日本列島縦断バスの旅

 

【1日目】 助走区間 那覇から船に乗る の巻

平成3年3月某日。厳寒の東京を出発し、ほとんど行きつけとなった八重山諸島・竹富島の民宿でのんびりして、そのあと沖縄本島を車で1周したりしていたので、実際には5日目である。

今回の旅の趣旨はバスによる日本縦断なのであるが、それだと沖縄を無視してしまうことになるので、わざわざ旅の起点を沖縄にして、そこから船で鹿児島へ向かう。


 
フェリーあけぼの(那覇港にて) 
 

那覇港出航は朝の8時。前もって買っておいた切符に「1時間前までに乗船手続きせよ」と書いてあったので6時半ごろフェリーターミナルに行くと、実際には「7時まで」ではなく「7時から」であった。

那覇から鹿児島へ向かう船はノンストップ便と、途中ある島々に立ち寄っていく「各駅停車タイプ」の2種類があるが、私が乗るのはその「各駅停車タイプ」の方の船である。こうなると鹿児島まで行く客よりも途中で降りる客の方が多く、2等船室は降りる島別に分かれていた。

この日の「各駅停車」鹿児島行きは大島運輸の「フェリーあけぼの」という船。この航路にはもう一社マリックスラインという会社とあわせ、計4隻の船が就航している。

8時出航。これから、沖縄本島北部の本部港与論島茶花港沖永良部島和泊港徳之島亀徳港奄美大島名瀬港と5つの港に立ち寄る。もちろんこういう船だから貨物もいっぱい積んでいて、各港では数台のパワーリフトがせかせかと貨物の出し入れをしていた。基本的に船旅はヒマだから、そういうのを眺めていると結構ひまつぶしになるのであった。


 
途中の港にて(たしか与論島)
 

徳之島出航(18:15頃)の頃になるとだんだん暗くなってきて、奄美大島に着いたのが21:25。奄美大島での乗り降りが一番多かった。22時頃、出航。ヒマなので寝てしまう。

 

【2日目】 鹿児島到着。鹿児島→熊本→福岡

奄美大島出航は定刻より30分遅れであった。しかし、この船便は時間に余裕があり、錦江湾に入ったところでしばらく時間つぶしするダイヤになっているようで、鹿児島新港には定刻通り朝8時に到着した。

鹿児島新港からタクシーにのる。運ちゃんに「いづろのバスセンターまで」と言ったら、「そこからどこへ行くの?」「熊本ですけど」「じゃあ、あすこだな」と言って走り出す。鹿児島には2つのバスターミナルがあり、いずれもいづろにあるので、確認したのであろう。

ここからがこの旅の本番である。そのトップバッターは鹿児島発熊本行きの南九州高速バス「はいびすかす」号。この路線は熊本の九州産交バスと共同運用で、産交バスの方は「きりしま」号という。鹿児島からは今日の宿泊予定地福岡まで直行するバスももちろんあるのだが、それだと福岡到着が早すぎる。また、そんなに焦らずのんびり行きましょう、という気もあった。



 はいびすかす号(人吉駅前にて)
 

11:30、出発。途中、天文館(鹿児島一の繁華街)、西鹿児島駅に寄った後、鹿児島I.C.から九州自動車道に入る。
現在は九州自動車道は全線開通している。ところが当時は、宮崎県えびの〜熊本県人吉間は未開通区間で、この区間は国道221号線を走った。ここにはループ区間が2箇所あり、それはそれでおもしろかった。ちなみにこれと並行しているJR肥薩線も、この区間はループありスイッチバックありという乗りごたえのある区間である。
人吉駅前のバスセンターで休憩した後、再び九州自動車道に入る。人吉〜八代間は、現在では4車線化されているようだが、当時は対面通行だった。
熊本I.C.で降りる。国道57号線を走り、県庁前とか水前寺公園前とかこまめに停まりながら、15:14に熊本バスセンターに到着した。

ちなみに現在も11:30鹿児島発という便はある。現在は熊本到着が14:49となっており、やはり高速道路が全線開通するとそれだけスピードアップされるわけである。

お次に乗るのが熊本発福岡行きの「ひのくに」号。この路線はけっこうドル箱路線らしく、昼間は15分間隔で走っている。熊本の九州産交バスと、福岡の西鉄バスの共同運用で、私が乗った15:45発は西鉄バスであった。

熊本バスセンターを出発したバスは、元来た道をそのまま熊本I.C.まで行き、そこから九州自動車道に乗る。
熊本県から福岡県に入り、八女(やめ)というバス停で運ちゃんが交代。実はこのバス、八女営業所のバスだったのである。どういう車両運用になっているのだろう。
そしてこのバスは、福岡空港経由であった(現在はそういうルートはない)。太宰府I.C.で降り、福岡空港へ。3つあるターミナルビルにこまめに立ち寄り、そこから当時できたばかりの福岡都市高速に乗り、天神に18:27着。

 

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