海外の鉄道もの

京釜線セマウル号第1列車


  

いずれも釜山駅にて
 

4回目となる訪韓の時、いくつかの長距離列車に乗った。そのうちのひとつが、看板列車の京釜(キョンプ)線を走るセマウル号である。
韓国国鉄のダイヤは、急行列車に相当する「ムグンファ号」が主体になっている。そして、大きな都市の間には、特急列車に相当する「セマウル号」が走っているが、ムグンファ号に比べれば本数は少なく、1日数往復のところが多い。

ソウル−釜山という韓国の2大都市を結んでいる幹線の京釜線(日本でいえば東海道線のような存在)においては、そのセマウル号もさすがに30分〜1時間くらいの間隔で走っている。
また、韓国の長距離列車がほとんど機関車牽引の客車列車である中で、京釜線を走るセマウル号はディーゼルカーが使われている。

私が乗るのは、その数あるセマウル号の中でもソウル発釜山行きのエースナンバー第1列車。
ソウル駅を朝8時に発車し、途中大田(テジョン)と東大邱(トンテグ)にのみ停まり、釜山までの所要時間も一番短い4時間10分(ソウル〜釜山間は444.3kmで、表定速度106.6km/hになる)である。

 



ソウル駅です
 

ソウルを訪れるたびにやって来るソウル駅であるが、ここから列車に乗ったのは昨夏近距離鈍行のトンイル号に乗った1回のみである。
一方、今回は一転して大幹線の京釜(キョンプ)線を走る特急のセマウル号に乗る。そもそも、韓国の鉄道で鈍行以外に乗るのも初めてなら、指定席車に乗るのも初めてである。
その切符は乗車の2日前、韓国到着した日に駅の窓口で手に入れておいた。



韓国に到着した日に買っておいたセマウル号第1列車の切符です
ちょっとインクが薄くて読みにくいんですが…
×0.65ぐらいに縮尺してます
 

ソウル駅でも改札口はホームごとに分かれている。そのうちの5,6番線が京釜線の列車が出るホームで、私が乗る列車も6番線発である。
私が着いた時点では、この改札口に長い列ができていた。

7:45、改札が開き、ホームに降りる。



ソウル駅5,6番ホーム用改札口
 

今日のセマウル号第1列車は、ディーゼルカーの8両編成。この8両が1ユニットになっていて、16両編成のときもあるらしい。ディーゼルカーとは言っても、動力がついているのは両端の車両だけで、それ以外の車両は静かである。



セマウル号 ソウル→釜山の行先標
 

この際だからグリーン車に相当する「特室」に乗ってみたかったが、この列車には普通車に相当する「一般室」しか連結されていない。
指定された7号車に行く。「一般室」ではあっても、車内の装備は日本のグリーン車とほぼ同じで、かなりゆったりしている。この分だと「特室」はどんな感じなんだろうと余計興味が湧いた。



一般室の車内
これも釜山到着後に撮影
 

先にも述べたように日本でいえば東京と大阪を結ぶ東海道新幹線のような路線を走る列車なので、火曜日の朝と言うこともあってさぞかしビジネス客ばかりというのを想像していたが、意外と旅行客も多い。私の乗った7号車にはおばちゃんのグループもいて、観光地に向かう在来線特急のような雰囲気である。
だがさすがに出発時刻が近づくと、ほぼ満席になった。

 

8時ちょうど、ソウル駅を出発。このさき水原(スウォン)までは近郊電車が並行して走っているのだが、この京釜線は全線非電化。よってこの列車もディーゼルカーなのだが、先ほども述べたように動力車が両端の車両のみなので、それ以外(私の乗った7号車含む)はまるで電車に乗っているような走り心地である。

車内にはプロジェクターがあって、路線図やこの列車の到着時刻などを映像で表示している。まるで飛行機のようである。
車内放送の案内はテープで3ヶ国語流れるというふうに聞いていたが、なぜか車掌がマイクで放送するのみであった。

列車は漢江を長い鉄橋で越え、しばらくの間はソウル近郊の市街地の中を走る。これと並行している近郊電車には何回か乗ったことがあるので、見覚えのある景色である。



水原まで並行して走る近郊電車
 

8:27、水原(スウォン)通過。近郊電車の区間は今のところここまで。ここまで各駅停車の近郊電車だと1時間以上かかるのに、さすがは特急列車である。

水原からは町から抜け、田畑が多くなった。近郊電車が途中まで延伸工事をしていた。
さてソウルから大田あたりまでの区間は、ソウルから南方向に行く列車のほとんどが通るので、セマウル号とムグンファ号だけであわせて5分間隔ぐらいの過密ダイヤになっている。そのせいかこのセマウル号もつっかえて徐行することがあり、なんとなく遅れ気味の気配である。



ソウル〜釜山間では現在新幹線の工事を行っています。
その工事中とおぼしき構造物
 

9:37、最初の停車駅・大田(テジョン)着。やはり6分遅れていた。乗り降りがそれなりにある。私のとなりのビジネスマン氏も降りていき、代わりに別のビジネスマン氏が乗ってきて座った。

大田を出発すると、車内の探訪に出かけてみた。
楽しみにしていたのは食堂車であったが、この列車には食堂車がなくて、そのかわり4号車がロッテリアになっていた。話によると最近このような車両が出てきたとのこと。今日の昼食は食堂車で韓定食でも食べようと思っていたがあてが外れる。でもしっかりコーヒーをたのんで飲食コーナーで景色を楽しんでいた。



4号車のロッテリア車
 

その後列車の最後尾まで行ってみたが、一部を除いてほぼ満席であった。さすがは看板列車である。

大田から先はやや起伏に富んだ景色である。このあたりからとうとう雨が降ってきた。

11:11、9分遅れで東大邱(トンテグ)着。ひとつ手前の大邱駅ではなくこちらの方がターミナル駅である。となりのホームに停まっていたムグンファが先に発車していき、こちらは4分停まって11:15発車。この時点で11分遅れ。

この先も低い峠があったかと思うと田畑の中を走ったりする。11時半過ぎ、またロッテリア車へ行った。プルコギバーガーセットを注文し、これで昼食とする。ゆったりとした客車の座席であっても、満席だとやや息苦しいところがあり、この車両の方がよほどゆっくりできるので、以後釜山に到着する直前までこの車両の飲食コーナーにいて景色を眺めた。

釜山の手前20分くらいは、右手に太い川が流れ雄大な景色となる。その区間を過ぎると、釜山の市街地に入っていった。
釜山に着くときの案内放送だけ、なぜかテープで韓国語、英語、日本語の3カ国語であった。

12:23、大雨の終点釜山着。結局13分遅れであった。今日に限って遅れたのか、もともとダイヤにムリがあるのかはわからない。

 

釜山に到着

 

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