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<私の観劇記>

「ジーザス・クライスト=スーパースター」
(1999年9月4日 福岡シティ劇場にて)

出演者:柳瀬大輔(ジーザス・クライスト) 芝 清道(ユダ) 保坂知寿(マリア)他

 「美女と野獣」以来の劇団四季公演。「ジーザス」は、山口祐一郎さんが四季時代に主役を演じられたと聞いていたので、重ね合わせて見てみよう等と,邪道な考えを持ちながら観始めた。

 急に舞台が真っ暗になり、目がおかしくなってきたが、しばらくして薄い照明がついたら、舞台にたくさんの人が寝ている!!この真っ暗な中出てきたのか?よく出て来れたなあと感心していたら、うごめき始めた。
 最初は、これがロックオペラか、と圧倒され、ミュージカルというんだろうかと思いつつ、芝さんの美声に酔いしれた。ただ,芝さんの格好がいかにも「ロックやってます」という姿だったので、妙におかしかった。バックで揺れる人達は、ひざを少しまげ、腰をかがめたような中腰の姿勢でかなり長い時間ゆらゆらしていた。体力いるなあと思いながらも、あまりに長いので気分が悪くなってきた。
 ジーザスは後光がさしているようで、さすが主役と思ったが、顔が若く不思議な気がした。ジーザスに向かって、手を上げたり下げたりする様子を見ていて、たくさんの虫がうごめいているようで、本当に気分が悪くなった。でも,踊っている人達は大変だと思う。

 そのうち、マリアの歌になる。有名な曲(「今宵安らかに」)が流れ、ほっとする。マリア役の保坂さん、相変わらず歌声が色っぽく、つやがあった。柳瀬さんをはじめ、主役三人は本当に歌がうまい!!前半部分は、視覚的にはついていけず、また、曲調も今まで見たミュージカルとは違っていたので、疲れたが、歌声,特にソロに関しては大満足だった。

 後半、人々が集まって、最後の晩餐らしきことをしている場面からようやく意味がわかり始めた。(それまで,何がどうなっているのかさっぱりわからなかった^^;)
 それにしても、鞭で打たれるシーンはたまらなかった。私は、山口さんもこんなことされたのかと思うと、妙に悲しくなってきて、きっと柳瀬さんファンもつらいだろう(T.T)と胸が痛んできた。その時、客席側に向けられた背中、服がはだけて、打たれたあとが真っ赤になっていて、たとえそれがメイクだろうと、「やめて〜〜」と叫びたくなった。

 それだけではない。棒に両手をくくりつけられ、引きずりまわされるジーザス。あまりにもむごすぎる。。。やめて、やめて、という私の願いもむなしく、とうとう十字架を背負って現われた。その姿があまりにも哀れで、どうしてこんなことに・・・と真剣に腹が立ってきた。そして、いよいよ打ちつけられる場面。「お願いだから、やめて、やめて、やめてよ〜〜〜〜〜」と叫びたい気持ちをぐっとこらえ、見ていると(あれこれ思いながらも結構しっかり見ていた^^;)、かなづちかなんかでコン・コンと打ちつけられた。あのくぎはどうなっているんだろう。足のくぎはどうなっているんだろう。疑問と心配が入り混じって息をのんでみていると、腰巻ひとつの柳瀬さんは十字架に打ちつけられたまま、舞台中央の穴に十字架をはめこまれてしまった。なんと、手からは血がポタッポタッと落ちているではないか!ええっ?なに?あの血は?妙にリアルで、残酷な舞台だなあと思ってしまった。

 心配性の私にとって、あの十字架は気になって仕方がなかった。前から見る分には、ただ、舞台の穴に、はめこんでいるだけなのだ。もし,倒れたらどうしよう。その時は,柳瀬さん逃げるのよ!と願いながら、「早く終って。もういいから。終って,あの十字架から柳瀬さんを下ろしてあげて。」と願いつづけ、やっとジーザスの死を迎えて終った。

 復活のシーンがあるのかと思っていたがそれはなかった。幕が降りるのかと思ったら、幕はなく、十字架の前だけに白い布が下りてきて、その間に他のメンバーが踊って挨拶をしていた。ええっ?もう終り?私は休憩をはさんで二部仕立てと思っていたので、あまりにあっけなかった。
 白い布があがると十字架はなく、舞台の後ろからにこやかな柳瀬さんが出てこられた。手には血のあともなく、洗ってきたのか???気になったが、まあそんなことはどうでもいい。ちゃんと服を着て出てこられたのでほっとした。しかし、先ほどまで苦しめられたジーザスが、カーテンコールでは、笑いながら腰をふって、ロック調の音楽にのっているのが、笑えた。

 よかったが、見終わってとても疲れを感じた。心臓もばっくんばっくんなっていたようだ。
 山口さんも十字架にはりつけられたんだなあ・・・見たかったような見なくてよかったような・・・
 前半部分がなじめなかったのが残念。もう一回見て、ゆっくり味わえたらいいだろうな。
 ちなみに、パンフにあった、ジャポネスクバージョンの写真は変だと思うが、評判はどうだったのでしょう。山口さんはジャポネスクには出ていなかったことを祈ろう。

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