「私の観劇記」TOPに戻る)

<私の観劇記>

「レ・ミゼラブル」
(2004年1月24日 博多座にて)

1月18日の観劇記はこちらへ

出演者 山口祐一郎(ジャン・バルジャン)  今 拓哉(ジャベール)  ANZA(エポニーヌ) 
河野由佳(コゼット) 岡田浩暉(マリウス) 吉野圭吾(アンジョルラス) 駒田 一(テナルディエ)
森公美子(テナルディエの妻) 高橋由美子(ファンテーヌ)
<2度目なので落ちついて・・・>
 先週観た時は、あまりに15年前の懐かしさにひたりすぎて、冷静に楽しむことができなかったので、今回はしっかり、じっくり、落ち着いて観ようと心掛けた。
 また、18日は何やらハプニング?で山口さん途中調子おかしかったので、今日はとにかく「何事もありませんように・・・」とただ祈りながら開演を待った。
<山口バルジャン、やっぱり最高!!>
 他のバルジャンを観ていないのに、こんなに堂々と書いちゃうとまずいのかもしれないが、ファンなので仕方がない(開きなおり)。でも、本当に良かった。良かったのだ・・・。
 今日は、最初っから何か違っていた(あくまでも18日と比べて)。司教さんとのシーンの後の独白からして、何か熱のこもった感じがしていた。隣の「ミュージカル初心者」らしき夫婦が、「ほぅ〜」とため息ついてびっくりしていた。「そうよ、すごいのよ」と自慢したくなった(私が)。
 幼いコゼットを迎えに行って、「おいで!」とバルジャンが声をかけるところ、嬉しそうだったな〜(私も嬉しかったよ)。
 でも、何よりも何よりも、今日私の心がぐいと掴まれてしまったのは「彼を帰して」だった。18日には、マリウスから遠く離れたバリケードに腰掛けたまま、苦痛そうに歌っていたので、今日はどんな風に歌うのか(いつもの山口さんはどんな風に歌っているのか)とても楽しみにしていた。そして、その期待をはるかにはるかに超えた、胸にぐっとくる歌を聞かせてくれた!!!
 なんて素敵なんだろう。どうしてこの人はこんなに心の隅々まで染みわたるような歌い方をするんだろう。p(ピアノ)やpp(ピアニッシモ)くらいの声を、どうしてこんなに優しくあたたかく神々しく(ほんとにそう思えた!)歌えるんだろう。祈りがまるで本当に神まで届きそうなくらいに、心の底から、身体の底から、魂の底から。。。
 聞きながら、涙がぼろぼろこぼれてきた。
 今日はこの歌を聞いた時点で、ただただ感謝だった。山口さんに、博多座に。「10月の『エリザベート』まで待ってるよ〜(^O^)/~」と心の中で叫んだのだった。大満足だった。
<ひそかに好きなシーン>
 どうしてもジャン・バルジャン、いや、山口さんに個人的感情が入り込むため、清らかな気持ちで作品を観ることができない。2回観てこっそりツボにはまったシーンがある。
囚人のバルジャン なぜか「ジーザス・クライスト・スーパースター」を連想してしまう。もちろん、現役時代を見たわけではないのだが。博多座パンフの写真はまさに(笑)!
ファンテーヌの死後の対決 ファンテーヌがベッドで死んでいるというのに、それをはさんでバルジャンとジャベールの対決のシーン。それはないだろ、という感じ。お互い違うメロディーを歌いながら、強弱で対決するのがミュージカルらしくってたまらない。
幼いコゼットを迎えにいくバルジャン 森でコゼットを見付けて、(バ)「な〜まえを〜お〜し〜え〜て〜」(コ)「(♪ラ〜ラララ〜)は〜い〜コ〜ゼ〜ット」の後、(バ)「コゼット!」と嬉しそうに言うバルジャン。いいな〜、山口さんにあんな風に嬉しそうに名前を呼ばれて。
 テナルディエの家を出てから、2人で♪ラ〜ラララ〜ラ〜とハモるところも好き!リトルコゼット、君が羨ましいぞ。天下の山口さんと幾度となくハモレたんだから!!
ワン・デイ・モア 1幕最後に、オール・キャストでそれぞれのメロディを重ね合わせながら歌うところ。山口バルジャンの「♪あした〜は〜」。バルジャン、途中まで「あした〜は〜」しか歌詞ないんだよな〜。でもこの男声にしては高いキーを声高らかに歌っているのがいい!しかも歌いながら、バルジャンとコゼットにとっては大切な、数少ない(ほんとに少ない)荷物をトランクに入れている。大事そうに十字架や銀の食器を眺めたり手に取っている山口バルジャンは、顔が希望に満ち溢れている。あの笑顔がたまらん。コゼットは大きくなっても、昔バルジャンが迎えに来た時にくれた人形を大事に大事に持っているんだね。けなげな親子(仮)だ。
バリケードで バルジャンがジャベールの縛られているロープをほどき、逃がしながら空に向かって鉄砲打ち、さっと角度をかえあたかもジャベを打ったかのように見せるところ。あの仕草がなんとも言えずおちゃめ。(ご、ごめんなさい。こんな見方しかできなくて)
空のテーブル空の椅子 戦いの後一人残ったマリウスが、友の影を追い求めながら一人歌うシーン。背後から死んでしまった友たちがずらっと横並びになってやってくるのだが、再び帰ってから引き下がる時、足音がざっくざっく聞こえるんだわさ。幽霊に足音!そりゃ、生身の人間がやってるからわかってるんだけどさ〜。面白い。
 
<今ジャベール>
 実は、今拓哉さんの舞台は結構見ている。ジャベールは岡幸二郎さんに個人的感情が働いてしまうため、公平に見られないかもと思いつつ、どんなジャベールなのか楽しみにしていた。
 演技は好きだった。「Stars」を歌うところや、自殺するところはかなり私好みでゾクゾクした。味があって、特に自殺するシーンで橋をまたいだ時に笑う狂喜じみたところ!それまでの凛々しい感じと違って、よかった。歌も結構いいなあと思うんだが、やっぱり岡さんの声と外見^_^;に完全に心を奪われてしまったので、次回はまた山口バルジャン&岡ジャベを第一希望にしちゃうだろうなあ。。。ごめんね、今さん。
<ANZAエポニーヌ>
 この人も歌がうまいなあと思った。歌い方がすごく感情入っていて、エポニーヌの心をよく表しているなあと思った。
 けど・・・「オン・マイ・オウン」はもっともっとメロディーをちゃんと聞きたかったなあ。あの切なくてたまんないメロディーを聴きたかった・・・。
<その他いろいろ>
 【河野コゼット】今回も可愛いらしかった(^^)。途中から羨ましくなった。山口バルジャンがコゼットの肩に手をかけるたびに、コゼット頬すりすりしてるんだもん(~_~;)。いいな〜・・・。
 【岡田マリウス】ほんとにいそうな感じの学生さんだ。18日に見た泉見さんが顔立ちがはっきりしていたためか(?)、コゼットと本当に愛し合っているように見えて、今日はちょっと物足りなかったな。何回か見てみないと味がわからないタイプだった。
 【吉野アンジョルラス】2年前42nd Streetでかっこいい人だな〜と初めて知ったのだが、今日もかっこよかった。なんであんなにスリムなんだろう。。。羨ましい。歌はちょっと大変そうだったけど、熱気が伝わってきて良かった。赤い旗振り回している姿が絵になる。背が高くて細くてきゅっとしまっていると、何してもかっこいいな〜。あんな学生いたらモテルよな〜。
 【高橋ファンテーヌ】隣の「ミュージカル初心者夫婦」の夫の方も高橋由美子狙いのようだった。うちの夫と同じだ(-_-メ) ま、確かに昔のかわいい感じとは違った、「オトナの演技」なので男性ファンにはたまらないようだ。ほんと、いたいけな感じでたまらなかった。歌はミュージカルに出るために特訓したんだろうなあ。コゼットの幻覚を見て歌うところは、涙が出てしまう。死に顔(寝顔)もかわいいな。
<レ・ミゼラブルの音楽>
 今までいろんなミュージカルを見てきたが、音楽の美しさにかけてはやはり、この「レ・ミゼラブル」が群を抜いていると思う。すべてのナンバーがそれぞれの心情を表していて、どこまでも美しい旋律であったり、また不協和音をうまく利用して、演技との相乗効果を生み出していたりして。
 私が1番好きな曲は、なんといってもエポニーヌの「オン・マイ・オウン」だ。一人の寂しさと愛の深さをあんなに美しい音楽にできるなんて!このメロディーが生まれたとき、きっとぞくぞく震えがきただろうなあ。
 有名な「民衆の歌」は、楽譜にすると実はとても単純な音のつながりでできている。なのに、あれほど高揚するハーモニーとなるんだなあとつくづく感心してしまう。
 台詞の変わりに歌で心を表現するので、メロディーの使い方などにも工夫が凝らされているんだなあと考えながら、今日は観ていた。いろんな場面で、いろんなメロディーが使われている。それが何度も歌詞を変えて、歌う人が変わって、繰り返されるのだ。だから、観終わってもずっと頭の中で歌が鳴りっぱなしなんだな(笑)。
 私がミュージカルを好きな理由の1つに、それぞれが違ったメロディーを歌いながら、うまくハーモニーを作り、最後には一つの曲となるパターンがあることだ。この「レ・ミゼラブル」はまさにその集大成というのか、台詞がないからそういうシーンが多い!だから嬉しい!!ゾクゾクする!!!
 1幕の終わりの「ワン・デイ・モア」はまさにそれだ。最初は3ペアがそれぞれのメロディーを歌っていたのに、テナルディエ夫妻やら学生やらが加わって大合唱になり、ハーモニーが1つになる!!この瞬間がたまらない。2幕の終わり、バルジャンが亡くなりファンテーヌとエポニーヌの元へと旅立って行く際に、聞こえ始める「民衆の歌」。あの演出は、憎いほどうまい!この15年間「レ・ミゼラブル」といえば、このかすかに聞こえ始める「民衆の歌」の出だしの部分と、バリケードでアンジョルラスが逆さになって死んでしまうシーンばかり思い出していた。
<パンフレットにもあったけど>
 作詞をしたハーバート・クレッツマーさんも書いてらっしゃったけど、大人になってあらためてこの作品を観て、ここに出てくる人って、今この時代でもどこかにいるような気がする。ファンテーヌのように、病気の子どもを人に預けて一人身を粉にして働いていたり、未来や平和を求めて政府と戦う学生たち、もっと身近なのはエポニーヌかもしれない。登場人物それぞれに共感できるから、また見たくなる、会いたくなっちゃんだろうなあ。
<2回観終えて>
 多分何度観ても飽きる事はないと思う。断言できる。それくらい深く感じられる作品だと思う。
 また、これほどキャストがかわると、他の組み合わせも観てみたくなる。今回ほど自分の貧乏さを悔いたことはなかった(-_-メ)
 きっと再演すると思う(願いを込めて)。もちろん、博多座のアンケートにもしっかり書いてきた。今度は是非1度はA席で見よう。昔前から数列目で見て、民衆の迫力に圧倒されたもんな〜。
 それにしても、全編の楽譜が欲しい(爆)。すべて歌いたい。演じてみたいくらいだ。気持ちいいだろうな〜。民衆の歌をみんなで大合唱したら!ああ、また合唱の魂がムクムク騒ぎはじめたぞ。
 なんにせよ、博多座ができて良かった。本当に良かった。
 また「レ・ミゼラブル」が観られて良かった。念願がかなって良かった。
 そして、山口祐一郎さんの声が再び聞けて、劇場であの声に包まれることができて、
本当に幸せだった〜(^O^)
<番外編>
 今回観るにあたって、チケットをとるために発売日当日に並びに行った。なんとなく嫌な予感はしていたが、私は泊まり込みは無理だし、早朝で精一杯なのよ、とひとり弁解しながらも、結局予定より少し遅れて朝7時に博多座に着いた。
 す、すると・・・人、人、人!!!すごい人だ。整理番号は8時から配布が始まる。私の番号は290番台(-_-;)。1番の人は2日前から並んでいたらしい。博多座に2泊!!すごすぎるっ!!!確かに、私の前に並んでいた約300名の人達、夜をこした顔だった。新聞広げたり、おにぎり食べたり、レジャーシートの上に大きなボストンバッグを置いて、ポータブルチェアに腰掛けていたり、まるで避難所のような異様な光景だった。
 次回はもう少しだけ早めに行けるように、頑張ってみることにする(~_~;)

HOMETOPNEXT