D 9月28日(木)
 

シカゴ・リグレーフィールド
カブス
 2−4 フィリーズ  観衆 ; 22,916人(収容人員 ; 38,765人)


今回の観戦旅行の最後を飾るのは、シカゴ・カブスの本拠地リグレーフィールド。球場周辺住民との取り決めで年間最大27試合までしかナイトゲームができず、残りの試合は曜日に関係なくデーゲームという球場。今日も普通の木曜日だけどもちろんデーゲーム。

であるから、お昼には球場に向かわなければならないのだが、せっかくシカゴに来たので、それまでループ地区の摩天楼の中を散歩した。世界で2番目に高いビルというシアーズタワーや、ニュースとかで見るそのまんまの光景の商品先物取引所なども見学し、昼前に球場に向かう。

昨日のコミスキーパークに対して、リグレーフィールドは市街地の北側にある。最寄り駅は同じく地下鉄レッドラインのAddison St.駅。両球場は1本の地下鉄で25分くらいの距離なのである。
ただこちらの場合、長いこと地下を走るレッドラインより、ループ地区からひたすら高架を走るブラウンラインに乗り、Belmont駅でレッドラインに乗り換える(同じホームでの乗り換えなので簡単)方が、ずっとシカゴの町並みを眺められて楽しい(私はこのルートで行った)。




地下鉄(と言ってもこちらも高架駅になっています)の駅から見える
リグレーフィールド
 

すでに高架区間となっている駅のホームから、球場が見える。駅を出て、1ブロック行くとリグレーフィールド丸見えのビルが建ち並ぶ通りがあり、その先から球場。なるほど、写真とかでよく見るこのビル群は、こういう位置関係だったのね。すぐ裏側が駅なのである。



写真の左側に低いレフトスタンドがありまして、右側のビルの屋上から球場が丸見え。
屋上にはちゃっかり観客席ができています。これがシカゴの名物になっています。
このビルの裏側に駅があります。
 

そしてすぐ目に付くのが名物アナウンサーだった故ハリー・ケリーの銅像。さらにずーっと進むとホームベース裏の正面玄関である。リグレーフィールドの赤い看板もここにある。



リグレーフィールドの正面
 

同じシカゴのチームながら、地区優勝したホワイトソックスに対して、カブスは今年もナ・リーグ中地区最下位を突っ走っている。それどころか、MLB30球団の中で一番勝率が低い。しかも相手は勝率29位(ビリから2番目)のフィリーズ。さらには木曜日のデーゲームなのに、ゾクゾクとファンが集まってくる。さすが人気チーム。
でも仕事とか学校とかどうしているのか? まあいいか。会社休んで日本から遠路はるばるメジャーリーグ見に来ている人間が他人様のことを言えない。



この日のチケット
 

私の席はバックネット裏よりちょっと3塁寄りの前から10列目くらいでけっこういい席。カブスも本拠地リグレーフィールドでは3塁側ベンチである。



古き良きアメリカのボールパークという感じです。
 

蔦が絡まる外野フェンス。バックスクリーンなんか低い木が生い茂っている。その上方にある古式ゆかしいスコアーボード。この球場を含め8球場分のスコアーが同じ大きさで表示されていて、いちおうこの球場の部分だけ赤い線が引いてある。ホームベースの後ろの壁はレンガ。ラバーを張らなくていいんだっけ。そして、外野スタンドの外側にあるビルの屋上に群がる人たち。ホントに丸見え。
こういう球場内の雰囲気はまさにアメリカ。日本では間違っても味わえない。



ブリチャー・シート(狭い外野席)と古式ゆかしいスコアボード。
外野フェンスには蔦が絡まっていまして、
「蔦にボールが隠れると2塁打」というローカルルールがあります。
 


今日はアメリカ滞在中一番いい天気。快晴のデーゲームなんて最高の気分である。ところが外野席を除けばスタンドはほとんど日陰で、日陰にいると寒い。気温を計ったら、なんと13度しかない。

先発メンバーの発表。3番のソーサより、4番のグレースの方がよっぽど歓声が大きい。カブスでだいぶ長いこと主軸を打ってるバッターだからね、何となくわかる。でも全体とすれば比較的静かなメンバー発表であった。

国歌の斉唱は場内アナウンサーがわざわざグラウンドに出てきてアカペラで熱唱する。どうでもいいけどめちゃくちゃ歌がうまい。


試合開始。だいたい毎回ランナーが出る。が、ほとんど点にならない。さすが下位に低迷しているチーム同士の対戦である。
特にカブスは、1アウト満塁のチャンスに1点しかとれなかったり、3番ソーサがヒットで出塁しても4番グレースがダブルプレーに倒れたりと、ちぐはぐな攻めを見せ、フィリーズに有利な展開となった。



試合中の様子。
非常に天気が良くて、見ていて気持ちがいいのでした。
 

そしてやってきた7回の裏。ここまで、セブンス・イニング・ストレッチのことはあまり書かなかったけれど、それはどこの球場も思ったほど盛り上がらなかったせいもある。
ところがこの球場は違った。実はセブンス・イニング・ストレッチが発祥したのはこの球場であり、さすがである。
かつてはハリー・ケリーのダミ声に合わせて歌うのが恒例だったらしいが、今日はスタジャンを着た10人ぐらいのグループがグラウンドに出てきて、「準備はいいですかー、1,2,3,ハイッ」の号令とともに場内大合唱。特に最後の「for it's 1,2,3 strikes you're out…」のところは多くの人が指を突き上げ、それは壮観な眺めであった。その場に居合わせただけで、「来た甲斐があった」と思った。今回の観戦旅行の中で特に印象に残ったことのひとつである。



スタンドの様子。
他の球場に比べても、目の肥えた客が多いなあという印象でした。
 

9回の裏にまたチャンスが巡ってきて1点とったが(ちなみにこのチャンスメイクをしたのが現在ホークスにいるズレータである)、時すでに遅しでカブスは今シーズンの本拠地最終戦を飾れなかった。

今日は球場の閉門間際までスタンドに居残り、余韻を楽しんでいた。
球場の外に出てもまだ夕方4時半。球場の周りに何軒もある飲み屋さんでは、まだ日も高いこんな時間から、観戦帰りの人たちで大賑わいなのであった。

 

 

ということで気が付けばあっという間に終わってしまった。移動付き、よせばいいのに観光付きの特に後半の4日間連続観戦は結構体力的にきついものがあったけど、選手達はこれを年間162回も繰り返しているわけで、こりゃあ相当タフでないと勤まらないと強く感じた。

考えてみれば、今回は初戦のレッドソックス以外、本拠地チームがすべて負けたことになる。勝ったときの盛り上がりがあまり体験できなかったことが、心残りといえば心残りである。

それにしても、球場内外の雰囲気はどこも個性があり、すばらしいものであった。メジャーリーグを見に行ったつもりだけど、それよりむしろ素顔のアメリカを見たような気がした。こいつを1度体験してしまうと病みつきになる。機会があればまた訪れたいものである。機会がなくてもムリヤリ作るかもね。

 

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