朝鮮民主主義人民共和国
+  中国国境地帯編

旅行第4日目 その3

新義州にて出国審査

15:19、定刻より約10分遅れで新義州着。中国との国境の町である。後ろにつないでいる国内列車はここが終点で、そこから客がぞろぞろ降りてくる。

そして、国際列車の4両だけが切り離されて、向こうのホームに移動する(日本風に言えば1番線から3番線に移動したような感じ)。そこで出国審査となる。
さっそく検査官が乗り込んできて、まずパスポート回収。ビザも一緒に回収される。それと同時に出国カードが配られる。記入していると、しばらくしてそのカードを回収に来る。
カードを見ながら、簡単な質疑がある。といっても聞かれたことは名前と住所の読み方(ハングルで書き直していた)と職業だけ。

そのあと税関審査。けっこう厳しくて、全部荷物を開けてチェックする。特にF氏の持っていたおみやげのポスターについて、かなりもめていた。
最後にパスポートが返ってくる。ちなみに、北朝鮮では
パスポートにスタンプを押さないので、入国した証拠は残らない。でも、その前後の中国の出入国スタンプを見れば、わかる人はわかる。
で、結局すべてが終わるのに、なんだかんだで2時間以上かかった。

ガイドブック等にも、「北朝鮮への列車での出入国は審査が厳しい」と書かれていて、確かに空港の検査に比べると厳しかったが、検査官は決して高圧的ではなく「任務なのでやっています」という感じであった。
またあとで聞いた話では、
特に日本人とアメリカ人に対しては厳しいらしい。

 

丹東で中国入国

17:41、定刻より28分遅れて新義州発。すぐに国境を流れる鴨緑江を渡り、中国遼寧省の丹東市に入る。新義州からわずか7分で丹東駅着。時差が1時間あって、こちら時間で16:48である。

着いて即中国の入国審査となる。検査官がぞろぞろ乗り込んできて、まずパスポート回収。さっきの北朝鮮のように黙々と、という感じはなく、にぎやかな審査である。これもお国柄であろう。
続いて健康診査。と言っても検査官に「health?」と聞かれて「good」と答えて終わり。

そのうち乗り込んでいた中国人客たちがみんな降りてしまい、車内は静かになる。その後、いきなり列車はバックを始め、200mくらい元来た道を戻る。4人で「あれ、やっぱりさっき降りなきゃいけなかったのかな?」と話し、たまたま近くにいた公安の人に聞いてみたら、片言の日本語で「ちょっと待ってて」と言われた。
でも車内にいてもやることがないので、ホームに降りてまわりをウロウロしていた。その公安の人も何も言わないので、それくらいしてもいいのであろう。ヒマなので、公安の人とも「日本語しゃべれるんですね」「ちょっと勉強しました」とか雑談する。北朝鮮ではこんなことあり得なかった。



丹東駅のホーム
 

しばらくして、プリント用紙を持ったおじさんとおばさんがやってきて、おじさんの方が「この列車で北朝鮮から来た日本の方ですか?」と聞いてきた。この人が丹東滞在中案内してくれる、「丹東金方舟国際旅行社」の閻(ヤン)さんという人であった。

 

丹東市内へ

そして無事入国スタンプの押されたパスポートが返ってきて、閻さんと駅の外に出る。途中改札がなかったので、切符が手中に残った。



丹東駅
翌朝撮影した写真。
 

駅前から閻さんのいる旅行社の車に乗ってホテルに向かう。ホテルはさっき駅のホームから見えたくらい近くにあるので、5分ほどで到着する。そしてチェックイン。なんだかんだでチェックインしたのは6時くらいであった。

30分ほどして再びロビーに集合。閻さんと歩いて夕食を食べに行く。ホテルがあるのは鴨緑江に面した地域で、この川に沿って飲食店がたくさん並んでいる。一行5人は、その中の「松涛園」という店に入った。

このあたりの店は、北朝鮮に面しているということで朝鮮料理と中華料理の両方を出すらしい。この店もメニューはその2つに分かれていた。でもせっかく中国に入国したんだから、とメニューは中華系であった。アルコール類もすべて中国産にした。

閻さんは、勤めている旅行社の副社長さんで、本職はガイドではないらしい。地元丹東の出身で、大連の外国語大学で日本語を勉強したそうだ。こういうところで旅行社をやっている関係で北朝鮮ツアーもたくさん組んでいて、そのため平壌にも行ったことがあるようである。

私たちが案内された個室にはカラオケセットがあったので、食事のあとはカラオケ大会となった。まさかこんなところでカラオケとなるとは。

 

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