イタリア共和国とチュニジア共和国編

旅行第8日目 その2

カルタゴ地区へ

マリン駅はチュニスの市街地のやや外れ、と言うところにある。ここからTGMという郊外電車に乗り換える。
この電車には1等と2等があるようで、ためしに1等の切符を買ってみた。チュニス市内にあるマリン駅からカルタゴ地区まで、1等車で1ディナール(約90円)。



TGMの電車
チュニス・マリン駅にて
 

TGMのホームはかなり混み合っていた。これから向かうカルタゴが海に面した地域なので、ほとんどが海水浴客である。そのときホームに停まっていた電車があまりに混んでいたので、1本待つことにした。ホームにあった時刻表によれば、この時間帯は12分間隔で走っているようだ。

その電車が発車していくのとほぼ同時に、次の電車が反対側のホームに入ってきた。
電車は2両編成で、後ろ寄りの車両の半分だけが1等車。1等車といっても、座席にラバーが貼ってある程度(2等車は板張り)で、4人掛けの座席であることには変わらない。
1等車は入口に「1」と小さく表示しているだけなので知らない客がぞろぞろ乗ってきてかなり混んでくるが、発車前に係員がやって来て切符のチェックを始め、半分くらいぞろぞろ降りていった。それでも立つ客がけっこういた。2等車はかなり混んでいる様子である。
それにしても、さっきの路面電車といいTGMといい、
冷房率ゼロ。1等車には扇風機も付いているけど、やっぱり暑い。

10:18、発車。TGMと路面電車の車庫の横を抜けたあと、視界が開ける。チュニスの市街地とカルタゴ地区の間にチュニス湖という大きな湖があり、その真ん中を突っ切るようにひょろ長く砂州のようなものが貫くという珍しい地形で、そこに線路が敷かれている。よって車窓の両側が一面湖、という景色が延々10分くらい続く。その景色がようやく終わると、カルタゴの町の中に入る。

 

古代カルタゴの港

カルタゴ地区に入ると短い間隔で駅がある。その8つめ、カルタージュ・サランボ駅で降りる。ここから海の方に歩いて、古代カルタゴの港というところに向かう。



カルタージュ・サランボ駅で降りる乗客たち
 

結果的には次のカルタージュ・ビュルサ駅の方が近かったらしい。この辺りは郊外の高級住宅地という風情である。どの家も白い壁に囲われていて敷地も広く、花も咲き乱れいて、そんな中の散歩となった。



こんな感じのところです
 

20分ほど歩いていると、やがてその地点に着いた。「港」と言っても現在は埋め立てられて池のような感じである。
しばらく木陰で休憩する。その「港」を介して向こう側の丘陵地帯にある城跡なども一望できた。



古代カルタゴの「港」
 

今日も天気が良くて日なたにいると暑いが、気温は29℃で日陰にいると吹く風がけっこう涼しい。
同じチュニジア国内でも、昨日までいた砂漠地帯とここのような海沿いの地域とではかなり気温に差がある。

 

シディ・ブ・サイド

10分弱歩いてカルタージュ・ビュルサ駅という駅から(結局1駅区間歩いたことになる)、再びTGMに乗る。カルタゴ地区の中にある駅は無人駅が多く、電車もワンマンなので、運賃を払うシステムができていない。

さっきと同じく海水浴客で混み合う2等車に乗り、5つめのシディ・ブ・サイド駅で降りる。近くに大きな海水浴場でもあるらしく、かなりの客が降りた。

ここで降りた目的は、ガイドブックに「チュニスで最も美しい町」と書かれているシディ・ブ・サイドに行ってみること。
駅前から、他の客が歩いていくのと同じ方向(つまり海方向)に200mくらい歩くとロータリー(その名も「1978年11月7日広場」)があり、そこから東方向に急坂(ハビブ・タムール通り)を登っていく。途中から両側におみやげ屋が連なってくる。このあたりからが
シディ・ブ・サイドと呼ばれている地域のようだ。



おみやげ屋が連なるあたり
この突き当たりに「シディ・ブ・サイド広場」があります
 

しばらく行くと、ちょっとした広場(シディ・ブ・サイド広場)があり、そこから先は真っ白な壁の家々が立ち並んでいる。ここまで来ると、家々の間から眼下に地中海が見え、青い空と白い家々とも相まって非常にいい景色である。確かにガイドブックの通り「美しい町」だ。



見えている海は地中海です
 

今日の昼食はさっきのシディ・ブ・サイド広場の近くのオープンレストランで取った。
メニューがアラビア語とフランス語のしかなく、よくわからないのでてきとうに注文したが、チュニジアンサラダ+オムレツ+串焼き、というまともな食事になった。

食後、通りに面しているおみやげ屋をいろいろのぞいてお買い物。チュニジアの大概のお土産はここで揃うが、なぜか食べ物関係はどこにもないのであった。

結局シディ・ブ・サイドには2時間以上滞在し、再びTGMに乗るため駅まで戻ったところで、さっきのおみやげ屋にカメラを置き忘れてしまったことに気付き、あわてて戻ろうとする。すると、そのおみやげ屋の店員さんもそれに気付いて追いかけてきたようで、途中まで戻ったところで向こうから声を掛けてきて返してくれた。なんたる親切心。
アフリカ大陸にありながら、治安は日本並みに良いと言われているチュニジアならではの出来事ではあった。

 

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