朝鮮民主主義人民共和国
+  中国国境地帯編

プロローグ

 北朝鮮という国について



高麗航空(Air Koryo)の航空券の表紙。
いい味出してますね。

「普通の人が行かないようなところに行く」をある種趣味にしている私にとって、「北朝鮮」という国は避けて通れない国であった。

この国についてはいろいろよくない評判がたっている。では実際のところどうなのか。どうなのかといっても情報量が圧倒的に少なくて、よくわからない。
向こうから情報が来ないなら、こっちから行って見てやろうという気があった。
見てやろうといっても、当たり障りのないところしか見えないかも知れないけど、雰囲気ぐらいはつかめると思う。
とにかく百聞は一見に如かずである。

そう思って昨年暮れぐらいからインターネットでいろいろ調べだした。探せば結構出てくるものである。旅行記も雑記もある。旅行社についても出てきた。
それによれば朝鮮旅行を専門にしている会社は、朝鮮総連系の
C社と、そこから分離独立したK社がある、ということがわかった。
そこで今回は、「分離独立」という言葉に惹かれたわけではないけど、
K社にお世話になることにした。

 

出発までの準備

正月明けぐらいから、K社にEメールを出したり電話したりして、いろいろ情報を収集した。それによれば、


2名以上で申請しないとビザが発給されない。

ビザは申請してから発給まで1ヶ月くらいかかる。
しかも日本には大使館がないので中国やロシアの大使館に申請し、控えを送ってもらって、
入国当日申請した国で受け取ることになる

●個人旅行者を2人以上集めて「グループ扱い」ということでビザを申請し、あとでバラせば
個人旅行も可能
ただし表向きはグループなので、入国と出国は同時でないといけない。

●しかも1人で行っても団体で行っても、北朝鮮滞在中は
必ず2人の「指導員」がつく


つまり、いちおう個人旅行は可能でも、いつものように1人気ままにぶらぶら、というわけにはいかないのである。
しかし、現体制が続く限りはこの制度は変わらないだろう。その一方で、現体制がなくなってしまってはあえてこの国に行く意味がない。とすれば残された道はひとつ、
妥協である

その上で再度問い合わせてみると、2月下旬に出発し、帰りは鉄道で中国に出国し、国境地帯を見るというコースを希望している人が1人いることがわかった。その人と同一行動をとればとりあえずビザが発給される条件が整うわけである。こちらとしても、鉄道には乗れるし国境地帯は見られるし、魅力のコースであるので、それで申し込むことにした。

1月下旬、私は厳冬の北海道を旅していた。ちほく高原鉄道に乗り、人跡未踏の山中を走っているときに携帯電話が鳴り、K社のKさんから「飛行機の予約がとれました。これからそれ以降の手配をしたいと思います」と言ってきた。これで北朝鮮行きが決定した。でもKさんはまさかこちらが北海道の山中にいるなんて思ってもみなかっただろうな。

 

北朝鮮への行き方

今回の往路の行程は、関西空港から全日空の大連経由瀋陽行きに乗り、瀋陽で北朝鮮の航空会社である高麗航空Air Koryoの飛行機に乗り換えるというものである。これなら日本を出発してその日のうちに平壌入りできる。
この他にその日のうちに入国できるコースとしては、新潟からハバロフスク経由で平壌入りというものもある。

そして帰りは列車で中国に出国するという、比較的珍しいコースである。

日本からのもっともポピュラーな方法としては北京経由というものがあるが、これだと往復とも北京で1泊しなければならない。

いずれにしても、これだけ近い国にもかかわらず、かなり大回りになる。当然、旅行代も高くなるというわけである。

 

 

北朝鮮のビザ
日本に大使館がないため、中国の北朝鮮大使館に申請。
そのため入国直前瀋陽で受け取りとなり、出国時取られてしまうので、写真を撮った。
私と合同で申請したF氏との2枚綴りであった。

 

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