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<私の観劇記>

「レ・ミゼラブル」
(2004年1月18日 博多座にて)

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出演者 山口祐一郎(ジャン・バルジャン)  岡幸二郎(ジャベール)  新妻聖子(エポニーヌ) 
河野由佳(コゼット) 泉見洋平(マリウス) 坂元健児(アンジョルラス) 駒田 一(テナルディエ)
瀬戸内美八(テナルディエの妻) 高橋由美子(ファンテーヌ)
<待ち続けていた博多座での「レ・ミゼラブル」>
 どれだけこの日を待ち望んでいたことだろう!
博多座が出来てから、「今年こそは」「来年こそは」とレ・ミゼラブルの上演を待ち続けていた。
博多座にミュージカルを観に行くたびに、「博多座で観たいミュージカル・・・『レ・ミゼラブル』」と書き続けてきた。「山口祐一郎さんのジャン・バルジャンをここで観たいのです」と。
だから、今回の上演を聞き、観劇当日劇場でリトルコゼットの絵を舞台上に見た時、やっと実現した・・・という喜びで胸がいっぱいになった。 
<15年間の重み>
 幕が開き、「囚人の歌」から始まる。「ああ、これだこれ!」と、しょっぱなから一人興奮してしまう。初めて「レミゼ」を観た時、歌いたくて楽譜を買い、CDも買い、飽きるほど聞いては歌った。友達と歌いたいがために楽譜(英語)に日本後訳を書き込んで歌いやすくしたり、誰かが歌っている姿を想像(妄想?)しながら伴奏を弾き続けたあの頃・・・。
 ただ、以前観た時よりもはるかに、今回は何もかもがすんなり入ってきた。15年前は、「どうして?」とか「何を言ってるの?」と不思議に思ったことがあったのに。15年という月日の重みか。何よりファンテーヌの苦しみは子どもをもった今、強く胸につきささった。
<山口バルジャン>
 まずは、なんといっても山口祐一郎さんのジャン・バルジャン。どんなバルジャンを演じるのか興味津々だった。独白はさすが〜という感じだった。音響効果もあるが、劇場内にガンガン響き渡る山口さんの声はたまらない。「お〜〜〜っ、きたきた〜〜〜っ」とまるで大波にのるような気分だ。
 ところが、「彼を帰して」を歌うときバリケードに腰掛け、目をつぶり、声はかすれ、音もはずれていたのだっ!!!いまだかつてこんな山口さんは観た事がないっ。何かあったのか?具合が悪くなったのか?もしかして熱があるのに無理して出ているのではないか?・・・ともうそのあたりから、気が気でなくなった。
 どうやらあの時、何かハプニングが起きたらしい。いろんな説が流れていて、どれが本当かわからないが、とにかく「ハプニング」のために、正常に歌えなかったと。。。う〜む、心配しすぎて消化不良のまま終えてしまった・・・。なんたることだ。ま、あと1回あるからいいものの。
 私としては、『エリザベート』のトート閣下の方が好みだった。どうしてもバルジャンはおじいちゃんになるので、私の中の山口祐一郎さんイメージとはちょっとずれてしまうのだ(すみません、そんな見方しかできなくて)。やはり、叫ぶ祐一郎さんを見たい。朗々と楽しそうに歌う祐一郎さんの声を聴きたい。なので、10月の『エリザベート』までお楽しみということにしておいた。 
<岡ジャベール>
 2年前に「mama loves MAMBOU」で、初めてその格好良さと歌のうまさを知り惹かれてしまった岡幸二郎さん。昨年「めざましTV」で中野美菜子アナがインタビューしていて、料理が得意でお弁当を作って練習にくるということを知り、すごいっと思った反面、結構マメな人なのね、とひいてしまった。
 さて、予想通り歌はすごかった!!私が観たこの回に関しては、完全に山口さんを圧倒していた。それくらい声がストレートで嫌味がなく、声量もあり、素晴らしかった!!一緒に観に行った夫は「ほんとにうまい!」と大絶賛していた。
 だが、あまりにかっこよくて綺麗すぎて、昔ジャベールから感じた毒々しさを感じなかった。いいのか悪いのかわからないが。
 ただ言えることは、とても姿勢のいいジャベールだったということだ(^_^メ)。
 ちなみに、私と夫は10年前にメルパルクホールで公演された劇団四季の「クレイジー・フォー・ユー」を観たのだが、なんとそこに、岡さん出演されていた。あのダンスのうまいアンサンブルの中の一員だったのね。。。
<新妻エポニーヌ>
 さすがエポニーヌ役になるだけあって、歌がうまかった。私の大好きな曲「オン・マイ・オウン」は、絶対に歌のうまい人に歌って欲しかったので、満足だった。
 けど・・・比べちゃ悪いけど、やっぱりやっぱり、島田歌穂さんのエポニーヌが好きだったな〜。もう一度みたいな〜、聞きたいな〜、あの切なくて切なくてどうしようもない「オン・マイ・オウン」。
<その他いろいろ>
 【河野コゼット】可愛いらしかった。パンフだとしっかりものって感じがするが。
 【泉見マリウス】前観た時は野口五郎だったので、どうもマリウスの歌にはこぶしがついているようなイメージがあったが、そうではなかったようだ。元アイドルって感じの人だった。エポニーヌが死んだ時、本当に泣いているような感じがした。私としては、山本耕史マリウスを見てみたかった。
 【坂元アンジョルラス】3年前にはライオン・キングに出ていた人だ。四季辞めたんだ〜。知らなかった。パンフレットを見ていると凛々しい感じでいい。舞台は、まあいいんではないかしら。・・・う〜ん、これも昔観た、内田直哉の血気盛んで熱い(!)アンジョルラスのイメージが強く、好きだったから、どうしても生ぬるく感じてしまう。。。申し訳ない。
 【高橋ファンテーヌ】高橋由美子もこういう役をするようになったのかと思ったが、童顔なだけでもう十分大人だったな。ファンテーヌはかわいい人にはやってほしくないな。あまりに可愛そうでアンバランス過ぎた。この役はもうちょっと年輩の人にやって欲しい。もっと生活感溢れるような、ドロドロした感じを表現できるような人に。。。そう思うと、これまた昔見た安奈淳は良かったな。
<カーテンコールにて>
 何度も行なわれたカーテンコールの最後に、山口バルジャンが、帰ろうとしていた岡ジャベの腕を引っつかんで熱い抱擁をしてくれた♪消化不良だった分がふっとんだくらい、ミモノだった。いいな〜かっこいい者同士の熱い抱擁。うらやましい。
<結局>
 ということで、なんだか昔を懐かしむ観劇になってしまったが、まあ目が肥えたというのでしょうか、昔は観劇歴もなくまだ初々しい乙女だったので、ストレートに胸にとびこんできたが、あれこれ人生経験をつんだ今だと、頭の中でいろいろ考えながら見るので、泣き通しだった割には一種冷めていたのかしら??
 一緒に見に行った夫曰く、「原作を読んでから見るともっと面白いと思う」と。彼は読んでいる。私は、もちろん読んでいない。夫から話を聞けば聞くほど面白く、ガブローシュがテナルディエの息子だとか、アンジョルラス達が死ぬ場面が舞台のようにバリケード上ではないことなど、初めて知った。きっと再演するだろうから、それまでに読んでみよう。
<番外編>
 客席で私の後ろに小学生らしき男の子が座っていた。嫌な予感がした。的中だった。劇中時折、私がもたれかかっていた椅子の後ろを蹴る。隣の親が「やめなさい」と注意していたが、気を許してもたれていると、途中でけりが入るので酔いそうになった。子どもは要注意だ。
 また、ハプニングだと思うが、肝心のジャベールの自殺前の冒頭でマイクがハウリングらしき大きな音が出て残念だった。その後もう1度同じようなマイク事故とでもいうような雑音が入った。仕方ないのかもしれないが、現実に引き戻されるので極力防いでほしいな〜。

あと1回観るという気の弛みからか、演技を良く見ていなかったので、今度はちゃんと見てこようっと。

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