イタリア共和国とチュニジア共和国編

旅行第3日目 その2

IC725列車その2

10:19、43分遅れでナポリを出発すると、海沿いを走ることが多くなる。今日もいい天気で気温は30℃を越えていて、海岸には海水浴客が大勢くり出している。日本でいうところの「海の家」に相当するようなオープンカフェもある。



海岸線を走る
 

ナポリの次の停車駅・サレルノを出発すると、時刻表上ではいきなり2時間近くノンストップになる。
とともに工事区間というか徐行区間をやたらと走るようになり、とたんにスピードが落ちる。工事のせいで20分以上単線区間を走るところも数カ所あり、その先の駅で対向のユーロスターを待たせたりしている。なにしろ定刻より大幅に遅れて走っている私たちの列車、対向列車に迷惑をかけつつ走っているようだ。

11:50ころ、腹が減ったので食堂車に行く。私たちが乗っている4号車ととなりの3号車の間に号車番号のない食堂車がはさまっている。
で、行ってみたところだれもいなかった。適当な席に座るとウエイトレスさんがメニューを持ってきて、注文を選んでいるときに車内放送で「昼食の営業を始めます」と車内放送が入った(イタリア語と英語の放送だった)。どうやら私たちが行ったときは
まだ昼食の営業前だったらしい。
「今度こそピザを」と思って注文したところ、出てきたのはピザトーストのようなものだった。
昼食を食べている間は海から離れ、山の中を走っていた。



この日の昼食、ピザトースト
けっこう見た目よりボリュームがありました
 

結局サレルノからその次のパオラまでの間に遅れが30分以上も増えて、1時間16分遅れになった。
パオラからは工事区間からは抜け、また快調な走りになる。このあたりは山が海に突きだした険しい地形なのだが、路線そのものはトンネルの多い直線的な区間で、日本で言えば室蘭本線の長万部〜洞爺あたりのような感じである。

そのうち、イタリア半島の長靴のつま先にだいぶ近づいてきた。対岸にはやがてこれから渡るシチリア島が見えてくる。長靴に蹴られたボールのような感じの島である。

 

列車ごとシチリア島に渡る

14:56、定刻より約1時間10分遅れでヴィラ・サン・ジョヴァンニ駅に到着。ホームのすぐ横に港が見え、連絡船らしき船が停泊している。



ヴィラ・サン・ジョヴァンニ駅に到着したところ
右側のホームの向こう側に連絡船が見えています
そしてこれから、まどろっこしい作業が始まります
 

ここで列車ごと船に積み込まれるのだが、その作業が非常にまどろっこしい。
まず、私たちの乗っている4号車から前が切り離されてどこかへ引かれていった。その後、残った10両は空の貨車を2両くっつけたディーゼル機関車に引っ張られて駅の先の貨物ヤードのようなところへ移動。そして向きを変えて船の中に入っていくのだが、船の長さが10両分もないので5両入ったところで再び船から出てきて、もう一度バックして船内のとなりの線路に入線。
こう書けば簡単だが、ひとつひとつの作業が緩慢で、到着してから船に入るまでに30分もかかった。重たい荷物を抱えて乗り換える手間が省けるというメリットと、時間がかかりすぎるというデメリットのどちらが大きいんだろう、と思わず考えてしまう世界であるが、まあいいやここはイタリアだから。



船内に積み込まれたところ
私たちの乗っていたのは右側の車両
 

列車が船に積み込まれてしまうと、客車から降りて船内を歩き回ることができるので、さっそく甲板に出てみた。今日は朝からほとんど列車の中にいるので、初めて今日の暑さを実感する。

15:36出航。8kmほどの航路なので、すでに対岸のシチリア島は近くに見えていて、その間の海峡(メシーナ海峡)を行く。その海峡を行き交う船も多く、そんな中をゆっくり航行する。



イタリア本島を後にする
 

本旅行中唯一の船旅なので、じっくり味わいたいところなのだが、20分もすると対岸の港が見えてくる。それとともに船内にあれだけいた乗客たちもサーッといなくなってしまう。ほとんどが列車ごと船に乗り込んだ人たちだったようだ。この両港間を結ぶ旅客船はけっこう多く、そんな中この船は1時間20分近く遅れているわけで、こうなってしまっても仕方ない。

 

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