イタリア共和国とチュニジア共和国編

旅行第3日目 その1

テルミニ駅から列車に乗る

3日目。今日は、ローマから列車に乗ってシチリア島のパレルモに向かう。途中船に乗るのだが、車両ごと船に積み込まれるので、列車としては直通運転になる。この列車の存在は旅行記本等で読んだことがあり、イタリアに行こうと思ったときからすでに頭の中にあった。日程を組み立てるのにあたって特にこだわった1日である。

その列車は、ローマ・テルミニ駅を定刻7:27に発車する。ちょっと早いがしょうがない。
朝6時には起きて、6時半のホテルのレストラン開店と同時に朝食。そして7時にはチェックアウトし、駅まで歩く。

駅構内には大きな出発便の表示板がある。日本のようにあらかじめ出発ホームが決まっているわけではなく、私が乗る列車も最初のうちは出発ホームのところが空欄になっている。7:15ころ、ようやく8番線発だということがわかり、そのホームへ行く。



ローマ・テルミニ駅構内
 

ホームにはすでに今日1日お世話になる列車(インターシティーIC725列車)が入線している。
電気機関車に牽かれた14両くらいの長い編成で、あとでわかるのだが行き先が3つに分かれていて、パレルモまで行くのが真ん中の5両。



テルミニ駅8番線に停車中のIC725列車
 

この列車については日本で予約をとっていて、私たちが指定されていたのが4号車。パレルモまで行く唯一の1等車である。
こちらの列車の場合、日本のように「指定席」と「自由席」が分かれているわけではなく、
出発時までに指定されなかった席が自由席になる。
1等車の客室は6人コンパートメントになっていて、
各コンパートメントの入口にどの席がどの区間、予約が入っているかのプリント紙が貼ってあるので、逆にどの席が自由席なのかもそれでわかる。



1等車の廊下
右側にコンパートメントが並んでいます
 

私たちが指定されたコンパートメントは6席全部指定でふさがっていて、しかも私たちの席は通路側であった。そこで、空いているコンパートメントにさっそく移動した。
発車後しばらくして車掌が検札に来たときに、指定席切符を見せながら「座席をここに変更したいんだけど」と言ったら、即OKしてくれた。

ちなみにこの車両にはこのような6人用のコンパートメントが9室あった。コンパートメントとはいっても廊下との境目はガラスなので、内部は丸見えである。なおクーラーが窓際の下に埋め込まれていて、車内放送と温度調節のつまみが各コンパートメントの入口にあった。

 

IC725列車その1

そんなことをしている間に発車時間は過ぎた。しかし発車する気配がない。車内放送もないので状況がわからない。まあ、イタリア語で車内放送されてもわかるわけないけど。
何の気なしに外の掲示板を見たら、発車時間が30分遅れの
7:57に変更になっていた。遅れている他の列車の接続をとっているのかどうか知らないけど、イタリア国鉄さっそくやってくれます

7:57、「変更時刻」どおりに発車。
この列車の乗車に先立って、一昨日テルミニ駅で全国版の時刻表を買っていて、それによればこの列車の停車駅は意外と多い。今日は初っぱなから定刻通りではないのだが、どの駅に停まってどのくらい遅れているのかはよくわかる。



2日前、テルミニ駅のキオスクで買ったイタリア国鉄全国版時刻表の表紙。
実際にはA5版を少し小さくしたくらいの大きさです。
 

ちなみに今私たちが乗っているのが「インターシティー」という列車。イタリア国内では「長距離を走る特急」という感じの位置づけで、車内の装備も私たちの乗っているコンパートメントのように長距離向けになっている。
これより速いのが
「ユーロスター」という列車で、停車駅は大幅に少なく、スピード優先の列車、という感じである。

居住性重視の「インターシティー」ではあっても、けっこうスピードを出す。時刻表で見る限りでも表定速度は120km/h以上、見た目もそれ以上のスピードで軽快に走る。保線の状態も良い。

ローマの町を抜けると、郊外の主に畑の中を走るようになる。だいたい10kmおきぐらいに駅がある。そして、30分おきぐらいに駅に停まる。このような駅でも、パラパラと乗り降りがある。



一面の畑です

 

ナポリ中央駅

10:09、4つめの停車駅、ナポリ中央駅に到着。知らないうちに遅れが45分に増大した。

ナポリ中央駅はヨーロッパの大都市の駅によくありがちな頭端式の駅で、従ってこの列車もこの駅で進行方向が逆になる。そのためか停車時間が10分以上ある。

その間に車内の客が半分くらい入れ替わる。このような長距離列車でもナポリまで、というような比較的短距離の客がけっこう乗っていたのである。

一方、ナポリから乗ってきた客はほとんどが終点パレルモまで行くような感じである。
私たちのコンパートメントにも、ナポリから「この車両はパレルモに行くんですよね(会話からして地元の人なのだろうけど、私たちと会話するときは英語だった)」とか言いながら1組の夫婦が入ってきて、結局終点まで私たちとこの人たちの計4人であった。

 

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