朝鮮民主主義人民共和国
+  中国国境地帯編

旅行第2日目 その2

板門店 パンムンジョム

さらに車は高麗人参の産地で有名な開城(ケソン)の町近くを通り抜け、しばらく行くとその道自体が突然板門店の入口に突き当たる。所要時間的には平壌からだいたい2時間弱くらいである。

ここから先は軍事境界線で軍の管理下なので、人民軍の兵隊さんが付くことになるのだが、O氏とI氏のグループと合同で案内するらしく、彼らが来るのを待つ。その間に、入口横にある管理建物内で、板門店についての説明を受ける。その後そのあたりに30分くらいいた。
天気はポカポカしているし、小鳥はさえずっているし、「板門店」という響きから来る緊張感がまるでない、というのが正直な印象である。



ここから先が人民軍の管理である
 

開城の歴史博物館に寄っていたO氏I氏がやってきて、いよいよ出発となる。最初に門があり、そこは1列に並んで歩いて通る。そしてその先で待っていた車に乗る。何かの儀式なのかな。

車はしばらく田畑の中を走る。北が「共同農場」南が「宣伝用の農村」と言い分が分かれている一帯である。

そしてまず立ち寄るのが「朝鮮戦争停戦会談場」と「停戦協定調印会場」。それぞれの建物の内部で案内の兵隊さんが、いかにも我々が正しいんだという言い方で迫力満点で説明をする(通訳は洪さん)。
時間が押しているらしく、向こうの方でかたまっていたガイドさんたちが説明している兵隊さんに向かって「早くして」というしぐさをしていた。

そこから再び車に乗り、いよいよ国境にある会議場区域へ。車はその手前にある大きな建物の前で停まり、そこから歩く。
まずあるのが、
金日成が亡くなる前日に書いたという直筆サインが刻まれた大きな石碑



これです。
 

その前を過ぎて坂を下っていくと、そこには写真とかで見慣れた青(北側管理)と白(南側管理)のプレハブが並んでいる。その並んでいるプレハブのちょうど中央を国境線が通っている。プレハブの周辺には人民軍の兵士が直立不動で警備している。でもどうやらそれは宣伝用なのか何なのか、南側から行くと今度は南側の兵士が同じことをしているらしい。



このちょうど中央を国境が走っていて、
だからプレハブの向こう側に見える建物は韓国のものである。
 

そのプレハブのうちのひとつに入る。その建物内をウロウロ。建物の中央を国境が通っているので、ちょこっとだけ韓国に足を踏み入れたわけである。



プレハブの中。
中央のテーブルの真ん中から向こう側が韓国。
 

最後に会議場区域を一望できる展望台へ。真っ正面には韓国側の同じような建物がある。あちらは3年ほど前に建ったものらしく、9年前に韓国側から来たことがあるというI氏は「そういえばあの時はなかったな」と言っていた。

私も、いつかは板門店に来たいとは思っていたが、まさか北側から行くことになるとは夢にも思わなかった。

 

開城市内

軍事境界線入口までもどり、案内の兵隊さんと別れ(別れるときに握手したんだけど、その握力の強いこと)、O氏とI氏とも別れて、そこからすぐの開城の町に行く。町の中をつっきり、そのはずれにある歴史博物館に行く。町の中を走っているときは、車が通ること自体珍しいので、結構注目を浴びた。とにかく車どころか自転車もなくて、人々はひたすら歩いているのである。



市内の様子
 

その歴史博物館は、何百年も前学校だったところらしく、一見神社の境内のようでもある。専門の女性ガイドが付き、洪さんが通訳する。時間が押していたのか、かなり飛ばして案内した。飛ばしすぎて、案内のあと、「わかりましたかね」と聞いてきたりした。

そして昼食。開城市内にあるレストランみたいなところで朝鮮料理のサムゲタンを食べる。これは当初の予定にないオプションである。お代は日本円で2千円。
かなりだだっ広い、しかもひと気のない寒々しいコンクリートの建物であったが、案内されたのはオンドル式暖房の効いた個室で、すでにO氏I氏が食べていた。ガイドさんたちはまた別室で別メニューのようである。

で、メニューはサムゲタンとご飯だけかと思いきや、その他に開城の名物料理がたくさん並んでいて、猛烈に量が多い。サムゲタンを食べただけで満腹になってしまい、その他は半分くらいしか食べられない。建物の外を歩いている人たちに分け与えたくなる気分になる。



サムゲタンと開城料理
こんなに出さなくても・・・
 

そのレストランの横の坂を上がっていったところに、金日成の銅像があるので、食後洪さんとそこに歩いて行く。洪さんは最初「歩いていくの?」と言っていたが、実際ものすごい急坂で、洪さんがそう言った理由がわかった。銅像があるところからは、市内が一望できた。



銅像のあるあたりから見た町の中
 

帰りがけ、市の中心にある南大門の写真を撮るため、その地点で車を止めて外に出た。人通りの多いところだけに、特に子供たちが物珍しそうに寄ってきたが、周りの大人たちがそれを監視するように鋭い視線を向けてきて、結構怖いものがあった

 

平壌に戻る

開城から、元来た道を戻る。往路は、張さんや洪さんに案内してもらったり、雑談したりしていたが、帰りは2人とも寝てしまったので、ぼーっと景色を眺めていた。

途中、また水穀パーキングエリアに寄る。ここの建物は、道路をまたぐような構造になっていて、そのちょうど道路の真上部分がレストランのようになっている。と言っても他に客はいない。
洪さんに「コーヒーでもいかがですか」と言われ、F氏とコーヒーを飲む。洪さんは飲まないで、ただ管理人の人と雑談していた。
ここではなんと
ドル建てで、1杯1ドル。昨年夏にアメリカへ行ったときに余ったドルを、今回たまたま持ってきていたが、まさかそれを使うことになるは思わなかった。

 

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