食材としてのUFO

馬場秀和


 本稿は、2005年2月13日、茨城県立市民文化センターにて開催された『地球外の珍味 〜未確認飛行物産展〜』会場におけるシンポジウム基調講演を、関係者の承諾を得て採録したものです。


 どうも、ただいまご紹介にあずかりました、馬場秀和です。(会場、拍手)

 今日は、UFOの正体は何かとか、宇宙人は何をしに地球に来てるのかとか、そんなこたどうでもいいじゃないか、とりあえず食ってみよう、ということを言うためだけに、こうして壇上にひっぱり挙げられたわけですが。(会場、笑い)

 なるべく短く切り上げます。皆さんも早く物産展、というか、はっきり言えば試食会の方に回りたいでしょう。

 まず言っておきたいのは、UFOや宇宙人を食べるのは決して後ろめたいことじゃないし、ましてや犯罪じゃない、ということです。むしろ人間としての自然な行いであり、大げさに言うなら、食を追求するための文化的活動だと言ってもいいんじゃないでしょうか。(会場、拍手)

 えー、会場にお集まりの方で、いがらしみきおさんの傑作動物漫画『ぼのぼの』最新刊、えっと26巻だったかな、それにUFOを目撃した動物達が基地を探しに出かける話が載ってるのをご存じの方、いらっしゃいますか? 手を挙げて下さい。あ、結構いますね。はい、どうも。

 あの話で、ぼのぼの達は、ぼのぼのってのはラッコなんですが、「もし、あれが・・・食べ物だったら?」という動機で動きます。まさに、これこそ生き物としての原点だと思うんですよ。命あるものの原点、それは「食えるのか?」「うまいのか?」ということに尽きるでしょう。ええ。

 どうも、宇宙人を見たとか、話したとか、セックスしたとかいう話はOKなのに、食べた、という証言はなぜか黙殺されるんですね。

 いい例が四国の介良事件。あれ、例の小型UFOを捕獲した少年たちは、中身、っていうのかな、具ですね、UFOの具を食べてるんですよ。当時の地元新聞にちゃんと載ってます。細かい穴から醤油を入れたら、底面がパカッって開いたので、素早く中身をスプーンですくって食べてみた、と証言してます。こう、ウニみたいだったそうです。

 最初に「少年マガジン」でこの事件が紹介されたときも、はっきりそう書かれてたんです。ところが、今ではどのUFO本を読んでも、この証言はなかったことにされてます。要するに食べた話はタブーなんです。隠蔽されてます。どこかの国みたいに政府や軍が検閲するならともかく、いやそれもいけませんが、とにかくUFO業界が自主規制するというのはおかしいんじゃないですか。いや、まあ、ここはそういうことを熱く語る場じゃないので、この辺にしておきますが。(会場、笑い)

 UFOじゃなくて宇宙人を食ったという事例になると、日本では呼び出したUFO搭乗者を捕まえてすり身にして食べたという『ベントラかまぼこ事件』くらいしかありませんが、海外だとこれが結構あるんです。1971年、米国で起こった『ダップル・グレイ・レーン事件』では、巨大な脳味噌に遭遇した青年が、気がつくと無我夢中で襲いかかって食べてしまっていたと証言しています。

 それから、これは1958年なんですが、スウェーデンの『ドメステン事件』。この事件では、巨大アメーバというかスライムというか、そういう姿の宇宙人に目撃者が食われそうになっています。まあ結果的には地球人の勝ちで、二人がかりで相手を押さえ込んで食いちぎって消化してしまったそうですが。

 これなんて弱肉強食というか、どちらが食物連鎖の上位にいるか見せてやる、というか、とにかく宇宙においても、食べる/食べられるという関係が全ての基本であることが良く分かります。

 そういうわけで、早くタブーがなくなって、アダムスキー型より葉巻型の方が脂がのって美味いとか、プレアデス星人は活け造りに限るとか、日清がやきそばUFOを出したとか、そういう話題が平気で出来る時代になってほしいとつくづく思います。というか、やきそばUFOは出てます。(会場、笑い)

 そんなところで、そろそろ終わります。皆さん、未確認飛行物産展をお楽しみ下さい。ご静聴ありがとうございました。(会場、拍手)

2005年2月13日、茨城県立市民文化センター大ホール



超常同人誌『Spファイル』1号に掲載(2005年8月)
馬場秀和


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