CMのクラシック

AQUOS (JSバッハ作曲 G線上のアリア) 2006年11月掲載

 SHARPの液晶テレビAQUOS(アクオス)のCFですが,いくつものバージョンがある様です。最近良く見るのは葛飾北斎をモチーフにしたもので,「世界で初めて時間を止めて見せたのは,北斎の筆でした。」と言うもの。美しい風景や名画で画面の美しさを強調しています。いつも不思議に思うのですが,いくらそのテレビの画像が美しかったとしても,そのCFを見ているのが違うテレビなんじゃ,意味ないんじゃないの。まあそれはともかく,どのCFにも共通しているのが,吉永小百合さんとBGMに流れるこの曲。我が家の古いテレビで見ても,どちらも美しいですね。

 さてこのバッハの有名な曲は,もともとは管弦楽として作曲されました。その後ヴァイオリン独奏用に編曲された際,G線(ヴァイオリンの一番低い弦)一本で弾ける様にした事から,この名前で親しまれる様になりました。ちなみにアリアと言うのは,旋律の美しいゆっくりとした舞曲と言う意味です。この曲は様々なCFで様々な形で使われています。このCFではアカペラ風にアレンジされておりますが,いろいろな演奏を楽しむ事ができます。私が持っているのは,室内管弦楽のイタリア合奏団,オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団,そしてジャック.ルーシュ.トリオによるピアノ.トリオ演奏です。名曲はどんな形で演奏されても名曲ですね。

 

ソニー生命 (ショパン作曲エチュード第3番「別れの曲」) 2005年 5月掲載

 5月21日のサッカー日本代表の試合,キリンカップの日本−ペルー戦をTV観戦していたのですが,退屈な試合内容にも係わらず,印象的な映像がありました。それがこの「ソニー生命」のCM。子供のサッカーの試合に応援に訪れた父親が,「走れ,走れ!」と子供を熱く応援しているCMです。それも父親役は松木安太郎さんじゃありませんか。テレビ朝日で変な解説しているより,ずっとサマになっている様に思えました。

 ここで流れるピアノの曲は,ショパン作曲「エチュード第3番 ホ長調 作品10の3 別れの曲」です。ちょっと映像とミスマッチの様な気もしますが,私の大好きな曲です。「別れの曲」と言うタイトルはショパン自身が付けたものではないそうですが,彼自身「これほど美しい旋律をこれまでの一生に書いたことがない。」と語っていたそうです。冒頭の軽やかな中にも哀愁のこもったメロディが好きです。ここは大家のルービンシュタインあたりで聴いてみたいですね。

 

明治製菓 (ショパン作曲エチュード第12番「革命」) 2005年 1月掲載

 「オープン!」。松本莉緒お嬢様がピアノでショパンを弾いていると,そこに現われたのは先生のおばさま。「あなたがショパンを口にするなんて,百万年早いわよ!」。ウワッ!,夏木マリ,怖エー。と言う事でイマイチ何が言いたいのか判らないCMなんですが,この続きがあるんでしょうか。ここでお嬢様が弾いている曲は,ショパン作曲「エチュード第12番ハ短調“革命”」です。

 エチュードと言うのは練習曲なのですが,練習曲と言ってもピアノのお稽古で弾くバイエルのような曲ではありません。メチャクチャ高度です。私は3番の「別れの曲」が一番好きなのですが,この曲もいいですね。まあショパンの曲はルービンシュタインやホロヴィッツの様な大家の演奏もいいのですが,ここはNHK交響楽団の音楽監督就任祝いとして,アシュケナージのCDをお勧めします。彼の演奏だったら,夏木マリ先生も納得すると思います。

 

セブンイレブン おでん (バッハ作曲 イタリア協奏曲) 2004年11月掲載

 「あっ,変わった。またおいしくなってる!。おでんってこんなにおいしいんだ!。あーっ。」と言いながらお姉さんがおでんを食べているCMです。最後の「あーっ」がいいですね。コンビニでおでんを買った事ないんですが,やっぱりおでんは自分でゆっくり煮込んで食べたいですね。ちなみに大根と玉子が好きです。ここに流れているチェンバロの軽快な曲は,バッハ作曲「イタリア協奏曲」第一楽章冒頭部分です。

 チェンバロの独奏曲なのに,何で協奏曲なの?と言うのが疑問なのですが,いろいろあってここでは省略。チェンバロの2段鍵盤の強弱を活用した,明るく華やかな曲です。私が持っているのはカール.リヒターが演奏しているものですが,CMで使われている演奏に比べると,ちょっと地味目。グルダやグールドがピアノで弾いているCDが在るそうですが,残念ながら聴いた事がありません。