CMのクラシック

山崎製パン サンロイヤルブレット (パッヘルベル作曲 「カノン ニ長調」) 2002年1月掲載
 真っ白い広い部屋の中に置かれたピアノ。そのピアノを松たかこさんが弾いています。別に彼女のファンと言う訳ではありませんが,いい雰囲気ですねえ。私の娘(長女M)もピアノ習っているんですが,あんな感じで弾いてもらいたいものなんですが,まあ無理でしょうね。さてここで彼女が弾いているのが,あのバロックの名曲「パッヘルベルのカノン」です。

 パッヘルベルと言う人の作品はこの曲しか知らないんですが,1953年生まれのオルガニストです。さて,カノンと言うのは判り易く言えば輪唱の事です。このCFではピアノですが,本来は三つのヴァイオリンの為の曲で,室内管弦楽で演奏される事が多いですね。主題となるメロディをヴァイオリンが追いかけ合う様に演奏されていきます。とっても綺麗な曲です。私は知らないんですが,「夫婦」と言うフランス映画で使われたらしいのですが,その為か結婚式などで演奏される事が多い曲です。CDはイ.ムジチ合奏団のも持っていますが,この曲に関してはイタリア合奏団(1988年録音)の演奏が好きです。

 

トヨタ クラウン アスリート (バッハ作曲 「無伴奏チェロ組曲 第一番 前奏曲」) 2001年11月掲載

 サーキットを駆け抜けるクラウン。気持ち良さそうですね。その映像にアメリカンフットボールやバスケットボールの映像がかぶってきます。そして,「もう一つのクラウン。新アスリート誕生」。そのバックに流れる軽快なピアノトリオの演奏。

 最初このCFを見た時に,「あれっ,この曲何だったっけ」。良く知っている曲なのに題名が出て来ませんでした。ジャズはあまり聴いていないのですが,ジャズの曲じゃないよなあ,と思っていたのですが。何とバッハの無伴奏チェロじゃないですか。一本のチェロで作り上げられた独創的な音楽です。名曲と言うものは,どんなアレンジで演奏されても,いいものですねえ。演奏しているのはフランスのジャズ.ミュージシャンであるジャック.ルーシュ.トリオの演奏だそうです。私は良く知らないのですが,バッハの演奏で有名なんだそうです。クラシックの方ではヨーヨー.マのCDを聴いております。何年か前にロストロボーヴィッチさんの演奏で5番を聴いたのですが,私は5番の方が好き。ちなみにジャズ.ベーシストのロン.カーターが無伴奏チェロを弾いているCDを持っているんですが,こちらもお気に入りの1枚です。

 

日清カップヌードル (サラサーテ作曲 「ツィゴイネルワイゼン」) 2001年10月掲載。

 サッカーのフランス代表MFジダンがロッカールームで頭を抱えています。「ワールドカップのチケットが手に入らない!。俺はジダンなのに...」。以前やっていたヤカンをヘディングでゴール決めるCFよりはいいですね。だってあれ,他人事ながら髪の毛心配になりますもん。

 さてCFの最後にこの曲の出だしの部分が流れます。一度聴いたら忘れられないメロディですね。スペインのヴァイオリニストでもあるサラサーテが作曲した「ツィゴイネルワイゼン」と言う曲です。私はヴァイオリン弾けませんが,いかにも弾くのが難しそうな曲ですね。悲愴,情熱,愁いなどに満ち溢れた魅力的な作品です。ちなみに妻Mは,この曲とメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲をいつも間違えます。さていかにも名人芸が要求されるこの曲ですが,私はハイフェッツの演奏で楽しんでいます。

 

NOVA (リヒャルト.シュトラウス作曲 交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』 作品30) 2001年9月掲載
 駅前留学のNOVAが24時間化するそうです。宇宙を背景に何か宇宙船の様な物が着陸する場面が映し出されます。英語と宇宙がどのように繋がるのかは判りませんが,宇宙とこの曲の繋がりは直ぐに判ります。スタンリー.キューブリック監督が1968年に発表した映画「2001年宇宙の旅」の冒頭に使用された曲だからです。人類の夜明けを象徴するような,トランペットによるファンファーレが印象的ですよね。知らない人からすると,この曲がクラシックだなんて信じられないでしょうね。この曲は,哲学者ニーチェの同名の著書をモチーフにして書かれた物です。まあ哲学に関してはチンプンカンプンなので,こちらの話題は止めましょう。カラヤンで聴いているんですが,豊麗なオーケストラの演奏が満喫できます。ショルティやメータあたりでも聴いてみたい曲です。

 

日清カップヌードル (ドヴォルザーク作曲 「交響曲第9番 ホ短調 作品95 『新世界より』」 2001年 2月掲載

 ゴルフ場でゴルフをしています。と言えば当り前ですが,ボールがちょっと変なんです。そう,ヤカンをボール替りにしてプレーしているんです。そのヤカンも,ラグビーの試合に出てくる魔法のヤカンみたいな大きなものです。そしてヤカンの口の部分が見事にカップイン。

 チェコ出身のドヴォルザークがアメリカに渡り,新世界と言う名の曲を作った訳ですが,この曲からはアメリカ的な部分って全く感じられません。ボヘミアそのものに思えるのですが。まあそれはいいとして,とっても有名な曲ですね。とは言っても,このCFで演奏されるのは第4楽章で,有名なのは第2楽章です。子供の頃キャンプファイアーだとかで唄った事があるって言う人も多いんじゃないでしょうか。「♪遠き山に陽は落ちて〜」と言うあの曲が第2楽章です。何かこの第4楽章って派手なだけと言う感じがしないでも無いですね。さてCDは,実は安易にカラヤンのものしか持っていないんですよね。ノイマン&チェコフィルか,バーンスタイン&ニューヨークフィルあたりで聴いてみたいと思っています。

 

三菱自動車 グランディス (ベートーヴェン作曲 「ピアノソナタ第8番 ハ短調 作品13 『悲愴』」 2001年 1月掲載

 「父ちゃん,カッコイイ」じゃなくて,「ビック.ダディ.グランディス」。湖畔でキャンプでしょうか,やたらと綺麗なところですね。そして帰りは飯島直子さんの運転で。と言った感じのCFです。うーん,うらやましいですね。

 ピアノ音楽についてバッハの平均律クラヴィーアを旧約聖書,ベートーヴェンの32曲のピアノ.ソナタを新約聖書と言うくらい重要な位置を占める曲です。その中でも特に「月光,悲愴,熱情」の3曲が人気が高く,3大ソナタと呼ばれる事も多い様です。ここでもそうですが,この第二楽章はポピュラー風にアレンジして演奏される事も多いですね。ここだけを聴くと,何でこれが「悲愴」何てタイトルだと思うでしょうが,第一楽章を聴くと納得するはずです。さて,ベートーヴェンのピアノ.ソナタの場合,物凄い種類のCDが出ております。もっとも一般的なのはバックハウスの演奏かもしれませんが,悲愴に関しては,私はケンプが好きです。あとブレンデルもいいですね。

 

スタッフサービス (チャイコフスキー作曲 「弦楽セレナード ハ長調 作品48」) 2000年 10月掲載

 いろいろなバージョンがあるみたいですが,私が最初に見たのはこんなCF。上司がOLにお小言を言っていて,「そこに座りなさい。」と言ったら,すかさずOLは上司の膝の上に座ってしまう。そして最後にスタッフサービスの電話番号が...「0120−022−022(オー,ジンジ,オー,ジンジ)」。ここに電話すると,膝の上に座ってくれるOLを派遣してくれるんでしょうか。だったら頼んでみようかナ。

 この曲は,作曲したチャイクフスキー自身が,「モーツァルトに対する尊敬と彼の様式への意識的な模倣を試みた。」と述べているそうです。でも残念ながら私にはモーツァルトっぽくは聞こえません。いかにもチャイコフスキーらしい親しみ易く,またほどよい憂いの感じられる旋律で大好きな曲です。このCMでも使われている出だしの部分はとても印象的なメロディーですね。さてこの曲,何年か前にチェコ.フィルの室内管弦楽団の演奏を聴きに行った事があります。シンプルな編成ながら,弦楽器の音色の素晴らしさに圧倒されました。でもやはりオーケストラで聴きたいですね。CDでは日本が誇る「サイトウ.キネン.オーケストラ」で聴いています。指揮はもちろん小沢征爾。

 

日産自動車 ブル−バ−ド シルフィ (シュ−ベルト作曲 「アヴェ.マリア」) 2000年 9月掲載

 雨の降る森の中に,真っ赤なブル−バ−ド。画面はスローモーションに変り,水玉がクローズアップされます。そのバックに流れる「アーヴェマリーーイーアー」と言う女性の歌声。横に鹿がいたりもします。なかなかスタイルのいい車ですね。ブルーバードと言えば,私が子供の頃にサファリ.ラリー等で活躍していたので,印象的な車なのですが,最近はどうなんでしょう。

 さてリート(歌曲)の名曲です。シューベルトは歌曲の王とも呼ばれ,600曲以上と言われる歌曲を作曲しています。「冬の旅」,「さすらい人」,「美しき水車小屋の乙女」等が有名です。シューベルトは,別に歌曲専門の作曲家と言う訳では無く,「未完成交響曲」やピアノ曲,室内管弦楽曲等様々な分野で名曲を残しています。この曲「アヴェ.マリア」は正式には「エレンの歌第3番」と言い,イギリスの詩人ウォルター.スコットの「湖上の美人」を独訳した歌詞に曲を付けたものです。実はあまりリートは聴かないので,歌い手ではフィッシャー.ディスカウくらいしか知らないんです。でも彼はバリトンの歌手で,この曲はアルトの曲です。持っているCDはクリスター.ルートヴィヒの物です。

 

日清カップヌードル  (ワーグナー作曲 「ワルキューレの騎行」) 2000年 8月掲載

 ジョン.レノンとヨーコ.オノの横で,一人の若い男がカップヌードルを食べているところ。いやー,合成の技術って凄いですね。これ以外にも,ゴルバチョフ元大統領,エルビス.プレスリー版等もあったと思います。

 この曲は,ドイツの作曲家ワーグナーが作った楽劇「ニーベルングの指輪」の中の有名な曲。この楽劇はゲルマン神話を題材にした壮大なスケールだそうです(私は見た事ありません)。この曲は,コッポラの映画「地獄の黙示録」の中でも効果的に使われており,ご存知の方も多いでしょう。私もタンホイザー序曲をはじめワーグナーの曲は好きで,車の運転中に聞いたりするのですが,何かこれから世界征服に向かう様な気分になってしまい,車の運転中は少々危険かも知れません。何と言ってもショルティ指揮のダイナミックな演奏がお勧めです。

 

JCBゴールドカード  (ラベル作曲 「ボレロ」) 2000年 8月掲載

 「まだまだ昇る人へ」と言うコピーで,バーンスタイン最後の弟子として指揮者の佐渡裕が紹介されます。この時彼がオーケストラを指揮しているのが,この曲です。

 ラベルと言う作曲家はフランス人なのですが,スペインに近い地方の生まれだそうで,この曲もスペインの舞曲風の曲です。まあそんな事よりもこの曲の大きな特色と言えば,普通の曲の常識からかなり逸脱しているところでしょう。二つの主旋律を延々と交互に繰り返すのです。こう書いただけだと,聞いてて飽きそうな曲だと思うでしょうが,そこはそこオーケストラの様々な楽器を駆使して見事な作品となっております。各楽器の繊細さ,重厚さをたっぷり味わえる様な,カラヤン指揮で聞いてみてはいかがでしょうか。