまい、そのあとやってきた係員に「これではビジター・パスは買えないよ」と言われる。「あそこの角を曲がったところにある両替所なら硬貨でも買えるよ」とその係員に言われ、結局その両替所でビジター・パスを手に入れる。どちらの種類のカードも厚紙製で、磁気のラインが入っている。



ビジター・パス(乗り放題券)
これは3日用
 



こちらはトランジットカード(プリペイド)

どちらも裏面は英文で説明が書いてあるだけ。
 

改札は見た目ニューヨークと同じような形の自動改札。ただしこちらではカードを投入して、しばらくするとすぐとなりの溝からカードが出てくるタイプで、いったん歩きが止まってしまう。

ホームへ行く。空港駅はブルーラインの終点なので折り返し電車が発車を待っている。後でわかるのだが、路線のカーブがきついので車両が短い。ほとんどの車両が簡易的なクロスシート車である。電車はすべてワンマン車内放送はテープである。本当にてきとうだったニューヨーク地下鉄のアナウンスに比べると、言うことは決まっているし、わかりやすい英語であった。

ちなみに、ニューヨークとは違い時刻表というものはある。ただし何度も乗ってみてわかるのだが、精度的にはバスと同じ。つまり、ちゃんと時刻表どおりなのは始発駅だけで、あとはだいたいあってるかなあ、という程度あった。

そのブルーラインの電車に乗ってシカゴの市内へ向かう。

出発すると地上に出て、空港から市内へ向かう高速道路の上下線に挟まれたところをしばらく走る。周辺はシカゴ郊外の住宅地が続いている。20分ほど走ると地下にもぐる。しかし2駅ほどで再び地上に出て、高架区間になる。このあたりは駅のホームも枕木もすべて木製で、建ち並んでいる家々をかすめるように走る。景色を眺めているのが非常に楽しい。

市の中心部に入ると地下鉄になる。空港から40分、Clark/Lake という駅で降りる。シカゴ市内の駅名はほとんどが通りの名前で、この駅は Clark通りと Lake通りの交差点、という意味である。

シカゴの中心部は「ループ」と呼ばれる地区で、ここがどちらかというとオフィス街なのに対して、シカゴ川を挟んで北側が「リバー・ノース」と呼ばれる主にショッピング街である。

地区の名前「ループ」の語源は簡単で、この地区の中をループ状に高架電車が走っているからである。CTAの路線のうち、市内に乗り入れてくる路線は6つあるが、そのうち4つの路線がループに乗り入れ、残る2つの路線は地下鉄となっている。ただし、シカゴでは高架電車と地下鉄の区別があいまいで、例えば高架電車のブラウン、パープル両ラインと、地下鉄のレッドラインは、市の北側で合流して同一線路上を走ったりする。使われている車両も同じようなものである。



地下鉄の駅
 



ループ(地上電車)の駅
 

ホテルにチェックインした後、とりあえずこの「ループ」を1周してみることにした。ループの下はふつうの道路で、そこに古い鉄骨の高架鉄道が覆いかぶさっている。そしてホームは木製、枕木も木製。地図で見ると碁盤の目のようになった街の中を真四角に通っているため、その4つの角の部分はものすごいカーブである。



角の部分
 

その車窓からシカゴの街を眺めていたが、ループ地区は高いビルが建ち並び、景色はあまりよく見えなかった。

ループを1周したあと、シカゴに来た目的のひとつであるコミスキー・パークへ向かう。

地下鉄レッドラインの Lake駅から南方面行きに乗る。この Lake駅はループ地区の一番北の駅で、そこから3つめの駅まではループ地区内にあるのだが、Lake駅を含めたこれら4つの駅はホームが連続していた。おもしろいというか、ムダというか、妙な構造であった。

 

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