朝鮮民主主義人民共和国
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旅行第3日目 その4

アヒル料理

これで市内観光は終わり、夕方5時半ごろ一旦ホテルに戻る。当初の予定では今日はこれで終わりなのだが、リクエストしてこれからまだ続きがある。

6時15分頃、再びホテルを出発。向かうのは東平壌地区の統一通り沿いにあるアヒル肉専門のお店。「朝鮮ではアヒルの肉を食べるんですよね」と私が言ったのが始まりで、今日の夕食はアヒル料理にしましょう、と言うことになったのである。
ただし高級料理らしく、
1人4,000円もする。私が言い出しっぺなので、ガイドさん2人と運転手さんの分はすべて私が負担した。



店の前の統一通り
 

F氏も含め、総勢5人で行ったら、テーブルは4人用のものしかなく、仕方なく洪さんと運転手さんはとなりのテーブルになった。それで、同席した張さんと今夜も話し込む。

今日は、どちらかというと一般的な話が多かった。洪さんの奥さんが平壌で有名な料理の研究家であることも知った(洪さん「余計なこと言わないでよ」と張さんに突っ込み入れていたけど)。
ちなみに2人の給料は
1万円くらい。いろいろ話を聞くと、これは手取り額に近いらしい。でも、ガイドさんは言ってみれば「技能職」であるので、普通の人よりは経済状況はいいのではないかと推測する。

日本ではほとんど食べることのないアヒルだが、食べてみるとそんなに違和感はなかった。特に焼き肉は朝鮮風に味付けしていることもあり、牛肉とそんなに変わらなかった。



写真に撮ると普通の焼き肉みたいですね。

 

夜の平壌市内

その店を出たのが夜8時頃。で、店の前の統一通りは真っ暗。照明灯はあるのだが、電球がついてないのである。その真っ暗闇の中、通りを走る市電を降りた人々が黙々と歩いて帰宅している。
暗いのでよくわからないのだが、幅が異常に広い通りを横断している人も含め、その数はかなり多い。時たまではあるが車も通るので、よく事故にならないなあという感じである。車を運転する方も怖いと思う。

周りのアパート群まで含めて真っ暗という地区もあった。エネルギー節減のため、地区ごとに計画的な停電をしているのだそうだ。

今日はもうひとつ「平壌の夜景を見たい」というリクエストもしておいた。ところが車はまっすぐホテルに戻った。やっぱり見せてくれないのかなあ、と思ったら、ただガイドさんが運転手さんに言い忘れていただけらしい。

市内は基本的に真っ暗だが、点在するモニュメントはきれいにライトアップされている。私たちはこのうち、チュチェ思想塔凱旋門万寿台の金日成の銅像前に行った。そしてほとんどこの時のために持ってきたともいえる三脚を立てて、写真を撮った。

  

金日成銅像(上)
凱旋門(左下)
チュチェ思想塔(右下)
 

万寿台の銅像前にいたのはもう9時近かったが、それなりに人がいた。掃除している人も多く見られる。昼間もいたのだが、この人たちはみんな自主的なボランティアらしい。
張さん曰く、働いている人は仕事に行く前とか、今みたいに仕事のあとに立ち寄るとかしているとのこと。この忠誠心というか何というかは、話で聞くところの戦前の日本に似ていて、なにか一種異様な気もしないでもないが、考えすぎかな。

 

金正日登場のテレビ番組

この晩、ホテルに帰ってテレビをつけたら、金正日が各地を「視察」し「指導」している映像(動画)を集めた番組が、えんえん1時間近く(しかもあの独特の抑揚のナレーション付きで)流れていた。

  

ちょっと話はそれるが、おなじ朝鮮語でも、韓国と北朝鮮ではちょっと抑揚が違いますね、と張さんに聞いたところ、「朝鮮半島では北に行けば行くほど、言葉がきつくなるんです。例えば我々平壌の人間がもっと北の新義州あたりの言葉を聞くと、喧嘩しているように聞こえますよ。方言みたいなものです」とのことであった。

この国のテレビではふつう金正日は動画ではなく写真(静止画)で登場する。話によれば、この人の「神聖性」を出すために、わざと写真で登場させているらしい。と言うことで金正日が動画で出てくるのは珍しい(ただし肉声はなかった)。たぶんこの1週間の金正日の記録映画ではないかと思われる。

我々がイメージとして持っている「北のテレビ番組」そのままの内容で、ある意味非常にポイントの高い番組であった。

 

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