朝鮮民主主義人民共和国
+  中国国境地帯編

旅行第1日目 その2

瀋陽空港にて

予定では瀋陽からの平壌行きの出発は15:10である。駐機場に入る直前、「平壌行きに乗り換える方は地上係員にお知らせ下さい」と機内アナウンスが入った。



瀋陽国際空港
 

飛行機を降りたところに高麗航空の係員がビザを持って立っていて、名乗り出ると「手荷物を持ってカウンターまで行ってください。急いでください」と日本語で言った

急いでくださいと言われても、羽田で預けた荷物がここで1回返ってくる。しかし私の荷物は比較的早く出てきて、すぐにチェックインカウンターへ。なぜか「北」ではなく「南」の会社である大韓航空のカウンターでチェックイン。

ここで、私と合同でビザを申請したF氏とご対面となる。ご対面といっても、時間がないので話し込んでいるヒマはない。近くにある出国税を払うカウンターへ。料金は90元ということであるが、中国元に両替なんてしている時間はなかった。しかしこのカウンターは日本円が使え、2千円払ったら30元おつりが来た。

そのうち、もう2人日本人観光客がいることがわかった。彼ら(O氏I氏)に話を聞くと、申し込んだ旅行社も同じなら、これからの行程もまったく一緒であった。ただし、あくまで「グループ」としては別扱いなので、北朝鮮国内ではおおかた別行動であった。

そして2階で出国審査を受け、すぐ先にある搭乗待合室へ。はっきり言って閑散としていた。

 

いよいよ平壌へのフライト

15:40過ぎ、搭乗が始まる。客は9人。そのうち少なくとも6人はさっきの全日空機からの乗り継ぎ客であった。
これでは定刻通り出発できないわけである。



平壌行きの搭乗券。
これまたいい味出してますねえ。

搭乗券の半券、といってもミシン目が入っているわけではないので、そのあたりがてきとうに切り取られ、バスに乗る。そして向こうに止まっている小さなプロペラ機に向かう。形からしてアントノフではないかと思われる。
話によれば、客の数によってその日使われる飛行機が割り振られるそうで(飛び込みの客などいないはずだから、なんとなく理解できる)、客が9人しかいなければこういう飛行機である。いずれにしても、いよいよ北朝鮮の世界である。



これがその飛行機
 

入口では、2人のスチュワーデスさんがにこやかにお出迎え。その胸にはさっそく赤く光るバッジ。来た来たぁーっと言う感じである。
ガムが配られたが、ちょっと日本で売られているのとは触感が違うものであった。
機内は、いちおう席が指定されているが、その通り座る人はいなくて、実質的には自由席。1列が2+2の4人掛けでそれが6列あるのだが、その前に壁と分厚いカーテンで仕切られ、内部がうかがい知れない
謎の空間があった。

16:01離陸。最初のうちぼーっと景色を眺めていたので、よくわからなかったがいつの間にか北朝鮮領内に入ったようである。2月だからしょうがないにしても、緑がない。緑がないどころか山に樹木が少ないような気がする。見渡す限り茶色の大地である。でも所々に町のようなものも見かける。

しばらくして、飲み物のサービスがあった。水と、見た目ジンジャーエールのような炭酸飲料の2種類あったので、試しにその炭酸飲料をとる。なんというか、人工的な甘さのする飲み物であった。

時刻表によれば、瀋陽から平壌までの飛行時間は40分になっていた。しかし、それは大きい飛行機の場合らしく、この小さい飛行機はもっと時間がかかる。窓からときどき見える町の、どれが平壌だろう、と思っていると、あのでかい柳京ホテルが見えた。あれこそ平壌である。

 

平壌に到着

時計が再び1時間進んで18:07、定刻より約1時間15分ほど遅れて平壌・順安国際空港着陸。

それにしてもこの空港は敷地のだだっ広い空港である。着陸してから、ターミナルビルの近くまで10分近く、それもかなりのスピードで走り続ける。その間に川を2つも渡ったりする。

ターミナルビルから数百m離れたところに停まる。ここからバスに乗ってターミナルビルへ。ビルといっても2階建ての日本で言えば地方空港のような風情なのだが、そのてっぺんには金日成の写真。さっそく気分をかき立てられるシチュエーションである。



これが平壌国際空港の建物
 

建物の1階に入るとすぐに入国審査がある。その手前に形ばかりの免税店があるが、どれも色あせて売る気まったくなし。だいたい店員がいない。

入国審査が済むとバゲージクレームがあり、その先に税関検査場がある。着陸の直後日が暮れて、ぼちぼち暗くなってきているが照明はついていない。税関審査では私とF氏の前にいた人にやたらと時間をかけ、だいぶ待たされて順番が回ってくる。荷物はX線装置に通され、人間は金属探知器のようなところを通る。
特に問題はなかったが、一言「携帯電話は持ってないね」と言われた。出発前に旅行社からも、
「携帯電話持ち込み禁止」ということは強く言われていた

まあとにかく、これで無事北朝鮮入国である。

 

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