海外の鉄道もの

チュニスの路面電車とTGM

チュニジアの首都・チュニス市内の公共機関としてはメトロと呼ばれる路面電車と黄色い路線バスがある。このうち我々外国の旅行者が気軽に利用できるのがメトロである。
また、チュニスの北西方向の郊外・カルタゴ地区には、市内からTGMと呼ばれる郊外電車が走っている。
チュニスを訪れた際、この両方を利用してみた。

 

チュニスの路面電車は3両のユニットを2つつないで6両で走っていることがほとんどで、そんなのが町の中を走っているのを見ると最初は面食らう。



踏切ではありません。路面電車が交差点を通過しているところです。
 

路面電車の乗り場は、雰囲気としては屋根のあるバス停のような感じで、電車の止まる部分に黄色い線が引いてある。切符はその端にある切符売場のブースで買う。このブースは必ず有人である。
そして乗る前に、そのブースの近くにある刻印機で刻印してから電車に乗る。



路面電車の乗り場
黄色い線が引かれているところに停まる。

 

泊まったホテル近くの乗り場から、TGMに乗るべく、その始発駅・マリン駅までの切符を買う。均一料金ではなく距離制のようで、マリン駅まで0.28ディナール(約25円)であった。たぶんこれは初乗り料金だと思われる。



これが路面電車の切符(ほぼ実物大)
何が書いてあるのかさっぱり…(^^;)
 

市の郊外方向からやって来る路面電車は、国鉄の中央駅前行きかマリン駅行きのどちらかとなっていて、このうちマリン行きの電車に乗る。マリン駅は市街地を行き過ぎたところにあるので、最初のうちは混んでいた電車も、やがてすいてしまった。
終点マリン駅は、他の乗り場と違いちゃんとしたホームがあり、駅舎と改札口もある。

 

マリン駅で路面電車と接続しているのが、カルタゴに向かう郊外電車のTGMである。路面電車の改札口を出るとすぐ向かいにTGMの駅舎がある。

TGMには1等車と2等車がある。最初はためしに1等車に乗ってみることにし、切符を買う。



1等車の切符
やっぱり1等車であるということ以外何もわかりません(^^;)
 

電車は2両編成で、後ろ寄りの車両の半分だけが1等車。1等車といっても、座席にラバーが貼ってある程度(2等車は板張り)で、4人掛けの座席であることには変わらない。
1等車は入口に「1」と小さく表示しているだけなので知らない客がぞろぞろ乗ってきてかなり混んでくるが、発車前に係員がやって来て切符のチェックを始め、半分くらい降りていった。
それにしても、さっきの路面電車といいTGMといい、冷房率ゼロ。1等車には扇風機も付いているけど、やっぱり暑い。



TGMの電車
 

なおホームにあった時刻表によれば、昼間の時間帯は12分間隔で走っているようだ。

マリン駅を発車すると、TGMと路面電車の車庫の横を抜けたあと、視界が開ける。チュニスの市街地とカルタゴ地区の間にチュニス湖という大きな湖があり、その真ん中を突っ切るようにひょろ長く砂州のようなものが貫くという珍しい地形で、そこに線路が敷かれている。よって車窓の両側が一面湖、という景色が延々10分くらい続く。



両側の車窓にこういう景色が広がります
 

その景色がようやく終わると、カルタゴの町の中に入る。



カルタゴ内走行中
 

カルタゴには見どころが多く、何度か途中下車した。カルタゴ地区の中にある駅は無人駅が多く、電車もワンマンなので、運賃を払うシステムができていない。しかし駅員のいる駅もいくつかあって、そこではしっかり切符を買わなければならず、不公平だなあという気もする。



途中駅で降りる乗客たち
 この駅も無人駅
 

カルタゴ内の乗車は、2等車を利用した。座席が板張りになっていた以外は、あまり雰囲気は変わらない(ただし混んでいる)。



しつこく載せますが、こちらが2等車の切符です
 

始発駅マリン駅からだいたい30分くらいで終点のラ・マルサ駅である。観光地化されたような感もあるカルタゴの中にあって、ここは特に見どころもないごくふつうの町であった。

 

目次に戻る