朝鮮民主主義人民共和国
+  中国国境地帯編

旅行第4日目 その2

列車内にてその1

平壌を出発して、しばらくすると市街地から抜ける。ほとんどの区間が単線である。まあ、新義州まで数えるほどしか列車とすれ違わなかったから、単線で十分なんだろう。
そしてときどき駅を通過する。平壌駅もそうであったが、どの駅も駅舎には
必ず金日成の写真が飾ってある

「景色は撮ってもいいよ」と言われていたので、写真を撮りまくっていると、ある人に静かに注意される。よく見ると、胸にキラリと光る赤いバッジ。この車両の乗客はほとんど中国人ばかりと思っていたら、北朝鮮の高官が1人乗っていたのだ。これは気を遣わないといけない。
以降、写真を撮るときはほとんど
隠し撮り状態、それもドキドキものであった。
この列車に日本人が4人乗っているということは当局経由で沿線にも伝わっているだろうから、ヘタなことするとどこかから通報されるのでは、というのが我々4人の一致した意見であった。



隠し撮った1枚。
 

車内には、モスクワまでの時刻表が掲示してあった。もちろんロシア語で書かれているのだが、ロシアに2回行った経験からロシア文字が読めるようになっているので、地名ぐらいはわかる。
それによれば、この車両は中国入国後、今晩23:12に瀋陽に着き、同じく今晩23:10に北京を発車する列車に連結するため明朝9:20まで瀋陽駅に停まっている。そしてさらにその翌日の午前中、満州里の先でロシアに入国し、平壌を出発して6日後の18:09にモスクワのヤロスラヴ駅に到着するようである。
なんとも、
大陸的というか雄大なダイヤである。

 

列車内にてその2

11:43、最初の停車駅新安州(シンアンジュ)着。
駅名標は当然ハングルしか書かれていないのだが、I氏がハングルを読めるのでありがたい。
停車といっても客扱いするのはうしろについている国内列車だけで、私たちの乗っている国際列車は「運転停車」扱いである。
駅の出口、というか跨線橋が前の方にあるので、目の前を列車に乗り降りする乗客たちが大勢行き来する。兵隊さんも多い。この乗り降りの多さを見ると、
かなり国内列車は混雑してるらしい

駅舎も駅名標も目の前にあるし、被写体としては非常にいいのだが、こんな写真を撮った日にゃあ、間違いなくフィルム没収であろう。歯がゆくてしょうがない。

5分停車後発車。12時頃、となりの車両の食堂車へ行く。ここでの食事代は、旅行社からは自費と言われていたが、平壌出発前に洪さん曰く、「もう予約してありますからお金はいりません。12時になったら食堂車に行って下さい」とのことで、よくわからないけどまあいいや。

食堂車との連結部分は幌が思いっきりはずれていて、けっこう怖い。4人掛けのテーブルがひとつだけあいていて、そこに座る。
この車両は
北朝鮮の車両で、暖房なし、照明なし。かなり冷え込んでいるし、トンネルに入ると真の暗闇になる。もちろん金親子の写真もばっちり並んでいる。

出されたものは、朝鮮と中華の折衷のような感じで、なかなかうまかった。
メニューがあるのかどうか知らないけど、まわりのテーブルではみんな違うものを食べていた。
ちなみに瓶ビールを1本頼んだが、これについてはドル建てで、1本1ドルであった。物価のせいもあろうがけっこう安い。



出された料理。
ウエイトレスさんに許可を取っての撮影だったが、周りには兵隊さんもいて、かなり気を遣った。
これ以外の写真は怖くて撮れなかった。
 

ここから先、列車は3つの駅に停車した。景色といえば、駅の周辺を除けば板門店に行ったときと同じように、農村地帯がほとんど。線路から見える道には、いつも誰かしらどこかからどこかへ歩いていた。
途中雨が雪になり、雪景色になったところもあるが、そのうち雨もやんで晴れ間も出てきた。



こういう景色のところが多かった。
 

それにしても、電気機関車に牽引されている割にはスピードはゆっくりであった。平壌から新義州までの表定速度は停車時間を除いても47km/hくらいで、いかにも遅い。

 

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